(宮城県桜井歯科ネット提出)
輸入入れ歯を実質的に阻止する立法措置等について
2008.12.21
岩澤毅(歯科技工士・秋田市)
歯科・歯科医療の価値を減少させ、歯科医療への国民の信頼を低下させる輸入入れ歯を阻止できない現在の制度を、立法措置等により改革する必要がある。
以下二つの方法を提案する。
1.医療法体系への歯科技工に関する業務委託の追加
医療法第15条の2は、病院、診療所の管理者に対し、「著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託」する場合「当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない」と定めている。
第十五条の二 病院、診療所又は助産所の管理者は、病院、診療所又は助産所の業務のうち、医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務又は患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の入院若しくは入所に著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託しようとするときは、当該病院、診療所又は助産所の業務の種類に応じ、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
医療法第15条の2を受けて、医療法施行規則第9条の8~15に、検体検査、滅菌消毒。患者給食、患者搬送等々8業務とその各々の「基準」が列記されている。
ここに「歯科技工」を9番目の業務として追加し、「基準」は歯科技工所の歯科技工士法上の「構造設備基準」を活用する方法がある。
この措置は、政令(閣議)での「歯科技工業務」の追加、厚生労働省令での「基準」の追加であるから、新たな立法は必要としない。
管理者への義務付けであり、「歯科医師の裁量権」を直接規制するものではなく、また医科の前例を踏まえたものであるから、医事法上の疑義等は少ないものと思われる。
問題点等
①厚生労働省内の担当課が医政局経済課医療関連サービス室である点が、歯科保健課との調整を必要とするものと思われる。
②財団法人医療関連サービス振興会等「周辺」法人と歯科の側の調整が必要と思われる。
③歯科医師の側に「歯科技工指示書」の発行義務の無い現在の片務的状況を解消できない恐れがある。
2.(仮称)歯科補てつ物並びに歯科補てつ物の作成等の業務委託に関する法律の制定
歯科医師の側に「歯科技工指示書」の発行義務の無い現在の片務的状況を解消し、歯科医師・歯科技工士・患者に安全と安心を担保する基準等を含める方向の立法とする。
医療法に準じた体系とし、いわば医療法の「特別法」とし、医科・歯科の整合性を保つことに留意する。
歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関する法律(岩澤案)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関し必要な事項を定めること等により、良質な歯科補てつ物の質の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において、「歯科補てつ物」とは、特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置等をいう。
2 この法律において、「歯科技工所」とは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第五章第二十一条から第二十七条に定めるものをいう。
(品質基準)
第三条 「歯科補てつ物」の品質基準は、良質な歯科補てつ物の確保を図るものでなければならない。
(業務委託)
第四条 病院、歯科診療所の管理者は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
(歯科技工指示書)
第五条 歯科医師は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第四章第十八条に定める歯科技工指示書を発行しなければならない。
(省令への委任)
第六条 「歯科補てつ物」の品質基準は、厚生労働省令で定める。
2005/12/09作成 2005/12/11修正2008/8/22修正
問題点等
①「歯科補てつ物」の品質基準に対する、日本歯科補綴学会・日本歯科技工学会等のガイドライン等の準備が必要ではないか?その場合、時間を要する恐れがある。
②歯科医師に発行が義務付けられる歯科技工指示書は、より高度化する必要は無いか?その場合、歯科医療機関・歯科技工所の契約関係を律するもの、患者に公開可能なものとする必要はないか?
追記
いわば自由貿易体制の維持・発展を国是とするわが国において、輸入入れ歯を直接標的とした措置は、国民の支持等を考慮すれば避けるべきものと考える。
以上
2008.12.21
2009.8.17一部誤字訂正(所→省)不足分挿入(関連)
輸入入れ歯を実質的に阻止する立法措置等について
2008.12.21
岩澤毅(歯科技工士・秋田市)
歯科・歯科医療の価値を減少させ、歯科医療への国民の信頼を低下させる輸入入れ歯を阻止できない現在の制度を、立法措置等により改革する必要がある。
以下二つの方法を提案する。
1.医療法体系への歯科技工に関する業務委託の追加
医療法第15条の2は、病院、診療所の管理者に対し、「著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託」する場合「当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない」と定めている。
第十五条の二 病院、診療所又は助産所の管理者は、病院、診療所又は助産所の業務のうち、医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務又は患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の入院若しくは入所に著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託しようとするときは、当該病院、診療所又は助産所の業務の種類に応じ、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
医療法第15条の2を受けて、医療法施行規則第9条の8~15に、検体検査、滅菌消毒。患者給食、患者搬送等々8業務とその各々の「基準」が列記されている。
ここに「歯科技工」を9番目の業務として追加し、「基準」は歯科技工所の歯科技工士法上の「構造設備基準」を活用する方法がある。
この措置は、政令(閣議)での「歯科技工業務」の追加、厚生労働省令での「基準」の追加であるから、新たな立法は必要としない。
管理者への義務付けであり、「歯科医師の裁量権」を直接規制するものではなく、また医科の前例を踏まえたものであるから、医事法上の疑義等は少ないものと思われる。
問題点等
①厚生労働省内の担当課が医政局経済課医療関連サービス室である点が、歯科保健課との調整を必要とするものと思われる。
②財団法人医療関連サービス振興会等「周辺」法人と歯科の側の調整が必要と思われる。
③歯科医師の側に「歯科技工指示書」の発行義務の無い現在の片務的状況を解消できない恐れがある。
2.(仮称)歯科補てつ物並びに歯科補てつ物の作成等の業務委託に関する法律の制定
歯科医師の側に「歯科技工指示書」の発行義務の無い現在の片務的状況を解消し、歯科医師・歯科技工士・患者に安全と安心を担保する基準等を含める方向の立法とする。
医療法に準じた体系とし、いわば医療法の「特別法」とし、医科・歯科の整合性を保つことに留意する。
歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関する法律(岩澤案)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関し必要な事項を定めること等により、良質な歯科補てつ物の質の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において、「歯科補てつ物」とは、特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置等をいう。
2 この法律において、「歯科技工所」とは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第五章第二十一条から第二十七条に定めるものをいう。
(品質基準)
第三条 「歯科補てつ物」の品質基準は、良質な歯科補てつ物の確保を図るものでなければならない。
(業務委託)
第四条 病院、歯科診療所の管理者は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
(歯科技工指示書)
第五条 歯科医師は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第四章第十八条に定める歯科技工指示書を発行しなければならない。
(省令への委任)
第六条 「歯科補てつ物」の品質基準は、厚生労働省令で定める。
2005/12/09作成 2005/12/11修正2008/8/22修正
問題点等
①「歯科補てつ物」の品質基準に対する、日本歯科補綴学会・日本歯科技工学会等のガイドライン等の準備が必要ではないか?その場合、時間を要する恐れがある。
②歯科医師に発行が義務付けられる歯科技工指示書は、より高度化する必要は無いか?その場合、歯科医療機関・歯科技工所の契約関係を律するもの、患者に公開可能なものとする必要はないか?
追記
いわば自由貿易体制の維持・発展を国是とするわが国において、輸入入れ歯を直接標的とした措置は、国民の支持等を考慮すれば避けるべきものと考える。
以上
2008.12.21
2009.8.17一部誤字訂正(所→省)不足分挿入(関連)