件名 国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問主意書
提出回次 165回 提出番号 5
提出日 平成18年10月 6日
提出者 大久保勉君
備考
その他
転送日 平成18年10月11日
答弁書受領日 平成18年10月17日
質問主意書
質問第五号
国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十八年十月六日
大 久 保 勉
参議院議長 扇 千 景 殿
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国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問主意書
歯科技工士法(以下「本法」という。)では、試験及び免許により国内において歯科技工に携わる者の資格を定め、これをもって歯科技工業務の適正性を規律している。しかるに近年では、国外で歯科技工物を作成し、これを輸入して患者に供する事例が散見される。国外で作成された歯科技工物(以下「国外作成物」という。)は、本法の定めた有資格者が作成したものでない場合が多いことから、安全性が適格に担保されておらず、口腔及び身体に重大な影響を及ぼしかねない。
そこで、「歯科医療に係る診療報酬点数等に関する質問主意書」(第一六四回国会質問第八〇号)とその答弁も踏まえ、以下のとおり質問する。
一 平成八年度から平成十七年度までの各年度別の国外作成物の輸入量及び輸入金額をそれぞれ明らかにされたい。
二 歯科技工に関して十分な知識と技術を必ずしも持ち得ない者が作成した国外作成物の濫用は、国内において試験及び免許が義務付けられている歯科技工士との公平性に欠けるとともに、資格によって歯科技工業務の適正性を規律するという本法の目的から逸脱することになりかねないとの意見について、政府の見解を示されたい。
三 「国外で作成された補てつ物等の取り扱いについて」(平成十七年九月八日付け医政歯発第〇九〇八〇〇一号厚生労働省医政局歯科保健課長通知、以下「通知」という。)別添では、「国外で作成された補てつ物等を病院又は診療所の歯科医師が輸入し、患者に供する場合は、患者に対して特に以下の点についての十分な情報提供を行い、患者の理解と同意を得るとともに、良質かつ適切な歯科医療を行うよう努めること」とされ、守るべき七点が留意事項として示されている。この通知が守られ、患者への説明が適時かつ適正になされているか、明らかにされたい。
四 国外作成物は、自費診療のみに使用を認めているのか、あるいは保険診療にも認めているのか現状を示されたい。
五 本法第十八条では、歯科技工は指示書によらなければならないことを定めているが、国外作成物の作成過程において、この指示書が適時かつ適正に交付されているのか明らかにされたい。あわせて、本法第十九条に定められている指示書の保存義務が、国外作成物においても厳正に守られているのか明らかにされたい。
六 国外作成物の中には、日本の法令では認められていない物質が使用されている可能性がある。国外作成物にも、国内において本法の下で適正に作成された歯科技工物と同等の品質と安全性を要求するとすれば、輸入時あるいは歯科医師、患者への提供時等に厳正な検査が必要であると考えるが、現行の検査体制について明らかにされたい。
七 国外作成物によって事故が生じた場合、いかなる補償が行われるのか。国内において本法の下で適正に作成された歯科技工物による事故との差異を含め、明らかにされたい。また、歯科医師の責任で国外作成物を使用するのであるから、補償義務は歯科医師にも及ぶと考えるが、これに対する政府の見解を示されたい。
八 国外作成物を歯科医師に提供する業者の中には、「リスクゼロ」等の表現により、事実誤認をもたらしかねない広告で誘引している事例も見られるが、政府はこの事実を認識しているか。また、今後の対策の必要性についての見解を明らかにされたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第五号
内閣参質一六五第五号
平成十八年十月十七日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三
参議院議長 扇 千 景 殿
参議院議員大久保勉君提出国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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参議院議員大久保勉君提出国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問に対する答弁書
一について
平成八年度から平成十七年度までの各年度別の国外で作成された補てつ物等(以下「国外作成補てつ物等」という。)の輸入量及び輸入金額については、把握していない。
二について
補てつ物等の作成に係る制度は国によって様々であり、また、国外で補てつ物等を作成する者の知識及び技術の水準も様々であるため、国外作成補てつ物等を用いることのみをもって、直ちに国内の歯科技工士との公平性に欠けることにはならないと考える。
