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歯科技工士・岩澤 毅

医療の限界 (新書) 小松 秀樹 (著)

2007年09月30日 | amazon.co.jp・リストマニア
医師の自浄作用が発揮されたと世間が看做した時、本書は生きる, 2007/9/30

By 歯職人

 『医療崩壊「立ち去り型差サボタージュ」とは何か』の著者による、新書版である。
 著者の小松氏の専門家として冷静でありたいとする論述、各事例に対しても単なる伝聞情報ではなく報告書等の吟味の後が窺える。
 また、警察・検察に対しても意見交換を通して、相手の行動様式・その生態等々に分け入って捉えようとしている。
 更に、航空機事故等のシステムの問題・エラーの原因分析等を参照し、医療との相違点・類似点を多角的に捉えるようとしている。
 更には、日本人の死生観の変容、いわば「日本人の劣化」問題にも分け入って医療を取り巻く現状を解明しようとする姿勢である。
 本書の論点は、医師からの支持が多いものと思われるが、本書の主張が生きるのは、医師の自浄作用が発揮され、世間が医療が改善されたと看做した時ではないかと思われる。
 果たしてその時が、近い将来に到来するかの見通しは、はなはだ心許無い。

(イリョウノゲンカイシンチョウシンショ )

新潮新書

医療の限界
ISBN:9784106102189 (4106102188)
220p 18cm
新潮社 (2007-06-20出版)

・小松 秀樹【著】
[新書 判] NDC分類:498 販売価:735(税込) (本体価:700)

日本人は死生観を失った。
リスクのない治療はない。
患者は消費者ではない―。
医療の現場を崩壊させる、際限のない社会の「安心・安全」要求、科学を理解しない刑事司法のレトリック、コストとクオリティを無視した建前ばかりの行政制度など、さまざまな要因を、具体例とともに思想的見地まで掘り下げて論及する。
いったい医療は誰のものか?日本の医療が直面する重大な選択肢を鋭く問う。

第1章 死生観と医療の不確実性
第2章 無謬からの脱却
第3章 医療と司法
第4章 医療の現場で―虎の門病院での取り組み
第5章 医療における教育、評価、人事
第6章 公共財と通常財
第7章 医療崩壊を防げるか

小松秀樹[コマツヒデキ]
1949(昭和24)年香川県生まれ。東京大学医学部卒。都立駒込病院、山梨医科大学(現・山梨大学医学部)助教授などを経て、現在、虎の門病院泌尿器科部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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