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歯科技工士・岩澤 毅

佐藤和義 朝三暮四

2010年02月22日 | 基本・参考


vol 63 朝三暮四

医療ガバナンス学会 (2010年2月22日 11:00)




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歯科医師
佐藤和義
2010年2月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp




どこかの国の首相が「朝三暮四」と「朝令暮改」を混同したらしい。朝三暮四とは、「目先の違いにとらわれて、全体のことに気づかないこと。知恵のある人が、知恵のない人をまるめこむこと。」である。
中医協で、医科の再診料をどうするかを議論している。今までは、診療所の再診料が、病院の再診料より高かったものを同じにするのだそうである。同じにするためには、
1、診療所の再診料を下げて、病院の再診料を上げる。
2、診療所の再診料はそのままで、病院の再診料を上げる。
3、診療所の再診料を下げて、病院の再診料はそのまま。
の三通りしかない。
3、は診療側からすれば受け入れられるわけもなく、最初から除外である。となれば、1、か2、である。ところが、現在では、医療費の改定は、まず、改定
率が決まる。つまり、予算上の総額が先に決まっている。それを考えると、選択の余地無く、結論は、最初から1、しかないことに決まっているのである。
中医協では、診療側代表が「『個別の報酬決めて』と言っておきながら、『枠は決まっている』というのは矛盾している」と言ったらしいが、これはただの不満ではなく、実は、現行制度の問題点の正鵠を射る発言だ。
七つしかないものを、朝に三、暮に四にしても、朝に四、暮に三にしても
何かが変わるわけでもない。「約34兆円の医療費をどう配分するか。」だけを議論させられている中医協は、中国の故事に出てくる猿と同じなのである。それがわかっている医療担当者団体は、時の政権与党に擦り寄るしかないのだが、そのことは傍から見れば、「不透明な利益誘導」にしか映らないだろうし、猿の取り合いの対象が「約34兆円の医療費」から「約95兆円の国家予算」
に変わっただけのことである。
予算には「枠」があるけど、決算は青天井。この「矛盾」を解消しないと医療費の問題は解決しないのであるが、朝三か朝四で一喜一憂している診療担当者と、それを勢利の交わりとばかりに選挙対策にしている政党と、それらを動物園のサル山を描くようにしか報道しない井蛙の見のマスコミだけでは、いつまで経っても何も変わらないだろう。

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