秋田たすけあいネットあゆむは子どもの貧困問題に対して、「食料支援」「こども食堂」「平日の居場所事業」「無償の学習塾」「LINE相談」「まちなか保健室」「緊急宿泊所」等の事業を行っています。
日本における子どもの貧困の特徴として、「ひとり親家庭の半数が貧困状態にある」ことが挙げられます。厚生労働省の調査(2016年)によると、ひとり親家庭の貧困率は50.8%で、先進国の中でも最悪な水準です。秋田県も年収180万以下暮らすひとり親世帯が6割を超えています。
ひとり親家庭は圧倒的に母子家庭が多いため、子育てをしながらでは正規雇用に就きにくく、安定した収入を得られないことが影響しています。
さらには親が1人で夜遅くまで働く場合が多いので、子どもと接する時間が短くなります。そのため、
• 子どもは家事をすべてこなすため勉強時間の確保ができない
• 1人で食事を取らなければならない
• 放課後に友達と遊ぶ時間がない
などの問題に直面しています。
「子どもの貧困」が深刻な問題であることはあまり知られていません。その理由は、貧困である子どもや親にその自覚がなかったり、自覚していても周囲の目を気にして、助けを求めなかったりするためです。このように、子どもの貧困は見えにくい問題です。
子どもが貧困により受ける影響と問題点では、貧困状態にある家庭の子どもは、十分な食事をとれていない場合があります。
2017年に行われた内閣府の調査によると、低収入世帯では朝食を食べていない子どもが、非定収入世帯に比べて1.8倍高いことがわかっています。
食事をとれていたとしても、親が仕事で忙しく、インスタント食やコンビニ弁当ばかりの食事で栄養摂取の偏りがあるという例もあるようです。
成長期の子どもにとって、栄養バランスのとれた食事は重要です。満足な食事をとれなければ健全な成長を阻害する要因になります。
教育を受けられない
子どもの進学率
引用元:内閣府「国における子どもの貧困対策の取組について(2018年)」
内閣府の調査によると、子どもの進学率は家庭環境に大きく影響されることがわかります。
全世帯の子どもの大学進学率が73.2%なのに対して、ひとり親家庭では58.5%、生活保護世帯では33.1%、児童養護施設では24.0%まで減少します。
その理由として考えられるのは、貧困に陥っている家庭は、塾に行けなかったり、参考書を買ってもらえなかったりなど、学習の機会が限定されてしまう傾向にあることです。さらに、親の収入によって進学することができないといった教育格差が生まれてしまっているのです。
秋田たすけあいネットあゆむは2016年から「無償の学習塾」をおこなっています。中学2年生・3年生を対象に毎週土曜日開催しています。
子どもが1人で家にいる時間が長くなる
【時間貧困と家族のつながりー子どもと夕食を共にする頻度ー】
引用元:子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書(2017年)
国は基礎的活動時間(睡眠・食事・身の回りの用事)と最低限必要な家事時間を設定し、「時間貧困」と定義しています。低所得者層やひとり親世帯は時間貧困に当てはまり、国の調査によると親子が過ごす時間が短いことがわかっています。
時間貧困世帯では、子どもと夕食を共にする頻度が「ほぼ毎日」である割合が半分に満たず、「週に1~2回」と答えた世帯は3割近くになりました。
親がいないことで子どもは宿題を見てもらえず、勉強をする習慣が身につきません。中には「お風呂の入り方がわからない」といった子どもの例もあるほどで、貧困状態の子どもは、成長の過程で学ぶべき当たり前の生活習慣を学ぶことができないのです。
貧困に陥ることで、自己肯定感が低くなる傾向もあります。
また、「友達に好かれていると思うかどうか」に「そう思わない」という否定的な回答をした子どもの割合は、非生活困難層では20.9%だったのに対して、生活困窮層では31.6%でした。学校での休み時間を楽しみと思うかどうかについても、生活困窮層の子どもほど休み時間を「楽しみ」と回答する割合が低いという結果もあります。
貧困によって、
• 周りの友達と比べて塾や習い事に行けない
• 親と一緒に過ごす時間が短い
• 服を買ってもらえない
などの経験が積み重なることで、「自分には価値がない」と思い込んでしまう傾向にあるようです。
このような自己肯定感の低下は、学習意欲を削ぎ、将来への夢や希望を失ってしまう原因になります。子どもが将来の目標を持てないことは、学力の低下へつながり、ゆくゆくは就業率などにも影響します。
実態を理解し、秋田県でも地域で支援する団体が増える事を希望しています。