沖縄戦の実相を「私」の記憶から、「公」の史料として確定する試み, 2009/7/3
By 歯職人
沖縄戦の実相を、沖縄初年兵体験を基礎に公的資料と証言から細部に渡り、一人ひとりの生と死を再現し記録しようとする試みである。
第二次世界大戦における沖縄戦を、沖縄師範学校生徒としまた現地入隊の沖縄初年兵として体験した外間守善氏による生き残った者としての「戦記」である。
外間氏が、己の体験を活字にするための時間が60年の長きを要し、更に体験を記録として残すための客観的資料の裏付けを得るために、多くの証言者を訪ね歩き、アメリカ軍側資料等とも照合と、沖縄戦と自分の体験した戦闘の事実の把握に力を注ぐ。その過程で己と戦友の記憶の曖昧さ、思い違い等々が訂正され、沖縄戦の全体像の一部を形づくる本書が成される。
全体像を後日把握すれば、わずかな距離で、味方同士の連絡が取れず混乱を増幅し損失を増加させたり、知らずに敵と背中合わせの地点にいたりと、戦場の混乱の様相が明らかにされる。
沖縄の捕虜収容所戦での体験、戦後直後の沖縄での教育の再建の様子等興味深い記述が続く。戦後の早い段階で、「日本人」に偽装して九州に上陸を果し、苦労の中で日本で沖縄学を確立した外間氏の原点が、本書から垣間見られる。
ややもすると、一方的な思い込みや勘違いを平然と活字化する現在において、外間氏の命の重さを尊び更に記録することの責任に対する真摯な姿勢に、打ちのめされながら、その徹底する姿勢に学びたい。
日本人が背負うべき原罪としての沖縄・沖縄戦を考える上で貴重な一冊です。
ワタクシノオキナワセンキ マエダコウチ60ネンメノショウゲン マエダコウチロクジュウネンメノショウゲン
私の沖縄戦記―前田高地・六十年目の証言
外間 守善【著】
角川学芸出版 角川書店〔発売〕 (2006/06/23 出版)
251p / 19cm / B6判
ISBN: 9784046210814
NDC分類: 916
価格: ¥1,575 (税込)
詳細
六十年の歳月をへて、初めて語られる沖縄最大の激戦地・前田高地の生と死。
戦争を知る人たちも、次代をになう若者も、すべての人が読んでほしい鎮魂と再生の書。
第1部 沖縄戦序曲(沖縄戦序曲;学童疎開船對馬丸の悲劇;十・十空襲 ほか)
第2部 米軍上陸から敗戦まで(本島上陸;第三十二軍の作戦計画と前田高地;出動命令 ほか)
第3部 捕虜収容所にて(屋嘉捕虜収容所;知花米軍病院;復興の兆し―沖縄諮詢会;沖縄文教学校;おわりに)
沖縄戦記 証言編
著者紹介
外間守善[ホカマシュゼン]
1925年、那覇生まれ。1945年、沖縄師範在学中に現地入隊。戦後、國學院大學に入学。金田一京助、仲原善忠、服部四郎などに師事。「おもろさうし」研究をはじめ、沖縄の言語・文学・文化全般の研究をすすめた。2003年、福岡アジア文化賞大賞受賞。法政大学名誉教授、沖縄学研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
By 歯職人
沖縄戦の実相を、沖縄初年兵体験を基礎に公的資料と証言から細部に渡り、一人ひとりの生と死を再現し記録しようとする試みである。
第二次世界大戦における沖縄戦を、沖縄師範学校生徒としまた現地入隊の沖縄初年兵として体験した外間守善氏による生き残った者としての「戦記」である。
外間氏が、己の体験を活字にするための時間が60年の長きを要し、更に体験を記録として残すための客観的資料の裏付けを得るために、多くの証言者を訪ね歩き、アメリカ軍側資料等とも照合と、沖縄戦と自分の体験した戦闘の事実の把握に力を注ぐ。その過程で己と戦友の記憶の曖昧さ、思い違い等々が訂正され、沖縄戦の全体像の一部を形づくる本書が成される。
全体像を後日把握すれば、わずかな距離で、味方同士の連絡が取れず混乱を増幅し損失を増加させたり、知らずに敵と背中合わせの地点にいたりと、戦場の混乱の様相が明らかにされる。
沖縄の捕虜収容所戦での体験、戦後直後の沖縄での教育の再建の様子等興味深い記述が続く。戦後の早い段階で、「日本人」に偽装して九州に上陸を果し、苦労の中で日本で沖縄学を確立した外間氏の原点が、本書から垣間見られる。
ややもすると、一方的な思い込みや勘違いを平然と活字化する現在において、外間氏の命の重さを尊び更に記録することの責任に対する真摯な姿勢に、打ちのめされながら、その徹底する姿勢に学びたい。
日本人が背負うべき原罪としての沖縄・沖縄戦を考える上で貴重な一冊です。
ワタクシノオキナワセンキ マエダコウチ60ネンメノショウゲン マエダコウチロクジュウネンメノショウゲン
私の沖縄戦記―前田高地・六十年目の証言
外間 守善【著】
角川学芸出版 角川書店〔発売〕 (2006/06/23 出版)
251p / 19cm / B6判
ISBN: 9784046210814
NDC分類: 916
価格: ¥1,575 (税込)
詳細
六十年の歳月をへて、初めて語られる沖縄最大の激戦地・前田高地の生と死。
戦争を知る人たちも、次代をになう若者も、すべての人が読んでほしい鎮魂と再生の書。
第1部 沖縄戦序曲(沖縄戦序曲;学童疎開船對馬丸の悲劇;十・十空襲 ほか)
第2部 米軍上陸から敗戦まで(本島上陸;第三十二軍の作戦計画と前田高地;出動命令 ほか)
第3部 捕虜収容所にて(屋嘉捕虜収容所;知花米軍病院;復興の兆し―沖縄諮詢会;沖縄文教学校;おわりに)
沖縄戦記 証言編
著者紹介
外間守善[ホカマシュゼン]
1925年、那覇生まれ。1945年、沖縄師範在学中に現地入隊。戦後、國學院大學に入学。金田一京助、仲原善忠、服部四郎などに師事。「おもろさうし」研究をはじめ、沖縄の言語・文学・文化全般の研究をすすめた。2003年、福岡アジア文化賞大賞受賞。法政大学名誉教授、沖縄学研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)