白書データベース
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wp/index.htm
書名・件名 厚生白書(昭和53年版)
副書名 -健康な老後を考える-厚生省創立40周年記念号
編集者・監修者 厚生省
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz197801/
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz197801/b0110.html
各論
第1編 健康の確保と増進
第3章 医療保険
第1節 医療保険制度の現状と動向
3 診療報酬問題
各論
第1編 健康の確保と増進
第3章 医療保険
第1節 医療保険制度の現状と動向
3 診療報酬問題
--------------------------------------------------------------------------------
(1) 診療報酬
医療保険制度における診療報酬は,厚生大臣が中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)に諮問の上で決定し,具体的には「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(厚生省告示,以下「点数表」という。)に定められ,これに従い算定される。点数表には,一般医科の保険医療機関が選択する甲点数表と乙点数表,歯科の保険医療機関の歯科点数表及び保険薬局の調剤報酬算定表の4表が定められている。各点数表には,医療行為ごとに点数で評価された数百の項目があり,これに1点単価(現行10円)を乗じて診療報酬を算定する仕組み(ただし,調剤報酬算定表は金額表示)となっている。
最近では,51年4月(歯科については同年8月)に診療報酬の改定を行っているが,52年度においては,その後の物価,人件費の変動及び医療技術の進歩に対応させるとともに,保険外負担問題の改善を図る等の必要から,点数表の改定案を53年1月9日に中医協に対し諮問し,同月17日に答申を得て,53年2月1日から診療報酬を平均9.6%(医科9.3%,歯科12.5%,調剤薬局1.6%)引き上げる改定を行った。
この改定では,医師の技術料を適正に評価すべきであるとの従来からの基本方針に従い,医療の実態,技術及び診療の難易度に対応した引上げを行うとともに,診療行為間及び診療科間のアンバランスの是正を図った。
また,保険外負担問題の改善を図るための関連項目の重点的な引上げ,更には新設を行った。
(2) 薬価基準
投薬,注射等に使用する薬剤の価格については,厚生大臣が定める「使用薬剤の購入価格(薬価基準)」によることとされており,薬価基準価格は,薬価調査に基づく90%バルクライン価格(当該医薬品について全体の90%の量を医療機関がそれ以下で購入し得る価格)をもって定められている。
最近の薬価基準全面改正は,51年4月に販売及び購入された医薬品を対象とした薬価調査及びその後の経時変動調査の結果に基づき行われたものであり,診療報酬の改定と同時の53年2月1日から実施された。この改正では,主成分の一般的名称(統一名)で薬価を定める従来の統一限定収載方式に変えて,個々の銘柄ごとに薬価を定める銘柄別収載方式が採用され,引下げ率は薬剤費に対して5.8%(医療費に対しては2.0%)と,最近の全面改正の中では,最も大幅なものとなっている。
全面改正の告示が行われた際の薬価基準収載品目数は,13,654品目(内用薬8,315品目,注射薬3,911品目,外用薬1,224品目,歯科用薬剤204品目)であったが,その後,医薬品の再評価,医薬品の新規収載等のため8回の一部改正が行われ,この結果,53年9月1日現在の薬価基準収載品目数は15,433品目(内用薬9,679品目,注射薬4,204品目,外用薬1,344品目,歯科用薬剤206品目)となっている。
(3) 保険外負担
いわゆる保険外負担問題の主なものは,室料差額問題と付添看護問題であるが,近年,この問題が社会問題としてとり上げられるようになっている。適正さを欠く保険外負担のために,被保険者及びその被扶養者が保険診療を受ける機会を妨げられることのないように,49年3月には保険局長通知によって,室料差額徴収が認められる特別室の要件及び差額徴収病床比率の基準(全病床数の20%以内,ただし,国立の保険医療機関の場合は10%以内)等を明らかにするとともに,保険医療機関に対する指導を行って,適正な取扱いが行われるよう努めている。
保険外負担問題の改善を図ることが53年2月の診療報酬改定の主眼の一つであったことから,(1)で述べたように入院料関係に重点を置いた改定を行っている。
この改定を契機として,53年1月28日と3月1日に,保険局長から都道府県知事に対して,通達(「入院料(室料)の差額徴収及び基準看護病院における付添看護について」)を出し,指導の強化を図っているところである。
(4) 歯科差額問題
保険診療における歯科差額問題について,中医協は51年3月23日に「歯科の差額徴収は,歯科材料費のみに限ること」等の答申を行っており,この答申の趣旨を実施に移すことが課題になっていた。
このため,53年2月の診療報酬改定では,前歯部の鋳造歯冠修復について,いわゆる材料差額方式が実施されることになった。これにより,前歯部の鋳造歯冠修復に当たって患者が保険適用外の貴金属の使用を希望した場合には,患者は材料費の差額を負担すれば足りることになった。
歯科保険診療における苦情相談については,都道府県保険課,国民健康保険課,社会保険事務所,健康保険組合,市町村等各保険者における苦情相談窓口で行っているが,最近苦情件数は減少している。
