規制改革・民間開放推進会議議事録に見る、既得権を抱え込み手放さない官僚の非論理と心理, 2008/9/14
By 歯職人
小泉「規制改革」路線の功罪を論じる以前の官僚組織に巣食う既得権擁護と組織防衛の論理と心理を、客観資料である議事録から提示する著作です。
官僚出身の著者がオリックス宮内ら手勢として、この攻防戦を情報公開を武器としてマスコミ・学者を動員し、官僚への包囲網を構築する過程が本書により再現される。
官僚が己の既得権の存亡の危機に際し、国民のセイフティーネットの維持を優先する訳も無く。現在の格差社会到来の誘引となった「規制改革・民間開放推進」路線が、一定の力を持ちえた時代の証言の書としても意味がある。
政治が混迷する中、力を回復するかに見える官僚組織の「論理と心理」を知る上では有効な一冊である。
カンノキベンガク ダレガキセイヲカエタクナイノカ
官の詭弁学―誰が規制を変えたくないのか
福井 秀夫【著】
日本経済新聞社 (2004/08/25 出版)
270p / 19cm / B6判
ISBN: 9784532351045
NDC分類: 601.1
価格: ¥1,680 (税込)
なぜ同じ店で美容師と理容師が働いてはだめなのか、車の性能は向上しているのにどうして車検は2年に一度なのか、身の回りになお残る経済規制をめぐって官僚との激論を情報公開、規制問題の根深さが浮き彫りに。
ごまかし、その場しのぎ、権限逸脱…公開議事録が明らかにした「裸の王様たち」の論理と心理。
はじめに
第1章 ブラックボックスをこじあけろ――“古習の惑溺”を白日に
1 審議会議事録はすべて公開すべし
2 「 行政」が「行政」訴訟を改革する限界
3 労災保険はモラル・ハザードの集合体
第2章 官尊民卑の執拗低音――権力の偏重は続く
1 患者本位の治療は医療法人と個人開業医のみなしうるのか
2 誰が農地を棄てるのか
3 国公立学校・学校法人至上主義の破綻
4 NPO法人をなぜいじめるのか
第3章 その規制は何のためにあるのか――議論の本位を定ること
1 理容師と美容師が混じると危険か
2 だったら「富山の薬売り」はどうなる
3 幼保一元化を阻む「園児以下」の理屈
第4章 知られざる官の不作為――タコツボ文化の再生産、ササラ文化の不在
1 入管行政のずさんな「政治的裁量」
2 法務省は暴力団の守り神なのか
3 車検はこれほど頻繁に必要か
第5章 規制護持の論理と心理
補論 憲法89条の意味と学校経営への株式会社参入に関する法的論点
参考文献
初出一覧
著者紹介
福井秀夫[フクイヒデオ]
政策研究大学院大学教授。1981年東京大学法学部卒業。京都大学博士(工学)。建設省を経て1996年より法政大学社会学部教授。2000~2001年ミネソタ大学政治学科客員研究員。2001年より現職。戦門は行政法・法と経済学。規制改革・民間開放推進会議専門委員、社会資本整備審議会専門委員、司法制度改革推進本部行政訴訟検討会委員。著書に『東京問題の経済学』(共著、東大出版会、1995年、日本不動産学会賞受賞)、『実務注釈定期借家法』(共編著、信山社、2000年、都市住宅学会賞受賞)、『都市再生の法と経済学』(信山社、2001年、日本地域学会賞・日本不動産学会賞受賞)、『競売の法と経済学』(共編著、信山社、2001年、日本地域学会賞・都市住宅学会賞・日本不動産学会賞受賞)ほか
By 歯職人
小泉「規制改革」路線の功罪を論じる以前の官僚組織に巣食う既得権擁護と組織防衛の論理と心理を、客観資料である議事録から提示する著作です。
官僚出身の著者がオリックス宮内ら手勢として、この攻防戦を情報公開を武器としてマスコミ・学者を動員し、官僚への包囲網を構築する過程が本書により再現される。
官僚が己の既得権の存亡の危機に際し、国民のセイフティーネットの維持を優先する訳も無く。現在の格差社会到来の誘引となった「規制改革・民間開放推進」路線が、一定の力を持ちえた時代の証言の書としても意味がある。
政治が混迷する中、力を回復するかに見える官僚組織の「論理と心理」を知る上では有効な一冊である。
カンノキベンガク ダレガキセイヲカエタクナイノカ
官の詭弁学―誰が規制を変えたくないのか
福井 秀夫【著】
日本経済新聞社 (2004/08/25 出版)
270p / 19cm / B6判
ISBN: 9784532351045
NDC分類: 601.1
価格: ¥1,680 (税込)
なぜ同じ店で美容師と理容師が働いてはだめなのか、車の性能は向上しているのにどうして車検は2年に一度なのか、身の回りになお残る経済規制をめぐって官僚との激論を情報公開、規制問題の根深さが浮き彫りに。
ごまかし、その場しのぎ、権限逸脱…公開議事録が明らかにした「裸の王様たち」の論理と心理。
はじめに
第1章 ブラックボックスをこじあけろ――“古習の惑溺”を白日に
1 審議会議事録はすべて公開すべし
2 「 行政」が「行政」訴訟を改革する限界
3 労災保険はモラル・ハザードの集合体
第2章 官尊民卑の執拗低音――権力の偏重は続く
1 患者本位の治療は医療法人と個人開業医のみなしうるのか
2 誰が農地を棄てるのか
3 国公立学校・学校法人至上主義の破綻
4 NPO法人をなぜいじめるのか
第3章 その規制は何のためにあるのか――議論の本位を定ること
1 理容師と美容師が混じると危険か
2 だったら「富山の薬売り」はどうなる
3 幼保一元化を阻む「園児以下」の理屈
第4章 知られざる官の不作為――タコツボ文化の再生産、ササラ文化の不在
1 入管行政のずさんな「政治的裁量」
2 法務省は暴力団の守り神なのか
3 車検はこれほど頻繁に必要か
第5章 規制護持の論理と心理
補論 憲法89条の意味と学校経営への株式会社参入に関する法的論点
参考文献
初出一覧
著者紹介
福井秀夫[フクイヒデオ]
政策研究大学院大学教授。1981年東京大学法学部卒業。京都大学博士(工学)。建設省を経て1996年より法政大学社会学部教授。2000~2001年ミネソタ大学政治学科客員研究員。2001年より現職。戦門は行政法・法と経済学。規制改革・民間開放推進会議専門委員、社会資本整備審議会専門委員、司法制度改革推進本部行政訴訟検討会委員。著書に『東京問題の経済学』(共著、東大出版会、1995年、日本不動産学会賞受賞)、『実務注釈定期借家法』(共編著、信山社、2000年、都市住宅学会賞受賞)、『都市再生の法と経済学』(信山社、2001年、日本地域学会賞・日本不動産学会賞受賞)、『競売の法と経済学』(共編著、信山社、2001年、日本地域学会賞・都市住宅学会賞・日本不動産学会賞受賞)ほか