筋金入りの二人が語り合う日本人論, 2009/6/28
By 歯職人
筋金入りでかつ試され済みの元衆議院議員・野中広務氏と「みなし言論人」・辛 淑玉氏による、昭和と平成の日本人と国家・日本論と言えるものです。
野中広務氏の個人史を中心に対談が進行し、戦争、差別、アジアと硬質の話題が展開するが、野中氏・辛氏ともに身近な体験を踏まえた全体像への接近、社会総体への視点を持ち合わせまた実践を伴い空理空論にならず、真剣勝負の言葉が飛び交う。
分量としては、辛氏の筆による部分が多いが、政治の中枢・政治の闇に接近した野中氏の言葉の重みにより、共著と十分に呼べるバランスとなっている。いわば辛氏が聞き役であり、野中氏に対し訴える「陳情者」の役割を担っている。
日本の政策・社会保障政策から欠落・除外された「在日」の存在を振り返ることも無く、今だ「国民皆保険」「国民皆年金」との言葉を注釈無く使う「専門家」の群れの軽さが、思い出される。
政治家の顔が、吉田茂、田中角栄、野中広務等と続く「癖のある」顔から、漂白され油抜きの「ボンボン」顔となり、それと同時に言葉が軽くなる現代に、辛氏のメガネに適う数少ない対談者としての野中広務氏の遺言であり、残された仕事への意欲の開陳とも言える書である。
差別にのた打ち回り、血を流した二人による、もう一つの戦後政治史といえる。是非、お勧めしたい一冊です。
サベツトニホンジン カドカワONEテーマ21
角川oneテーマ21
差別と日本人
野中 広務 辛 淑玉【著】《シン スゴ》
角川書店 角川グループパブリッシング〔発売〕 (2009/06/10 出版)
211p / 18cm
ISBN: 9784047101937
NDC分類: 361.8
価格: ¥760 (税込)
詳細
とは、在日とは、なぜ差別は続くのか?誰も語れなかった人間の暗部。
差別への無理解と、差別が差別を生む構造。
第1章 差別は何を生むか(昭和という時代と差別;出身の男とは ほか)
第2章 差別といかに闘うか(関東大震災における虐殺;軍隊と差別 ほか)
第3章 国政と差別(阪神淡路大震災と差別;オウム真理教事件と破防法 ほか)
第4章 これからの政治と差別(ハンセン病訴訟で国が控訴を断念;人権擁護法案 ほか)
まだ差別の歴史は終わっていない。
日本の中に蔓延る「差別」。日本人はいつから「差別」と関わり続けているのか?日本のタブーに論客2人が論じる日本の行方と日本人論の決定版。
【目次】
第一章 差別は何を生むか
昭和という時代と差別/出身の男とは/自民党という不思議な政党/日本人とは何なのか
第二章 差別といかに闘うか
関東大震災における虐殺/軍隊と差別/軍隊内差別/政治家を目指す/差別は地域差別ではない/結婚と差別/解放運動と地方政治/差別をめぐる事件/糾弾闘争とはなんだったのか/野中広務と共産党・解放同盟/町長から府議へ
第三章 国政と差別
阪神淡路大震災と差別/オウム真理教事件と破防法/軍用性奴隷と国民基金/国旗国家法案/民にとって、「天皇」とは/新井将敬の死は何を意味するのか?/女性の社会進出/アメリカにとって日本とは
第四章 これからの政治と差別
ハンセン病訴訟で国が控訴を断念/人権擁護法案/重度章がい者の授産施設/石原慎太郎の暴言/麻生太郎の暴言/財閥、天皇制、被差別民/小泉純一郎の政治姿勢/オバマ大統領の存在意義/これからの時代に/最後の使命
著者紹介
野中広務[ノナカヒロム]
1925年、京都府船井郡園部町(現在の京都府南丹市園部町)に生まれる。51年に園部町議に初当選。以後、園部町長、京都府議、副知事を歴任し、83年、衆議院議員に初当選。98年、小渕政権の官房長官、2000年、森政権誕生とともに自民党幹事長に就任(同年12月辞任)。03年、議員を引退。現在は社会福祉法人京都太陽の園の理事長として福祉事業に取り組んでいる
辛淑玉[シンスゴ]
1959年、東京都生まれ。85年に(株)香科舎を設立し、人材育成コンサルタントとして活躍中。年間百数十本の研修・講演を行うかたわら、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどあらゆるメディアで論説活動を展開し、構造的弱者支援のための活動をさまざまに実践している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