また、歯科医療においてどのような補てつ物等を用いるかについては、個別の事例に応じて歯科医師により適切に判断されるべきものであり、国外作成補てつ物等を用いることのみをもって、直ちに歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号)の目的から逸脱することにはならないと考える。
三について
個々の患者に対してどのような説明が行われているか等については承知していないが、厚生労働省においては、「国外で作成された補てつ物等の取り扱いについて」(平成十七年九月八日付け医政歯発第○九○八○○一号厚生労働省医政局歯科保健課長通知。以下「通知」という。)を各都道府県に通知しているところであり、今後とも、通知の周知徹底に努めてまいりたい。
四について
お尋ねの国外作成補てつ物等については、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)第六条第一項各号に掲げる医療保険各法による療養の給付又は同法による医療の対象となっていない。
五について
国外で補てつ物等を作成する者に補てつ物等の作成を指示する歯科医師に対して、歯科技工士法第十八条の指示書の交付義務は課されておらず、また、国外で補てつ物等を作成した者に対して、同条の指示書の保存義務は課されていない。
六について
国外作成補てつ物等を輸入する場合及び国外作成補てつ物等を歯科医師又は患者に提供する場合において、国内で作成された補てつ物等と同等の品質及び安全性を担保するための検査に係る法令上の規制は存在しないが、歯科技工については、患者を治療する歯科医師が歯科医学的知見に基づき適切に判断し、当該歯科医師の責任の下、安全性に十分配慮した上で実施されるべきものであり、今後とも、通知の周知徹底に努めてまいりたい。
七について
補てつ物等によって患者の健康に害が生じた場合には、当該補てつ物等が国内で作成されたものであるか国外で作成されたものであるかにかかわらず、民法(明治二十九年法律第八十九号)等に基づき損害賠償が行われる場合があるが、個々の歯科医師の賠償義務の有無及び賠償内容については、個別の事例に応じて判断されることとなるため、一概にお答えすることは困難である。
八について
国外作成補てつ物等を歯科医師に提供する個々の業者がどのような広告を行っているかについては承知していないが、歯科医療においてどのような補てつ物等を用いるかについては、個別の事例に応じて歯科医師により適切に判断されるべきものである。
いずれにせよ、患者に十分な情報を提供する観点からも、国外作成補てつ物等を患者に提供する歯科医師において、十分かつ正確な情報を収集することが必要と考えており、今後とも、通知の周知徹底に努めてまいりたい。
提出回次 165回 提出番号 5
提出日 平成18年10月 6日
提出者 大久保勉君
備考
その他
転送日 平成18年10月11日
答弁書受領日 平成18年10月17日
質問主意書
質問第五号
国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十八年十月六日
大 久 保 勉
参議院議長 扇 千 景 殿
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国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問主意書
歯科技工士法(以下「本法」という。)では、試験及び免許により国内において歯科技工に携わる者の資格を定め、これをもって歯科技工業務の適正性を規律している。しかるに近年では、国外で歯科技工物を作成し、これを輸入して患者に供する事例が散見される。国外で作成された歯科技工物(以下「国外作成物」という。)は、本法の定めた有資格者が作成したものでない場合が多いことから、安全性が適格に担保されておらず、口腔及び身体に重大な影響を及ぼしかねない。
そこで、「歯科医療に係る診療報酬点数等に関する質問主意書」(第一六四回国会質問第八〇号)とその答弁も踏まえ、以下のとおり質問する。
一 平成八年度から平成十七年度までの各年度別の国外作成物の輸入量及び輸入金額をそれぞれ明らかにされたい。
二 歯科技工に関して十分な知識と技術を必ずしも持ち得ない者が作成した国外作成物の濫用は、国内において試験及び免許が義務付けられている歯科技工士との公平性に欠けるとともに、資格によって歯科技工業務の適正性を規律するという本法の目的から逸脱することになりかねないとの意見について、政府の見解を示されたい。
三 「国外で作成された補てつ物等の取り扱いについて」(平成十七年九月八日付け医政歯発第〇九〇八〇〇一号厚生労働省医政局歯科保健課長通知、以下「通知」という。)別添では、「国外で作成された補てつ物等を病院又は診療所の歯科医師が輸入し、患者に供する場合は、患者に対して特に以下の点についての十分な情報提供を行い、患者の理解と同意を得るとともに、良質かつ適切な歯科医療を行うよう努めること」とされ、守るべき七点が留意事項として示されている。この通知が守られ、患者への説明が適時かつ適正になされているか、明らかにされたい。