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wp/index.htm
書名・件名 厚生白書(昭和53年版)
副書名 -健康な老後を考える-厚生省創立40周年記念号
編集者・監修者 厚生省
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz197801/
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaz197801/b0110.html
各論
第1編 健康の確保と増進
第3章 医療保険
第1節 医療保険制度の現状と動向
3 診療報酬問題
各論
第1編 健康の確保と増進
第3章 医療保険
第1節 医療保険制度の現状と動向
3 診療報酬問題
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(1) 診療報酬
医療保険制度における診療報酬は,厚生大臣が中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)に諮問の上で決定し,具体的には「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(厚生省告示,以下「点数表」という。)に定められ,これに従い算定される。点数表には,一般医科の保険医療機関が選択する甲点数表と乙点数表,歯科の保険医療機関の歯科点数表及び保険薬局の調剤報酬算定表の4表が定められている。各点数表には,医療行為ごとに点数で評価された数百の項目があり,これに1点単価(現行10円)を乗じて診療報酬を算定する仕組み(ただし,調剤報酬算定表は金額表示)となっている。
最近では,51年4月(歯科については同年8月)に診療報酬の改定を行っているが,52年度においては,その後の物価,人件費の変動及び医療技術の進歩に対応させるとともに,保険外負担問題の改善を図る等の必要から,点数表の改定案を53年1月9日に中医協に対し諮問し,同月17日に答申を得て,53年2月1日から診療報酬を平均9.6%(医科9.3%,歯科12.5%,調剤薬局1.6%)引き上げる改定を行った。
この改定では,医師の技術料を適正に評価すべきであるとの従来からの基本方針に従い,医療の実態,技術及び診療の難易度に対応した引上げを行うとともに,診療行為間及び診療科間のアンバランスの是正を図った。
また,保険外負担問題の改善を図るための関連項目の重点的な引上げ,更には新設を行った。
(2) 薬価基準
投薬,注射等に使用する薬剤の価格については,厚生大臣が定める「使用薬剤の購入価格(薬価基準)」によることとされており,薬価基準価格は,薬価調査に基づく90%バルクライン価格(当該医薬品について全体の90%の量を医療機関がそれ以下で購入し得る価格)をもって定められている。
最近の薬価基準全面改正は,51年4月に販売及び購入された医薬品を対象とした薬価調査及びその後の経時変動調査の結果に基づき行われたものであり,診療報酬の改定と同時の53年2月1日から実施された。この改正では,主成分の一般的名称(統一名)で薬価を定める従来の統一限定収載方式に変えて,個々の銘柄ごとに薬価を定める銘柄別収載方式が採用され,引下げ率は薬剤費に対して5.8%(医療費に対しては2.0%)と,最近の全面改正の中では,最も大幅なものとなっている。
全面改正の告示が行われた際の薬価基準収載品目数は,13,654品目(内用薬8,315品目,注射薬3,911品目,外用薬1,224品目,歯科用薬剤204品目)であったが,その後,医薬品の再評価,医薬品の新規収載等のため8回の一部改正が行われ,この結果,53年9月1日現在の薬価基準収載品目数は15,433品目(内用薬9,679品目,注射薬4,204品目,外用薬1,344品目,歯科用薬剤206品目)となっている。
(3) 保険外負担
いわゆる保険外負担問題の主なものは,室料差額問題と付添看護問題であるが,近年,この問題が社会問題としてとり上げられるようになっている。適正さを欠く保険外負担のために,被保険者及びその被扶養者が保険診療を受ける機会を妨げられることのないように,49年3月には保険局長通知によって,室料差額徴収が認められる特別室の要件及び差額徴収病床比率の基準(全病床数の20%以内,ただし,国立の保険医療機関の場合は10%以内)等を明らかにするとともに,保険医療機関に対する指導を行って,適正な取扱いが行われるよう努めている。
保険外負担問題の改善を図ることが53年2月の診療報酬改定の主眼の一つであったことから,(1)で述べたように入院料関係に重点を置いた改定を行っている。
この改定を契機として,53年1月28日と3月1日に,保険局長から都道府県知事に対して,通達(「入院料(室料)の差額徴収及び基準看護病院における付添看護について」)を出し,指導の強化を図っているところである。
(4) 歯科差額問題
保険診療における歯科差額問題について,中医協は51年3月23日に「歯科の差額徴収は,歯科材料費のみに限ること」等の答申を行っており,この答申の趣旨を実施に移すことが課題になっていた。
このため,53年2月の診療報酬改定では,前歯部の鋳造歯冠修復について,いわゆる材料差額方式が実施されることになった。これにより,前歯部の鋳造歯冠修復に当たって患者が保険適用外の貴金属の使用を希望した場合には,患者は材料費の差額を負担すれば足りることになった。
歯科保険診療における苦情相談については,都道府県保険課,国民健康保険課,社会保険事務所,健康保険組合,市町村等各保険者における苦情相談窓口で行っているが,最近苦情件数は減少している。