By 歯職人
筋金入りでかつ試され済みの元衆議院議員・野中広務氏と「みなし言論人」・辛 淑玉氏による、昭和と平成の日本人と国家・日本論と言えるものです。
野中広務氏の個人史を中心に対談が進行し、戦争、差別、アジアと硬質の話題が展開するが、野中氏・辛氏ともに身近な体験を踏まえた全体像への接近、社会総体への視点を持ち合わせまた実践を伴い空理空論にならず、真剣勝負の言葉が飛び交う。
分量としては、辛氏の筆による部分が多いが、政治の中枢・政治の闇に接近した野中氏の言葉の重みにより、共著と十分に呼べるバランスとなっている。いわば辛氏が聞き役であり、野中氏に対し訴える「陳情者」の役割を担っている。
日本の政策・社会保障政策から欠落・除外された「在日」の存在を振り返ることも無く、今だ「国民皆保険」「国民皆年金」との言葉を注釈無く使う「専門家」の群れの軽さが、思い出される。
政治家の顔が、吉田茂、田中角栄、野中広務等と続く「癖のある」顔から、漂白され油抜きの「ボンボン」顔となり、それと同時に言葉が軽くなる現代に、辛氏のメガネに適う数少ない対談者としての野中広務氏の遺言であり、残された仕事への意欲の開陳とも言える書である。
差別にのた打ち回り、血を流した二人による、もう一つの戦後政治史といえる。是非、お勧めしたい一冊です。
サベツトニホンジン カドカワONEテーマ21
角川oneテーマ21
差別と日本人
野中 広務 辛 淑玉【著】《シン スゴ》
角川書店 角川グループパブリッシング〔発売〕 (2009/06/10 出版)
211p / 18cm
ISBN: 9784047101937
NDC分類: 361.8
価格: ¥760 (税込)
詳細
とは、在日とは、なぜ差別は続くのか?誰も語れなかった人間の暗部。
差別への無理解と、差別が差別を生む構造。
第1章 差別は何を生むか(昭和という時代と差別;出身の男とは ほか)
第2章 差別といかに闘うか(関東大震災における虐殺;軍隊と差別 ほか)
第3章 国政と差別(阪神淡路大震災と差別;オウム真理教事件と破防法 ほか)
第4章 これからの政治と差別(ハンセン病訴訟で国が控訴を断念;人権擁護法案 ほか)
まだ差別の歴史は終わっていない。
日本の中に蔓延る「差別」。日本人はいつから「差別」と関わり続けているのか?日本のタブーに論客2人が論じる日本の行方と日本人論の決定版。
【目次】
第一章 差別は何を生むか
昭和という時代と差別/出身の男とは/自民党という不思議な政党/日本人とは何なのか
第二章 差別といかに闘うか
関東大震災における虐殺/軍隊と差別/軍隊内差別/政治家を目指す/差別は地域差別ではない/結婚と差別/解放運動と地方政治/差別をめぐる事件/糾弾闘争とはなんだったのか/野中広務と共産党・解放同盟/町長から府議へ
第三章 国政と差別
阪神淡路大震災と差別/オウム真理教事件と破防法/軍用性奴隷と国民基金/国旗国家法案/民にとって、「天皇」とは/新井将敬の死は何を意味するのか?/女性の社会進出/アメリカにとって日本とは
第四章 これからの政治と差別
ハンセン病訴訟で国が控訴を断念/人権擁護法案/重度章がい者の授産施設/石原慎太郎の暴言/麻生太郎の暴言/財閥、天皇制、被差別民/小泉純一郎の政治姿勢/オバマ大統領の存在意義/これからの時代に/最後の使命
著者紹介
野中広務[ノナカヒロム]
1925年、京都府船井郡園部町(現在の京都府南丹市園部町)に生まれる。51年に園部町議に初当選。以後、園部町長、京都府議、副知事を歴任し、83年、衆議院議員に初当選。98年、小渕政権の官房長官、2000年、森政権誕生とともに自民党幹事長に就任(同年12月辞任)。03年、議員を引退。現在は社会福祉法人京都太陽の園の理事長として福祉事業に取り組んでいる
辛淑玉[シンスゴ]
1959年、東京都生まれ。85年に(株)香科舎を設立し、人材育成コンサルタントとして活躍中。年間百数十本の研修・講演を行うかたわら、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどあらゆるメディアで論説活動を展開し、構造的弱者支援のための活動をさまざまに実践している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)