小泉遺産から安倍・福田・麻生政権の医療政策への二木立先生の分析と評価, 2009/6/28
By 歯職人
医療崩壊が叫ばれ、国民の目にも医療危機が顕在化した2007年から09年を中心とした二木立先生の時評集である。
二木先生は、「本書の目的は、2008年に生じた医療・社会保障政策の転換を複眼的に評価し、それにより生じた医療改革の『希望の芽』の拡大を促進するために、公的医療費増加のための財源確保の道を提起することです。」としている。
注目すべき点として、「第2章 小泉・安倍政権の医療改革―新自由主義的改革の登場と挫折 第3節 よりよい医療制度をめざして 1 よりよい医療制度改革を考える上で3つの幻想を捨てる必要がある」で指摘される医療政策論議に付きまとう俗論としての幻想を捨て議論のスタート地点を確定する必要性を指摘したい。
また、「第5章 医療費と医師数についての常識のウソ 第2節 医師数と医療費の関係を歴史的・実証的に考える 1 医師数抑制の原点は「医療費亡国論」ではない」は、今だ医師等の間で「信仰」されている「ウソ」を指摘し、検証可能な歴史事実把握すら覚束無い、関係者の稚拙な議論をたしなめる。
特に「補章 医療政策をリアルにとらえる視点』第3節 医療ソーシャルワーカーの国家資格化が不可能な理由」は、医療関係職種関係者が教訓とすべき指摘を含み、重要である。繰り返し再生産される医療関係職種団体の「内紛」は、「社会性」の欠如の投影であり、この「内紛」により益を得る者、益を失う者を確実に見定め、歴史の進歩に適う道を選択する必要がある。
二木先生は結論として、「医療の危機・医療荒廃を解決するためには、医療者の自己改革に加えて、日本の医療費水準をヨーロッパ諸国並みに引き上げる公的医療費の拡大が不可欠ですが、その財源についての国民合意は得られていません。」と、現状を分析する。
いずれにしても、2009年夏の国民の審判によって、本書の続編の内容は確定する。本書の問題提起を受けた主権者と医療関係者のリアルな行動の結果が、更には2010年春の「診療報酬改定」として顕在化する。
「人気」を必要とし、また「任期」を背負者たちが、避けて通りたい「財源選択」をタイトルに掲げた本書が、より影響力を持つことを願う。
イリョウカイカクトザイゲンセンタク
医療改革と財源選択
二木 立【著】
勁草書房 (2009/06/15 出版)
227p / 21cm / A5判
ISBN: 9784326700639
価格: ¥2,835 (税込)
詳細
「小さな政府」から「中福祉・中負担」路線へ。
医療政策は部分的に転換されたが、医療危機は広がり続ける。
主要先進国中最低の医療費水準を引き上げる、その財源の現実的選択肢とは?小泉・安倍政権下の医療政策検証から福田・麻生政権下の政策論争まで、リアルタイムに分析。
序章 世界同時不況と日米の医療・社会保障
第1章 医療改革の希望の芽の拡大と財源選択
第2章 小泉・安倍政権の医療改革―新自由主義的改革の登場と挫折
第3章 福田・麻生政権下の医療政策と論争
第4章 今後の医療制度改革とリハビリテーション医療
第5章 医療費と医師数についての常識のウソ
補章 医療政策をリアルにとらえる視点
加速度的に崩壊する医療制度の立て直しにはいま何をすべきなのか。本書は医療費増加要因、医師数と医療費の関係など実証分析を通じ、制度立て直しには公的医療費を増やさざるを得ないことを論証、その財源についても提言する。小泉・安倍~福田・麻生政権下の医療政策と論争、路線転換の展望を検討、よりよい制度への道筋を提示する。
目次
はしがき
序 章 世界同時不況と日米の医療・社会保障
第1節 世界同時不況と日本の医療・社会保障
第2節 オバマ・アメリカ大統領の医療政策と「シッコ」
第1章 医療改革の希望の芽の拡大と財源選択
第1節 医療改革の希望の芽の拡大
第2節 「骨太の方針2008」中の医療改革の複眼的評価
第3節 公的医療費増加の財源選択と私の判断
補 論 医療費の財源選択についての私の考えの変化
第2章 小泉・安倍政権の医療改革――新自由主義的改革の登場と挫折
第1節 小泉政権の医療改革
第2節 安倍政権の医療政策
第3節 よりよい医療制度をめざして
第3章 福田・麻生政権下の医療政策と論争
第1節 福田政権の初期の医療政策
第2節 混合診療解禁論の一時的再燃と凋落
第3節 私が後期高齢者医療制度廃止と老人保健制度復活に賛成する理由
第4節 医療費抑制政策の部分的見直し
第5節 2009年以降の医療政策と医療経営を考える
第4章 今後の医療制度改革とリハビリテーション医療
第1節 2006年医療制度改革関連法の位置づけと今後の医療制度改革の見通し
第2節 リハビリテーション診療報酬改定を中長期的視点から複眼的にみる
第5章 医療費と医師数についての常識のウソ
第1節 後期高齢者の終末期(死亡前)医療費は高額ではない
第2節 医師数と医療費の関係を歴史的・実証的に考える
補 章 医療政策をリアルにとらえる視点
第1節 医療政策の現状と課題――研究者は政策形成にどのように貢献しうるか
第2節 日本の医療・介護保険制度改革と保健・医療・福祉複合体
第3節 医療ソーシャルワーカーの国家資格化が不可能な理由
初出一覧
あとがき
事項索引
人名索引
著者紹介
二木立[ニキリュウ]
1947年生。1972年東京医科歯科大学医学部卒業。代々木病院リハビリテーション科科長・病棟医療部長等を経て、日本福祉大学教授・副学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