四 国外作成物は、自費診療のみに使用を認めているのか、あるいは保険診療にも認めているのか現状を示されたい。
五 本法第十八条では、歯科技工は指示書によらなければならないことを定めているが、国外作成物の作成過程において、この指示書が適時かつ適正に交付されているのか明らかにされたい。あわせて、本法第十九条に定められている指示書の保存義務が、国外作成物においても厳正に守られているのか明らかにされたい。
六 国外作成物の中には、日本の法令では認められていない物質が使用されている可能性がある。国外作成物にも、国内において本法の下で適正に作成された歯科技工物と同等の品質と安全性を要求するとすれば、輸入時あるいは歯科医師、患者への提供時等に厳正な検査が必要であると考えるが、現行の検査体制について明らかにされたい。
七 国外作成物によって事故が生じた場合、いかなる補償が行われるのか。国内において本法の下で適正に作成された歯科技工物による事故との差異を含め、明らかにされたい。また、歯科医師の責任で国外作成物を使用するのであるから、補償義務は歯科医師にも及ぶと考えるが、これに対する政府の見解を示されたい。
八 国外作成物を歯科医師に提供する業者の中には、「リスクゼロ」等の表現により、事実誤認をもたらしかねない広告で誘引している事例も見られるが、政府はこの事実を認識しているか。また、今後の対策の必要性についての見解を明らかにされたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第五号
内閣参質一六五第五号
平成十八年十月十七日
内閣総理大臣 安 倍 晋 三
参議院議長 扇 千 景 殿
参議院議員大久保勉君提出国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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参議院議員大久保勉君提出国外で作成された歯科技工物の取扱いに関する質問に対する答弁書
一について
平成八年度から平成十七年度までの各年度別の国外で作成された補てつ物等(以下「国外作成補てつ物等」という。)の輸入量及び輸入金額については、把握していない。
二について
補てつ物等の作成に係る制度は国によって様々であり、また、国外で補てつ物等を作成する者の知識及び技術の水準も様々であるため、国外作成補てつ物等を用いることのみをもって、直ちに国内の歯科技工士との公平性に欠けることにはならないと考える。
また、歯科医療においてどのような補てつ物等を用いるかについては、個別の事例に応じて歯科医師により適切に判断されるべきものであり、国外作成補てつ物等を用いることのみをもって、直ちに歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号)の目的から逸脱することにはならないと考える。
三について
個々の患者に対してどのような説明が行われているか等については承知していないが、厚生労働省においては、「国外で作成された補てつ物等の取り扱いについて」(平成十七年九月八日付け医政歯発第○九○八○○一号厚生労働省医政局歯科保健課長通知。以下「通知」という。)を各都道府県に通知しているところであり、今後とも、通知の周知徹底に努めてまいりたい。
四について
お尋ねの国外作成補てつ物等については、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)第六条第一項各号に掲げる医療保険各法による療養の給付又は同法による医療の対象となっていない。
五について
国外で補てつ物等を作成する者に補てつ物等の作成を指示する歯科医師に対して、歯科技工士法第十八条の指示書の交付義務は課されておらず、また、国外で補てつ物等を作成した者に対して、同条の指示書の保存義務は課されていない。
六について
国外作成補てつ物等を輸入する場合及び国外作成補てつ物等を歯科医師又は患者に提供する場合において、国内で作成された補てつ物等と同等の品質及び安全性を担保するための検査に係る法令上の規制は存在しないが、歯科技工については、患者を治療する歯科医師が歯科医学的知見に基づき適切に判断し、当該歯科医師の責任の下、安全性に十分配慮した上で実施されるべきものであり、今後とも、通知の周知徹底に努めてまいりたい。
七について
補てつ物等によって患者の健康に害が生じた場合には、当該補てつ物等が国内で作成されたものであるか国外で作成されたものであるかにかかわらず、民法(明治二十九年法律第八十九号)等に基づき損害賠償が行われる場合があるが、個々の歯科医師の賠償義務の有無及び賠償内容については、個別の事例に応じて判断されることとなるため、一概にお答えすることは困難である。
八について
国外作成補てつ物等を歯科医師に提供する個々の業者がどのような広告を行っているかについては承知していないが、歯科医療においてどのような補てつ物等を用いるかについては、個別の事例に応じて歯科医師により適切に判断されるべきものである。
いずれにせよ、患者に十分な情報を提供する観点からも、国外作成補てつ物等を患者に提供する歯科医師において、十分かつ正確な情報を収集することが必要と考えており、今後とも、通知の周知徹底に努めてまいりたい。