あの日は風もなく空はどこまでも青く広がっておりました。だれもが穏やかな笑みを浮かべて,海の中道は海浜公園のひとときを心静かに楽しんでいたのです。
ほら,こんなにみなさん優し気な顔をしていらっしゃるじゃありませんか。
なのに,私は見てしまったのです。何の抵抗もできないあの人を,うっ,あいつはわがもの顔で乱暴狼藉の限り。はたで声も出せずただただ立ちすくんでいる私たちを尻目に,あっちつついたりこっちこづいたりとやりたい放題。「あぁ,この世に神も仏もないものか」と,私たちは天を恨んだものでした。
ほら,これが現場の写真です。隙をみて,私必死に撮ったんです,あいつに気づかれないようにって。絶対こいつが犯人ですって! 動かない証拠でしょ,早く捕まえてくださいな。
えっ,この後どうなったかって? さんざんにあの人をいたぶったあげく,あきちゃったらもうポイよ。
黒いサングラスをかけた顔にぞっとするような笑みを浮かべたかと思うと,「俺によるんじゃねぇぞ」って,しっぽの先から鋭い針をチラチラ出して見せて私たちを脅すと,悠々と飛んで行っちゃった。どっちの方角かって? そんなのわかるわけないじゃない。あれをほんとの「高飛び」っていうんじゃないの。
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