By 歯職人
医療崩壊が叫ばれ、国民の目にも医療危機が顕在化した2007年から09年を中心とした二木立先生の時評集である。
二木先生は、「本書の目的は、2008年に生じた医療・社会保障政策の転換を複眼的に評価し、それにより生じた医療改革の『希望の芽』の拡大を促進するために、公的医療費増加のための財源確保の道を提起することです。」としている。
注目すべき点として、「第2章 小泉・安倍政権の医療改革―新自由主義的改革の登場と挫折 第3節 よりよい医療制度をめざして 1 よりよい医療制度改革を考える上で3つの幻想を捨てる必要がある」で指摘される医療政策論議に付きまとう俗論としての幻想を捨て議論のスタート地点を確定する必要性を指摘したい。
また、「第5章 医療費と医師数についての常識のウソ 第2節 医師数と医療費の関係を歴史的・実証的に考える 1 医師数抑制の原点は「医療費亡国論」ではない」は、今だ医師等の間で「信仰」されている「ウソ」を指摘し、検証可能な歴史事実把握すら覚束無い、関係者の稚拙な議論をたしなめる。
特に「補章 医療政策をリアルにとらえる視点』第3節 医療ソーシャルワーカーの国家資格化が不可能な理由」は、医療関係職種関係者が教訓とすべき指摘を含み、重要である。繰り返し再生産される医療関係職種団体の「内紛」は、「社会性」の欠如の投影であり、この「内紛」により益を得る者、益を失う者を確実に見定め、歴史の進歩に適う道を選択する必要がある。
二木先生は結論として、「医療の危機・医療荒廃を解決するためには、医療者の自己改革に加えて、日本の医療費水準をヨーロッパ諸国並みに引き上げる公的医療費の拡大が不可欠ですが、その財源についての国民合意は得られていません。」と、現状を分析する。
いずれにしても、2009年夏の国民の審判によって、本書の続編の内容は確定する。本書の問題提起を受けた主権者と医療関係者のリアルな行動の結果が、更には2010年春の「診療報酬改定」として顕在化する。
「人気」を必要とし、また「任期」を背負者たちが、避けて通りたい「財源選択」をタイトルに掲げた本書が、より影響力を持つことを願う。
イリョウカイカクトザイゲンセンタク
医療改革と財源選択
二木 立【著】
勁草書房 (2009/06/15 出版)
227p / 21cm / A5判
ISBN: 9784326700639
価格: ¥2,835 (税込)
詳細
「小さな政府」から「中福祉・中負担」路線へ。
医療政策は部分的に転換されたが、医療危機は広がり続ける。
主要先進国中最低の医療費水準を引き上げる、その財源の現実的選択肢とは?小泉・安倍政権下の医療政策検証から福田・麻生政権下の政策論争まで、リアルタイムに分析。
序章 世界同時不況と日米の医療・社会保障
第1章 医療改革の希望の芽の拡大と財源選択
第2章 小泉・安倍政権の医療改革―新自由主義的改革の登場と挫折
第3章 福田・麻生政権下の医療政策と論争
第4章 今後の医療制度改革とリハビリテーション医療
第5章 医療費と医師数についての常識のウソ
補章 医療政策をリアルにとらえる視点
加速度的に崩壊する医療制度の立て直しにはいま何をすべきなのか。本書は医療費増加要因、医師数と医療費の関係など実証分析を通じ、制度立て直しには公的医療費を増やさざるを得ないことを論証、その財源についても提言する。小泉・安倍~福田・麻生政権下の医療政策と論争、路線転換の展望を検討、よりよい制度への道筋を提示する。
目次
はしがき
序 章 世界同時不況と日米の医療・社会保障
第1節 世界同時不況と日本の医療・社会保障
第2節 オバマ・アメリカ大統領の医療政策と「シッコ」
第1章 医療改革の希望の芽の拡大と財源選択
第1節 医療改革の希望の芽の拡大
第2節 「骨太の方針2008」中の医療改革の複眼的評価
第3節 公的医療費増加の財源選択と私の判断
補 論 医療費の財源選択についての私の考えの変化
第2章 小泉・安倍政権の医療改革――新自由主義的改革の登場と挫折
第1節 小泉政権の医療改革
第2節 安倍政権の医療政策
第3節 よりよい医療制度をめざして
第3章 福田・麻生政権下の医療政策と論争
第1節 福田政権の初期の医療政策
第2節 混合診療解禁論の一時的再燃と凋落
第3節 私が後期高齢者医療制度廃止と老人保健制度復活に賛成する理由
第4節 医療費抑制政策の部分的見直し
第5節 2009年以降の医療政策と医療経営を考える
第4章 今後の医療制度改革とリハビリテーション医療
第1節 2006年医療制度改革関連法の位置づけと今後の医療制度改革の見通し
第2節 リハビリテーション診療報酬改定を中長期的視点から複眼的にみる
第5章 医療費と医師数についての常識のウソ
第1節 後期高齢者の終末期(死亡前)医療費は高額ではない
第2節 医師数と医療費の関係を歴史的・実証的に考える
補 章 医療政策をリアルにとらえる視点
第1節 医療政策の現状と課題――研究者は政策形成にどのように貢献しうるか
第2節 日本の医療・介護保険制度改革と保健・医療・福祉複合体
第3節 医療ソーシャルワーカーの国家資格化が不可能な理由
初出一覧
あとがき
事項索引
人名索引
著者紹介
二木立[ニキリュウ]
1947年生。1972年東京医科歯科大学医学部卒業。代々木病院リハビリテーション科科長・病棟医療部長等を経て、日本福祉大学教授・副学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)