[007/052] 164 - 衆 - 本会議 - 16号
平成18年03月23日
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、行政改革関連法案について質問します。(拍手)
小泉総理は、本法案を構造改革の総仕上げとして提案してきました。この五年間の小泉構造改革は、国民生活に一体何をもたらしたでしょうか。
医療費の大幅負担増、年金や介護保険の改悪など社会保障の連続的な改悪、リストラ応援による雇用破壊と賃金破壊など、国民には痛みを強要し、その一方で大企業には減税を行い、まさに強者を助け弱者をくじく政治を行ってきたのであります。
耐震偽装問題や相次ぐ公共交通機関の事故は、国民の安全をないがしろにする規制緩和路線の害悪を示したものであります。リストラや派遣労働など、労働法制の規制緩和を最大限に活用して、トヨタなどの大企業が過去最高の利益を上げているその一方で、多くの国民が職を奪われ、不安定雇用にあえいでいるのであります。こうした格差の拡大をもたらした責任をどう考えているのですか。総理の答弁を求めます。
以下、法案に即して質問します。
第一に、公務員削減の問題です。
法案は「簡素で効率的な政府を実現することが喫緊の課題である」とし、総理は小さな政府を強調してきました。
ところが、昨年、政府が出した経済財政白書は、日本はOECD諸国の中で政府支出も国民負担も小さな国、政府の規制の強さは平均以下としています。総務省の調べによれば、日本の公務員は、人口一千人当たりの数においても、人件費のGDP比率においても、主要国の中で最低の水準です。総理は、この事実をどう認識していますか。答弁を求めます。
本法案は、公務員の一律削減を求めています。国家公務員は五%、地方公務員は四・六%純減するというのであります。仕事の内容や実態を無視した公務員の純減が国民に一体何をもたらすでしょうか。
労働の現場では不安定雇用と無権利状態が拡大しており、労働基準監督行政の強化は焦眉の課題であります。また、住民生活に密着した地方公務員の分野では、消防職員は国の指針の七五・五%しか配置されておりません。児童福祉司について見れば、国の配置基準を満たす自治体は四割にすぎません。今でも不十分な人員をさらに削減して、どうして国民の安全を守り、暮らしを支えることができますか。国民の安全や暮らしを支えているのは、まさにマンパワーではありませんか。答弁を求めます。
教職員の削減も重大です。法案は、児童生徒の減少を上回る教職員の削減を求めております。これは、国民の声にこたえて自治体などが取り組んでいる少人数学級実現など、教育の充実の努力を踏みにじるものではありませんか。米百俵どころか、日本の教育と未来の削減であり、許すことのできないものであります。答弁を求めます。
第二に、政策金融の統廃合についてであります。
法案は、商工中金を民営化し、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫などの政府系金融機関を統合した上に、貸出残高の継続的な縮小を求めているのであります。これでどうして、地域経済を支え、日本経済の柱である中小企業を守ることができますか。まさにセーフティーネットを縮小させるものではありませんか。
小泉内閣は、銀行に不良債権早期処理を迫ることで、中小企業には貸し渋り、貸しはがしを押しつけて、倒産と失業を増加させました。さらに、地域金融機関に大銀行向けマニュアルによる査定を行って、一年間に全国で五十六の信用金庫、信用組合を破綻させました。そうした中、政策金融機関は、セーフティーネットとして中小企業を支え、民間銀行が相手にしなくても、技術力や誠実な経営姿勢に着目をして中小企業に融資をして、経営を支えてきました。その政策金融機関を縮小すれば、中小企業と地域経済を一層困難な事態に追い込み、日本経済を危うくすることは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
第三に、特別会計についてであります。
道路特定財源の一般財源化は、総理がみずから公約してきた問題であります。ところが、法案は、道路特定財源制度について、一般財源化を図ることを前提とし、平成十九年度以降の歳出及び歳入のあり方に関する検討とあわせて具体的な改正の案を作成するとしています。これは、問題の先送りではありませんか。一体何年度から一般財源化を実行するのですか。明確な答弁を求めます。
