歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

岩澤毅 平成22年度「歯科医療安全管理セミナー」開催報告

2011年06月01日 | 日本歯技
『日本歯技』 2011年6月号46-47
こちら都道府県技47


秋田県技 平成22年度「歯科医療安全管理セミナー」開催報告    
 秋田県歯科技工士会 専務理事 岩澤 毅

平成23年3月6日(日)秋田県歯科医療専門学校において、標記セミナーが開催された。
当日は、秋田県歯科医師会医療管理・税務理事木村貞昭先生の司会でスタートし、 秋田県歯科医師会専務理事佐藤金彦先生から「平成18年6月の医療法改正に伴い、平成19年4月より歯科診療所の管理者にも医療安全管理が義務付けられたことは、ご承知の通りです。また、医療の安全に対する国民・県民の期待は、当然にも大きなものがあります。ことに歯科医療の分野における感染予防は重要な項目です。本日のセミナーは、県行政と県歯科医師会、歯科衛生士会、歯科技工士会の共同の準備のもとで開催の運びとなりました。ことに歯科衛生士会の川村会長には大変ご尽力いただいた。どうか皆様、実り多い一日にして頂きたい。そして私も大いに学びたい。」との挨拶と続き、全体講習がスタートした。
全体講習は、(大阪府)医療法人社団皓歯会理事長前田憲昭先生(平成22年度厚生労働省エイズ対策研究事業/歯科のHIV診療体制整備研究分担者)の「米国CDCガイドラインに添う Standard Precautionsの実施」と題した、国際標準と厚生労働省研究班の活動、自医院での感染予防対策の経過、不慮の院内での事故等の対策等を含めた経験等々を示された。
続いて、歯科技工士の日本銀行大阪支店診療所歯科大西正和先生が、「補綴処理過程の感染対策-歯科チームにおける連携を求めて-」と題し、厚生労働省委託感染予防歯科技工士講習会等での講師経験を踏まえた、臨床現場で実現すべき歯科技工士・歯科技工所の感染対策を「医療人としての歯科技工士」の必須のものとして示された。医科における医療器具分類と求められる消毒水準との対比の中で、義歯等に対し「使用状況が粘膜に触れる、セミクリティカル器具に当てはまるのではないか」という見解を示された。また、歯科医療関係者が各々の持ち場での感染予防に責任を持つことは、「ハサミを渡す時に、相手に刃を向けないことと同様に、安全を考えることはマナーである」と強調された。
さらに、前田先生のもとで、主任の歯科衛生士としてお勤めになり、現在は神戸常盤大学教授として歯科衛生士教育に携わる溝部潤子先生が、「バリアテクニック」と題し具体的に感染予防に関する院内での工夫を示し、本日の実習に向けた方向を示され、参加者の意思の一致を図った。
その後、医療法人社団皓歯会所属の歯科衛生士三村文子先生が、参加者全員による「スタンダードプレコーションのためのラッピング実習」を進められた。
その後の実習は、歯科衛生士と歯科技工士の2チームによるグループ別に進んだ。
歯科衛生士実習では、様々な診療場面を想定し必要な院内での「バリアテクニック」を参加者が持ち帰り応用できるスキルアップを目指した「考える」、そして各自が勤務先で「応用可能な」力を身に着けることにポイントを置いた実習が行われた。
歯科技工士実習では、印象体(主にアルジネートや寒天を想定)という繊細な性質を持つものを対象とした感染対策、石膏模型という言わば気孔の集合体に対する感染対策を、大西先生の臨床現場での工夫や、材料メーカーとの共同開発の成果等を含め示された。また今回大西先生には、歯科技工士が忘れがちな基本に立ち返りマスクの装着デモ、UVライトテスターを用い各自の手洗いの「癖」等を知り、正しい手洗いを身に着けるための実習等々も取り入れて頂いた。
 本セミナーは、県行政当局のご理解による平成21年度から23年度の継続事業の一環である。今回も県行政及び歯科3団体関係者がより実り多いものにするため継続した協議を重ね、講師の4名の先生を含め前日にも準備のために大変なご努力を頂いた。改めて感謝申し上げたい。
秋田県歯科技工士会は平成23年度セミナーに関しても、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が統一されたカリキュラムのもと、他職種の取り組みの実際が理解できる「机を並べた」セミナー内容での開催を提案していきたいと考えております。
 「医療関係職種」の歯科技工士として、当然の歯科医療安全・感染予防対策への取り組みですが、秋田県歯科技工士会として更なる努力を継続し、臨床現場での普及を図って行きたいと思います。
セミナー会場を提供頂いた秋田県歯科医療専門学校の教職員の方々、様々なサポートを頂いた秋田県歯科医師会の事務職員の皆様に、誌上お借りして深く感謝申し上げます。

最新の画像もっと見る