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歯科技工士・岩澤 毅

参議院議員櫻井充君提出歯科訪問診療料の算定基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

2002年06月18日 | 質問主意書・答弁書
答弁書第二二号

内閣参質一五四第二二号
  平成十四年六月十八日

内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎   


       参議院議長 倉 田 寛 之 殿

参議院議員櫻井充君提出歯科訪問診療料の算定基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


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   参議院議員櫻井充君提出歯科訪問診療料の算定基準に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十二年度社会医療診療行為別調査によれば、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設その他の入所施設(以下「特別養護老人ホーム等」という。)又は居宅における通院の困難な患者に対する歯科訪問診療を評価する歯科訪問診療料は、平成十二年五月に五万二千百六十二回算定されている。
 歯科訪問診療料は、歯科医師が通院の困難な患者の求めに応じて居宅又は特別養護老人ホーム等に赴いて行う診療を特に評価するためのものであるが、近年、同一の歯科の医療機関が特別養護老人ホーム等を定期的に訪問し、個々の入所者が歯科診療を求めているか否か、通院が困難であるか否か等を精査することなく歯科診療を行い、一律に歯科訪問診療料を請求する事例が見受けられる。
 このような事例について歯科訪問診療料を算定することは歯科訪問診療料を設けた趣旨に合致しないことから、平成十四年度の診療報酬の改定(以下「十四年改定」という。)においては、同一の歯科の医療機関が同時に複数の箇所で歯科訪問診療を実施した場合は、すべての訪問先が居宅である場合を除き、いずれか一か所における診療についてのみ歯科訪問診療料を算定することとし、歯科診療報酬の請求の適正化を図ったものである。
 なお、このような取扱いは歯科訪問診療についてのみ行うものである。

二について

 平成十二年度の診療報酬の改定前においては、同じ特別養護老人ホーム等に入所している複数の患者に対して歯科訪問診療を実施した場合、三人目までの患者について歯科訪問診療料を算定することとしていたが、同年度の診療報酬の改定においては、歯科訪問診療を患者ごとに適正に評価する観点から、歯科訪問診療料を算定する患者数に関する制限を撤廃する一方、歯科診療の実態、医科の一部の診療について設けられている診療時間の基準等を勘案して、二人目以降の患者については診療に要した時間が三十分以上である場合に限り、歯科訪問診療料を算定することとしたところである。
 なお、特別養護老人ホーム等には医師が配置されており、当該医師が特別養護老人ホーム等の入所者の診療を担当することから、当該医師以外の医師が入所者に対して訪問診療を実施したとしても、原則として医科の診療報酬を算定しないこととしている。

三について

 歯科訪問診療料は、通院が困難である患者が所在する居宅又は特別養護老人ホーム等に歯科医師が赴いて行う診療を特に評価するものであることから、その対象となる患者は、心身の状況により通院が困難なものに限定されている。
 近年、通院が困難な患者であるか否かを精査することなく複数の患者の居宅を訪問し、歯科訪問診療料を請求する事例が見受けられたことから、十四年改定においては、現に医科の医療機関に通院していること等により歯科の医療機関への通院が可能と考えられる患者については、歯科訪問診療料等を算定しないことを明確化したところである。
 御指摘の事例を含め、個々の患者が歯科訪問診療料の算定要件に合致するか否かについては、歯科医師が各患者の心身の状況に基づいて判断することとなるが、通院が可能と考えられる患者に係る歯科訪問診療料の請求等の不適正な事例があれば、保険者等が厳正に対処することとなる。
 なお、医科の在宅患者訪問診療料においても、通院が困難な患者であるか否かについては、医師が個々の患者の心身の状況に基づいて判断することとなり、その判断に当たっては、各患者が他の医療機関に定期的に通院しているか否かも勘案されるものである。

四について

 歯科衛生士等によって行われる訪問歯科衛生指導が適切な効果を上げるためには、歯科医師の指示の下で計画的に実施される必要があることから、十四年改定においては、訪問歯科衛生指導料の要件として歯科医師が策定した訪問指導計画に基づいて行うことを追加したところである。なお、当該計画については、歯科医師が適切な歯科訪問診療を行った上で策定することが必要であることから、歯科訪問診療料を算定することができない場合には訪問歯科衛生指導料も算定することができないことを明確化し、特別養護老人ホーム等における歯科訪問診療料の適切な実施を確保することとしている。

五について

 近年、歯科衛生士が患者の病状、実地指導の内容等について歯科医師から指示を受けることなく患者の居宅を訪問して歯科衛生指導を実施し、訪問歯科衛生指導料を請求する事例が見受けられたことから、十四年改定においては、訪問歯科衛生指導料の算定に当たり、歯科衛生士等が歯科医師から直接指示を受ける必要があることを明確化したところである。
 このような改正の趣旨にかんがみ、歯科衛生士等が歯科医師から複数の患者に対する歯科衛生指導について直接指示を受け、当該患者全員に対する歯科衛生指導を終了した後、個々の患者ごとの状態等を当該歯科医師に直接報告し、情報交換を適切に行う場合については、訪問歯科衛生指導料を算定することは可能である。
 また、訪問歯科衛生指導料の算定に当たっては、少なくとも、歯科医師が歯科訪問診療を実施した後に歯科衛生士等が初めて歯科衛生指導を実施する場合又は歯科衛生指導を終了する場合は、歯科医師から直接指示を受けること又は歯科医師へ直接報告を行うことが必要であるが、これらの場合以外の場合の指示又は報告については、歯科医師と歯科衛生士等との間の連携に支障が生じないと認められれば、御指摘のような各種媒体を活用した指示又は報告を行うことも可能である。

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