また、特別会計の無駄遣いも問題です。例えば電源開発特別会計では、ラピカ、マリンパルなどの原発関連の大きな無駄遣いが行われてきました。こうした無駄遣いにメスを入れるべきではありませんか。答弁を求めます。
第四に、天下り問題です。
この間の防衛施設庁や道路公団の官製談合事件は、天下り官僚受け入れに応じた企業に公共工事の受注を配分していたものであり、官庁ぐるみで進める天下りが官と業の癒着を生み出している事実を示したものであります。
総理は、事件が起こると天下り規制を口にしますが、実際の対応は省庁任せで、制度としての天下り規制強化に何ら手をつけていません。小手先のやり方では何ら再発防止にならないことを、一連の不祥事が事実で証明しています。大量の天下り官僚を受け入れ、天下り企業へのトンネル機関となり、公益より官益を優先する公益法人に対し、天下りの規制を抜本強化するべきではありませんか。
また、公益法人日本歯科医師会が、組織的にも金銭的にも一体化した政治団体である日本歯科医師連盟、日歯連をつくり、汚職事件、やみ献金事件、迂回献金疑惑を引き起こしたことも、見過ごすことはできません。政官業の癒着の根源である企業・団体献金の禁止を強く求めるものであります。
最後に、天下り禁止など国民が求める改革を行わないで、国民の安全、安心、暮らしを削減して、だれが利益を得るのかという問題です。
財界、大企業は、国や地方自治体が行う国民への公共サービスを官製市場と位置づけ、民間開放を要求し、推進してきました。政府の規制改革・民間開放推進会議の議長を宮内義彦オリックス会長が務め、日本経団連が数々の規制改革要望を提出してきたのであります。そして、今回の法案は、奥田碩日本経団連会長ら経済財政諮問会議の四人の民間議員がその原案を作成したのであります。
財界が、みずからのビジネスチャンスを拡大するために推進してきたのが今回の法案ではありませんか。答弁を求めます。
日本共産党は、民間労働者と公務員を分断し、国民の間に対立を持ち込み、本来公務が果たすべき国民の安全と暮らしを支える大事な役割を削減、縮小させる政治に反対して、国民の連帯した取り組みで安全や暮らしを守るルールある社会の実現に力を尽くすことを表明して、質問を終わります。(拍手)
平成18年03月23日
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、行政改革関連法案について質問します。(拍手)
小泉総理は、本法案を構造改革の総仕上げとして提案してきました。この五年間の小泉構造改革は、国民生活に一体何をもたらしたでしょうか。
医療費の大幅負担増、年金や介護保険の改悪など社会保障の連続的な改悪、リストラ応援による雇用破壊と賃金破壊など、国民には痛みを強要し、その一方で大企業には減税を行い、まさに強者を助け弱者をくじく政治を行ってきたのであります。
耐震偽装問題や相次ぐ公共交通機関の事故は、国民の安全をないがしろにする規制緩和路線の害悪を示したものであります。リストラや派遣労働など、労働法制の規制緩和を最大限に活用して、トヨタなどの大企業が過去最高の利益を上げているその一方で、多くの国民が職を奪われ、不安定雇用にあえいでいるのであります。こうした格差の拡大をもたらした責任をどう考えているのですか。総理の答弁を求めます。
以下、法案に即して質問します。
第一に、公務員削減の問題です。
法案は「簡素で効率的な政府を実現することが喫緊の課題である」とし、総理は小さな政府を強調してきました。
ところが、昨年、政府が出した経済財政白書は、日本はOECD諸国の中で政府支出も国民負担も小さな国、政府の規制の強さは平均以下としています。総務省の調べによれば、日本の公務員は、人口一千人当たりの数においても、人件費のGDP比率においても、主要国の中で最低の水準です。総理は、この事実をどう認識していますか。答弁を求めます。
本法案は、公務員の一律削減を求めています。国家公務員は五%、地方公務員は四・六%純減するというのであります。仕事の内容や実態を無視した公務員の純減が国民に一体何をもたらすでしょうか。
労働の現場では不安定雇用と無権利状態が拡大しており、労働基準監督行政の強化は焦眉の課題であります。また、住民生活に密着した地方公務員の分野では、消防職員は国の指針の七五・五%しか配置されておりません。児童福祉司について見れば、国の配置基準を満たす自治体は四割にすぎません。今でも不十分な人員をさらに削減して、どうして国民の安全を守り、暮らしを支えることができますか。国民の安全や暮らしを支えているのは、まさにマンパワーではありませんか。答弁を求めます。
