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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

竜巻に耐える家造り

2012-05-07 23:42:15 | ■建築話
5月6日に発生した茨城県つくば市と栃木県真岡市の局所的な竜巻で相当数の家屋が被害にあいました。
被害に遭われた方には心よりお悔やみを申し上げます。

とりあえず、専門家として竜巻に関しても調べておこうと思って考えた事などをメモっておきます。
まだまだまとまりきっていませんが。。。

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映像を見て驚きだったのが、基礎ごとひっくり返った家があったこと。

特に木造住宅はRC(鉄筋コンクリート構造)の建物に比べ軽い為、そのような結果になったのだと思いますが・・・
他の家屋は土台と躯体を緊結する金物(アンカーボルト)が破断して基礎のみを残して浮き上がっていたのですが、逆にこの家は基礎と一緒に持ち上がってしまったようです。
現地を見ていないのと、竜巻の通過経路が良くわかりませんが、もしかしたらこの建物は比較的基礎と土台との緊結度が高かったために、アンカーボルトが破断せずに基礎ごと持ち上がってしまったのではと思っています。

本来家の構造は台風と地震に対しての検討しかしておらず、横向きに加わる力に対して耐えるように設計しています。
そのため、竜巻のように真上に上がる力に関しては想定していないのです。

こうしてみると、やはりRCの住宅は竜巻に対しても強いですね。
窓ガラスや鉄骨部分は損傷を受けていますが、RC部分は大きく被害を受けていないように見受けられました。

TV等の情報ですと、こういった竜巻は都市部でも十分起こりうるとの事。
ビル等が建ち並ぶと起きにくいイメージですが、若干勢力が小さくなるかもしれませんが、発生確率に違いはあまり無いそうです。
逆にビルとビルの間は突風が吹き危険であるとも言っていました。

さて、今回の竜巻はF3クラス(藤田スケール)と発表されていました。
Wikipediaによると「重大な被害。建て付けの良い家でも屋根と壁が吹き飛ぶ。列車は脱線転覆、森の大半の木は引っこ抜かれ、ダンプカーなどの重い車でも地面から浮いて飛んだりする。」規模、風速にして70~92m/sだそうです。
※気象庁の発表ではF2でしたが専門家の見識では一部ではF3ではないかということで記事にしています

建築基準法の耐風設計は東京23区では基準風速34m/sの風を想定して設計されています。
耐風等級2だとしてもその1.2倍ですから41m/s程度の風を基準に設計していることになります。
※コレは地表面の風速で示しているので竜巻の風速の基準とは異なります

数値で比較してもF3クラスの竜巻が発生した場合はひとたまりも無いですね。
しかも、横からだけでなく、上に吹き上げる風に対しての強度は未知なので、木造家屋で竜巻に耐える家を設計しようと考えるのは無理がありそうです。
やはり建物自体が重く、弱い接合部の無いRCの建物が竜巻にも強いと想定されます。

恐ろしいのはそれより高層のマンションなど。
超高層建築などは住宅とは別の設計基準があるのでなんともいえませんが、影響は大きいと思われますね。

参考までに東京スカイツリーの耐風設計についての文献を見つけたのでリンクを貼っておきます。
やはり竜巻に関しては何処まで対策をとっているのかは解りませんでした。。。

→東京スカイツリーの耐震・耐風設計(PDF)
風洞実験という模型で実際の風を想定して検証しています。

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と、何の結論も出ないメモですが・・・
私が思うには窓ガラスなどが防犯ガラスなど割れにくいガラスが理想。
軒の無い建物が理想ですが・・・
なんだかそれ以外の性能を犠牲にしかねないので考えすぎも良くないですね。

まずは、そういう竜巻が近づいたら何をすべきかをキチンとシュミレーションしておくことのほうが重要かもしれませんね。


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