日々のスケッチ

日常の出来事、感じた事、考えた事、気の向くままにつらつらと・・・。

階段から落ちる

2013-03-08 19:29:01 | 老いを受け入れる

階段と言っても屋内ではない。

我が家の勝手口から裏庭に出るためにはコンクリートのたたきから

階段を4段ほど降りなければならない。

そのたたきから階段を全て抜かして地面に後ろ向きに落ちたのだ。

 

前々からその手すりも囲いもない無防備なたたきが不安だった。

特に面倒臭がりの私は両手に洗濯物などを持って不安定な体勢で階段を下りることが多かった。

ひやっとすることもしばしばあった。

そして、ついに、落ちてしまったのだ。

 

バランスを崩し落ちそうになってから少しの間は勝手口のドアのちいさなとっかかりに

右手の中指一本でしがみついていた。

どのくらいの時間だったろう。

私には結構長く感じられたが多分数秒だろう。

 

何故ドアに必死でしがみついていたのか。

その時裏庭には主人がいたからだ!

すぐ近くで犬におしっこをさせていたのだ。

だから私が階段から落ちそうになったのを見てすぐ支えに来てくれると思った。

だから少しでもどこかにしがみついて我慢していれば助けてもらえると思ったのだ。

勝手口の側には娘もいた。

すぐに手を貸してくれると思った。

少しでも頑張っていれば、家族がみんなで私を助けてくれると思ったのだ!

 

私の叫び声に驚く家族の顔、

ドアにしがみつく私の右手の中指がじりじりとはずれる、

後ろ向きに落ちる私の身体、

全てがスローモーションのようだった。

 

そして私はお尻から転落。

その後家族があたふたと駆け寄る。

 

もう遅いわっ!!

 

「いざという時にはなかなかすぐに動けないものだね~」

などと話し合う主人と娘。

 

誰も私を助けてくれなかった。

階段から落ちたことより、思い切り打ちつけたお尻の痛みより

実はそのことがショックだった。

あんなに頑張って助けを待ったのに・・・。

 

後ろ斜め45度に傾く身体の重みと闘いながら

必死にドアにしがみついた私の右手の中指だけが

この悲しみを理解してくれる。

 

 

 


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4 Comments

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お見舞い (pfaelzerwein)
2013-03-09 00:52:22
大変でしたね。恐らく、しがみついている時間は客観的には僅かで、誰にも助けられなかったと思います。

まだまだお若いので「違うショック」は無いようですが、日常生活では気がつかない足腰とか身体全身の運動能力低下や場合によっては隠された病弊などの加齢に伴うものがこうして現れることがありますので、然したる怪我も無かったようですから、将来のために疑って掛かる良い機会かとも思います。

久しぶりのコメントでのお見舞いとなりましたが、健康には是非お気をつけください。
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pfaelzerweinさん (amenbo)
2013-03-09 13:10:47
ご無沙汰しております。
ここを忘れずにいてくださってとても嬉しいです。

pfaelzerweinさんに「誰にも助けられなかったと思います」と言われると、何だか説得力があって諦められるような気がします。

今回の出来事は、ご指摘の通り「加齢に伴う身体全体の運動能力の低下」のせいだと思っています。
そのショックは勿論とても大きくて、だからこんなカテゴリーで書いた訳なのです。

お見舞いのコメントをありがとうございました。
心の薬になりました。
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Unknown (パチュリ)
2013-03-11 09:29:55
大丈夫ですか?
大きなお怪我にならなかったのが幸いです。
とは言え怖い思いをされましたね…。
「老いを受け入れる」というタイトル、とてもツボだったのですが…
わかるヮ~と頷きながら読みました。
私もここ数年あれ?という事が時々…。
階段降りてきて踏み外して残り2段をすべりおちたり。
怪我には至らずビックリしただけで済んだんですが、それからふと思い立ち掛け捨てのケガの保険に入りました…。
怪我の心配もありますが、心の持ちようが少し変わってきた気もします。
結構頑固になったかな~。
私も少しずつ老いを受け入れています。


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パチュリさん (amenbo)
2013-03-11 13:54:38
今回大きな怪我にならなかったのは、恐らく、お尻にたっぷり贅肉がついていたからだと思います。
健康面でも美容面(?)でも家族の非難の的であり私の悩みの種であった肥満が図らずも私を救ってくれたのは皮肉なことでした(笑)

老いは個人的なことで、老いて行くのは孤独なことだと思っていましたが、お仲間ができたようで嬉しいです。
ご一緒に愚痴りながらやって行きましょう。
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