教職員の削減も重大です。法案は、児童生徒の減少を上回る教職員の削減を求めております。これは、国民の声にこたえて自治体などが取り組んでいる少人数学級実現など、教育の充実の努力を踏みにじるものではありませんか。米百俵どころか、日本の教育と未来の削減であり、許すことのできないものであります。答弁を求めます。
第二に、政策金融の統廃合についてであります。
法案は、商工中金を民営化し、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫などの政府系金融機関を統合した上に、貸出残高の継続的な縮小を求めているのであります。これでどうして、地域経済を支え、日本経済の柱である中小企業を守ることができますか。まさにセーフティーネットを縮小させるものではありませんか。
小泉内閣は、銀行に不良債権早期処理を迫ることで、中小企業には貸し渋り、貸しはがしを押しつけて、倒産と失業を増加させました。さらに、地域金融機関に大銀行向けマニュアルによる査定を行って、一年間に全国で五十六の信用金庫、信用組合を破綻させました。そうした中、政策金融機関は、セーフティーネットとして中小企業を支え、民間銀行が相手にしなくても、技術力や誠実な経営姿勢に着目をして中小企業に融資をして、経営を支えてきました。その政策金融機関を縮小すれば、中小企業と地域経済を一層困難な事態に追い込み、日本経済を危うくすることは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
第三に、特別会計についてであります。
道路特定財源の一般財源化は、総理がみずから公約してきた問題であります。ところが、法案は、道路特定財源制度について、一般財源化を図ることを前提とし、平成十九年度以降の歳出及び歳入のあり方に関する検討とあわせて具体的な改正の案を作成するとしています。これは、問題の先送りではありませんか。一体何年度から一般財源化を実行するのですか。明確な答弁を求めます。
また、特別会計の無駄遣いも問題です。例えば電源開発特別会計では、ラピカ、マリンパルなどの原発関連の大きな無駄遣いが行われてきました。こうした無駄遣いにメスを入れるべきではありませんか。答弁を求めます。
第四に、天下り問題です。
この間の防衛施設庁や道路公団の官製談合事件は、天下り官僚受け入れに応じた企業に公共工事の受注を配分していたものであり、官庁ぐるみで進める天下りが官と業の癒着を生み出している事実を示したものであります。
総理は、事件が起こると天下り規制を口にしますが、実際の対応は省庁任せで、制度としての天下り規制強化に何ら手をつけていません。小手先のやり方では何ら再発防止にならないことを、一連の不祥事が事実で証明しています。大量の天下り官僚を受け入れ、天下り企業へのトンネル機関となり、公益より官益を優先する公益法人に対し、天下りの規制を抜本強化するべきではありませんか。
また、公益法人日本歯科医師会が、組織的にも金銭的にも一体化した政治団体である日本歯科医師連盟、日歯連をつくり、汚職事件、やみ献金事件、迂回献金疑惑を引き起こしたことも、見過ごすことはできません。政官業の癒着の根源である企業・団体献金の禁止を強く求めるものであります。
最後に、天下り禁止など国民が求める改革を行わないで、国民の安全、安心、暮らしを削減して、だれが利益を得るのかという問題です。
財界、大企業は、国や地方自治体が行う国民への公共サービスを官製市場と位置づけ、民間開放を要求し、推進してきました。政府の規制改革・民間開放推進会議の議長を宮内義彦オリックス会長が務め、日本経団連が数々の規制改革要望を提出してきたのであります。そして、今回の法案は、奥田碩日本経団連会長ら経済財政諮問会議の四人の民間議員がその原案を作成したのであります。
財界が、みずからのビジネスチャンスを拡大するために推進してきたのが今回の法案ではありませんか。答弁を求めます。
日本共産党は、民間労働者と公務員を分断し、国民の間に対立を持ち込み、本来公務が果たすべき国民の安全と暮らしを支える大事な役割を削減、縮小させる政治に反対して、国民の連帯した取り組みで安全や暮らしを守るルールある社会の実現に力を尽くすことを表明して、質問を終わります。(拍手)