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歯科技工士・岩澤 毅

寡黙なる巨人 (単行本) 多田 富雄 (著)

2008年09月05日 | amazon.co.jp・リストマニア
生命(いのち)を掴み直し、育て直した巨人, 2008/9/5

By 歯職人

 免疫学の分野で世界的業績を称えられた多田富雄は、2001年脳梗塞に倒れ、言葉機能を失い右半身不随の身となった。
 本書は、倒れたその日から闘病とリハビリの日々を経て、闘病とリハビリと生きる証としての文筆活動に傾注する現在の姿の自画像と、その日々が生み出した各誌紙への小論により構成されている。
 医学者である多田と患者である多田の視点から、リハビリ医学の未発展部分とリハビリ現場の貧弱な体制が、施設名を実名で告発する。
 2006年、医療保険の規則変更により、著者の様なリハビリにより身体機能の回復と機能低下の防止を励んでいた人々を奈落の底に突き落とすリハビリの日数制限が行われた。
 多田はその日数制限に、言論をもって立ち向かった。中央社会保険医療協議会の土田前会長の英断により規制の緩和が図られようとしたが、厚生労働省官僚による陰湿な妨害工作が行われた。それらの経過も本書により明らかにされる。
 多田の能や演劇文化論等の多方面にわたる活動の軌跡も本書の広がりを作っている。
 病に倒れながらも、その中から今語るべきことを、リハビリで習得した動く左手でのワープロを使用し、語り続けた論考をまとめた一冊です。


(カモクナルキョジン )
寡黙なる巨人
ISBN:9784087813678 (4087813673)
245p 19cm(B6)
集英社 (2007-07-31出版)

・多田 富雄【著】
[B6 判] NDC分類:916 販売価:1,575(税込) (本体価:1,500)

世界的な免疫学者・多田富雄は、二〇〇一年、脳梗塞に倒れ、言葉を失い右半身不随になった。
しかし、重度の障害を背負いながら、現在も著作活動を続けている。
障害者の先頭に立って介護制度の改悪に抗議し続ける著者は、自分の中に生れつつある新しい人を「巨人」と呼ぶようになった。
杖で歩こうとするときの不器用な動作、しりもちをついたら、どんなにあがいても起き上がれないという無様な姿。
言葉数の少ない「“寡黙”なる巨人」である。

1 寡黙なる巨人
2 新しい人の目覚め(生きる;考える;暮らす;楽しむ)
生きるヒントと勇気にみちた、心に響く闘病記。
「これほど短く、みごとな死の象徴的な描写を知らない」──養老孟司氏(毎日新聞9/2より)


多田富雄[タダトミオ]
1934年茨城県生まれ。東京大学名誉教授。免疫学者。千葉大学医学部卒。千葉大学教授、東京大学教授、東京理科大学生命科学研究所長を歴任。95年、国際免疫学会連合会長。抑制T細胞を発見。野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞など内外の多数の賞を受賞。84年、文化功労者。能楽にも造詣が深く、脳死と心臓移植を題材にした『無明の井』、朝鮮人強制連行の悲劇『望恨歌』などの新作能の作者としても知られ、大倉流小鼓を打つ。2001年、脳梗塞で倒れ重度の障害をもつ。おもな著書に『免疫の意味論』(93年青土社大佛次郎賞)、『独酌余滴』(99年朝日新聞社日本エッセイストクラブ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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