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歯科技工士・岩澤 毅

荻上チキ (著) 僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか (幻冬舎新書)

2012年12月31日 | amazon.co.jp・リストマニア
「ダメ出し社会」からの離脱のために, 2012/12/31

By 歯職人

 1981年生まれの編集者であり評論家の荻上チキ氏による、閉塞状況が続く日本のバグを取り除くための見取り図と、「足の引っ張り合い」社会を止揚するための処方箋試論です。
 荻上チキ氏は本書で、高度成長期から低成長とデフレの現代までの俯瞰図の概説の上に、社会をより良くすることを指向する側の持つ時代的制約と弱点を描写しながら、現在可能性を持ち始めた「デジタル・デモクラシー」(インターネットを用いた社会運動)と「スマート・デモクラシー」(部分参加の効能を持つ大衆の集合の能力を最大化)の可能性を結実させる方法論を問う。
 荻上チキ氏は本書冒頭に、「「清貧思想」の罠」を置き、経済成長に対する拒否感や嫌悪感、諦めに対し、再分配政策を行う上でも当然にも経済成長が必要であることをコンコンと説く。バグを取り除く方法論として社会疫学的思考を提唱し、フローレンス・ナイチンゲールの統計学者の側面、疫学的・統計学的思考に基づき、科学的に問題解決に取り組んだ業績を紹介する。更に、ありがちな「凛として」や「常識的に」、「正論」等の修飾語でごまかすタイプの議論に無駄に時間を浪費することなく、丁寧な議論を積み上げていく必要性を強調する。
 本書全体に通底する「叩いて終わりはもう終わり」、「ダメ出し社会を終わらせる」のメッセージは、「誰かを採点し続ける側」にいるという、一見「無敵」(小さな小さな世界で)ではあるが、非生産的である者に、その思想と行動の転換を迫る。
 湯浅誠さんの『ヒーローを待っていても世界は変わらない』との併読をお勧めする。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344982886/ref=cm_cr_mts_prod_img

ボクラハイツマデダメダシシャカイヲツズケルノカ ゼツボウカラヌケダスポジダシノシソウ ゲントウシャシンショ
幻冬舎新書
僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか―絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想


荻上 チキ【著】
幻冬舎 (2012/11/30 出版)

217p / 18cm
ISBN: 9784344982888
NDC分類: 304

価格: ¥819 (税込)

詳細

ここ二十年の経済停滞からくる個人の生きづらさを反映し、益のない個人叩きや、意見・提言へのバッシング合戦が横行する日本。
でも僕らには時間がない。
一刻も早く、ポジティブな改善策を出し合い、社会を少しでもアップグレードさせなくては―。
注目の若手評論家が、政治・経済、社会状況のバグ(問題)を総チェックし、解決のためのフレームを提示。
誰かを採点し続けるのではなく、自ら当事者として社会を変えていくための実効性ある方法を提言する。


第1章 僕らはどうして、「ここ」に流れ着いたのか(シビアの時代のタイムリミット;「清貧の思想」の罠 ほか)
第2章 僕らはどうして、間違えた議論をするのか(問題だらけの消費税法案;埋め込まれた問題 ほか)
第3章 僕らはどうして、「国民益」を満たせないのか(政策の是非を問う3つの視点;政策の是非を費用対効果の視点で眺める ほか)
第4章 僕らはどうやって、バグを取り除くのか(対立軸のスライド;対立軸に生じた「縮退モデル」という変化 ほか)
第5章 僕らはどうやって、社会を変えていくのか(僕らは動き出さなければいけない;政治参加へのハードルの高さ ほか)

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