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歯科技工士・岩澤 毅

医療のこと、もっと知ってほしい (岩波ジュニア新書) 山岡 淳一郎 (著)

2009年12月23日 | amazon.co.jp・リストマニア
医療を職業に選ぶことを考えている貴方へ, 2009/12/25

By 歯職人

 本書は、これから職業を選ぶ岐路に差し掛かるであろう中学生や高校生に贈る医療を考えるための一冊です。
 本書は冒頭、医療現場の紹介を長野県のJA厚生連佐久総合病院を中心とした地域医療の取り組みを取り上げる。多職種が築く「医療」の姿が無理なく描かれている。
 本書の他の職業紹介本と大きな違いは、医療経済・医療にかかるお金の話を避けずに医療保険の基本の仕組みと歴史の説明を試みる点にある。これは現在の日本が抱える大きな課題でもあり、大人であり患者でもある国民も中々知ろうとしない問題でもある。
 著者は日本の医療の現在を知るために、フィリピンやキューバの医療との対比の中で日本社会を浮き彫りにすることも試みる。
 中学生や高校生に留まらず、大人にも読んで欲しい一冊です。
 
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岩波ジュニア新書
医療のこと、もっと知ってほしい

山岡 淳一郎【著】
岩波書店 (2009/10/20 出版)

191p / 18cm
ISBN: 9784005006373
NDC分類: K498

価格: ¥819 (税込)

詳細
長野県にある佐久総合病院では、ドクターヘリを飛ばして高度な救急医療を行う一方、家庭での介護を見守る地域ケアを日々地道に行っている。
各現場で医療に従事する人たちは、どんな思いで毎日仕事をしているのだろうか。
現在の医療制度の問題点も解説しながら、あるべき医療の姿を探っていく。

第1章 ドクターヘリ(佐久総合病院;「農民とともに」 ほか)
第2章 地域医療の最前線(地域密着医療の第一線;地域ケア科のカンファレンス ほか)
第3章 なぜ医者になるの?(医師が足りない;遠くが見えない ほか)
第4章 医療の土台「国民皆保険」(お金からみる医療;病院に行けない! ほか)

著者紹介
山岡淳一郎[ヤマオカジュンイチロウ]
1959年愛媛県生まれ。ノンフィクション作家。出版関連会社、ライター集団を経て独立。「人と時代」を共通のテーマとして、医療、建築、現代史、経済など分野を超えて旺盛に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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医療のこと,もっと知ってほしい
山岡 淳一郎 著
定価 819円

■著者紹介
山岡淳一郎
1959年愛媛県生まれ.ノンフィクション作家.出版関連会社,ライター集団を経て独立.「人と時代」を共通のテーマとして,医療,建築,現代史,経済など分野を超えて旺盛に執筆.著書に『田中角栄 封じられた資源戦略』『後藤新平 日本の羅針盤となった男』『あなたのマンションが廃墟になる日』(ともに草思社),『成金炎上 昭和恐慌は警告する』『マンション崩壊』(ともに日経BP社),『地球にやさしい家に住もう』(朝日新聞出版),『ボクサー回流』(文藝春秋),『命に値段がつく日 所得格差医療』(中公新書ラクレ・共著)ほか多数.

■目次
はじめに
第1章 ドクターヘリ
佐久総合病院/「農民とともに」/ドクターヘリ出動!/「じぶんだけが大変なわけではない」/救急医療の現実/フライトナースの役割/看護師の仕事/ドクターヘリと救急医療の現状/生命の値段/救急医療を守るために
第2章 地域医療の最前線
  地域密着医療の第一線/地域ケア科のカンファレンス/訪問診療/看取りの心得/奇跡のおじいさん/コタツの上の手づくり料理/在宅ケアの目的/貴重な時間/訪問看護士と介護福祉士の仕事/佐久総合病院の再構築/どんな医療がのぞまれているか/病院機能の分化問題
第3章 なぜ医者になるの?
  医師が足りない/遠くが見えない/産科が直面する危機/医師集約の功罪/新臨床研修制度/医学生と病院のお見合い/医学生は都市出身者ばかり?/ショッキングな事件/ある日,医者になろうと決めた/医学部浪人生のボランティア体験/ボートに打ち込んだ医学生時代(一~四年生)/地方の大学病院の現実に直面(五・六年生)/マッチングに奔走/やりがい/フィリピン国立大学医学部レイテ分校/海外への頭脳流出/スマナ・バルア医師の体験/地域との信頼感/恩に報いる/SHSを訪ねる日本の医学生たち/クリオン島での出会い/患者の人生に係わる/メディカルスクール
第4章 医療の土台「国民皆保険」
  お金からみる医療/病院に行けない!/保険料を滞納すると・・・/国民の生存権/公的な支えあい/高島炭鉱の惨状から/公的な制度で社会を支える/健康保険法の施行/医者どろぼう/国の強兵策/世界に誇れる宝/医療保険制度の破綻/アメリカの保険制度/命にいくらかけられる?/膨らんでいる医療費/マイケル・ムーア監督とキューバの医療/ファミリー・ドクター/キューバのラテン医学校/アレイダ・ゲバラ医師
あとがき
【資料・仕事案内】

■内容紹介
 メディアで医療の崩壊が叫ばれて久しいですが,まだどこか他人事のように考えている人のほうが多いのではないでしょうか.実際,私もその一人でした.
 その矢先,本書3章でも紹介されているドキュメント番組『消える産声 産科病棟で何が起きているのか』(中京テレビ制作/2006年)を見て,医療現場の実情は,自分が想像していた以上に深刻であることがわかってきました.時を同じくして医療従事者たちの日常の姿が,映像やコッミクでも数多く描かれるようになってきました.医師をはじめとする医療従事者の不足,それに伴う現場の疲弊が伝わってきました。そうしてますます,日本の医療現場が抱える問題の深刻さを実感するようになってきました.
 本書では,医療の問題に長年取り組んできた著者が,長野県にある佐久総合病院を取材しました.佐久病院では,ドクターヘリを飛ばして高度な救急医療を行なう一方,家庭での介護を見守る地域ケアを日々地道に行なっています.各現場で医療従事者たちがどんな思いで仕事をしているのか,またどんな大変さや問題点があるのかが見えてきます.
 そんな現場の声とあわせて,本書では「国民皆保険」といった医療制度の歴史や問題点も解説し,これからのあるべき医療の姿についても提言しています.これから医療従事者を目指す人のみならず,患者として医療にかかわる人にとっても重要な一冊になるでしょう.
 取材に答えて「自分だけがたいへんなわけではないから」と言われたフライトドクター,また「同じ人間としての深い共感,それが医療者には大切だと思う」と言われた地域ケアにたずさわるドクター,この二人の医師の言葉が,今日も必死で目のまえの患者さんに向き合う医療従事者を支えている,そんな気がしてなりません.

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