初めて私が買ったギターは、ガットギター
当時、家から歩いて10分くらいのところに楽器の問屋さんがあった。
私は前を通るたびに気になって、のぞきこんでいた。
問屋さんなので、楽器を飾ってあるわけでもなくダンボールばかりが目につく感じだった。
ある日、細長いダンボールの山が店先に出来ていた。
梱包された出荷待ちの状態のようだった。
その上にぽつんと一本のギターが乗っていた。
立ち止まって見入っている私に、店の奥から出てきた人が私に声をかけてきた。
「ギター好きなの?」
「このお店、普通の人でも買えるんですか?」
と私は会釈してそう言った。
「だいじょうぶだよ、お目当てはギターかい?」
「そうなんですけど、はじめてなんで、何もわからなくて・・・」
「これ、いいギターだよ。」
といいながら、店の奥から一本のガットギターを持ってきた。
「へー!これ高いんですか?」
と言いながら私は、
おぼつかない手つきで裏返してみたり斜めにしてみたり・・・
とにかくギターの持ち方も解らないでいた。
そんな私の様子を見て
「これは高いギターだから、若い人にはむりかな。」
と言って 代わりに、
私に手渡してくれたのは、表のダンボールにあったギターだ。
「これもいいギターなんだけど、荷ずれ品だから展示見本にするつもりだったけど、
ギター買うつもりなら、これ売ってあげるよ」
「どのくらいするんですか?」
「そうだな~・・・・・・・・」
暫く考えていた店の人は
「3000円でいいよ」
と言ってくれた。
う・・・・・ひとけた少ない。安い。
希望小売価格¥30000と云う札がついている。
私は、決断した。
私は、むきだしのギターを,
立てに抱きかかえるようにして家路についた。
これが、私とギターの出会いだった。
あれから、何年経ったのだろう。
そもそも、あのギターは今どこにあるのだろうか・・・
Photo by Masaaki
(現在唯一のアコギ)