『日本歯技』2016年3月号
大田区立池上第二小学校『ドリームプロジェクト(キャリア教育)』報告
専務理事 夏目克彦
2015年10月半ばに、小学生の女の子の「私の夢は歯科技工士になりたいです。」という自筆の手紙を添えて、東京都大田区立池上第二小学校の6年生の担任、千原先生、渡邊先生から日本歯科技工士会に子どもたちに歯科技工士を説明するキャリア教育の講師の依頼がありました。
この学校では、総合的な学習の時間に『ドリームプロジェクト』という、子どもたちがなりたい職業の方を学校に招き、仕事の内容とやりがい、その仕事で大切にしていることなどを聞くことによって、子どもが夢や希望をもって将来の生き方を考えたり、働くとはどういうことかを知り、社会の現実を考えながら将来なりたい仕事について考えたりすることを課題とした学習をしているとのご説明でした。
今回はキャリア教育コーディネーターとして活動する小寺良介氏にサポートして頂き、学校と講師との調整をして頂きました。
2016年1月19日(火)、東京に雪が降り交通が混乱した翌日です、東京都歯科技工士会所属の藤井未来会員と共に同小学校を訪問してきました。
この日は15の職種の方々が招待されていていました。JAXA、警察、将棋連盟、ピアニスト、建築士、インテリアコーディネーター、保育士、ケーキ屋さん、卓球協会、サッカークラブ、スタントチーム、医療職も医師、薬剤師、看護師、そして歯科技工士と様々でした。
短い時間に子供達が職業についてイメージを持ちやすいように、説明のための基本となるワークシートを学校側が事前に用意してくれていました。藤井さんは依頼があってからすぐにプレゼンの準備を始めて、ワークシートをとても綺麗に可愛く作ってくれて、それを見せながら小学生にわかりやすくお話ししてくれました。一回の説明が15分、5人がグループになって3回訪問してくる方式でした。
藤井さんが「どっちが本物でどっちが作った歯でしょう?」と歯根付きポーセレンを示し、子供の心をつかみ、持参した他の製作物なども説明し、目で見てわかるようにしたことで、子供達は興味をもってくれたようでした。
もちろん手紙をくれた女の子には本会編集の新刊書籍『歯科技工のおもしろさ』を、みんなで読んでねと手渡すことも忘れませんでした。
終了後は、校長先生の教育への熱い思いがこもったお礼の挨拶と、子どもも手を挙げて感想を話してくれたのですが、その発言は筋道をたて的確に言葉を選んで淀みがないのです。今どきの6年生はすごくしっかりしているなと感心しました。「今日、いろいろな人からお話を聞きましたが、共通することは失敗から学ぶことが多いということでした。これからもいっぱい失敗しても頑張って行こうと思いました。」とある子どもは話してくれました
知名度があるとは決して言えない歯科技工士ですが、こちらが工夫して相手に接することで、お伝えできることは沢山あると感じた時間でした。訪問させていただき、私達二人も勉強することができて、楽しい一日となりました。