<誰か老いざらむ?> 版画技術としても特異なもので 原画はどの範疇にもいれられない ルオーそのものであり そこでは従来の銅版画の技法は埋もれて ほとんど水墨画の明暗を生んでいる <深淵より>の深みである。...高田博厚
土曜日 私が0市から夜行列車でK半島の海沿いをぐるっと周って東に向かう Tちゃんは朝早くの列車で西に向かう 朝S市で会う ということが 何回か のある暮れがた 行くとこもなく小高い公園のベンチに ふたりはすわった 日が暮れて来る 私とTちゃんは 緊迫してきた 私は Tさん といったら Tちゃんは あははは 笑ったのだ 私はこわばってしまった 暗くなった公園を出た 寿司屋があったので 入った お酒を飲んだ Tちゃんも飲んだ Tちゃんの民宿に泊まった時泊るお客さんはたいていお酒を飲むけどあなたは飲まないからいいと 言っていたのに そして いつものように S駅のホームで Tちゃんの乗った列車を見送った
S市でなにをしていたのか思い出せない 大きな川の近くに行ったことはかすかに覚えている 私はその日の夜行列車で0市に Tちゃんは反対方向の家へ終列車で帰る それまでの時間を そんなに大きくないS市で過ごしたのだが 何をしていたのか 記憶からきえている ただTちゃんは 楽しそうだった
私は 仕事場である0市に東まわりの私鉄で帰った 9月のある土曜日 0市のT駅始発の夜行列車で南のS市に向かっていたK半島をぐるっと周って明け方S市に着いた ホームの洗面所で顔を洗って 待っていると 反対方向から列車がきて Tちゃんが降り立った 会う約束がしてあったのだ S市はちょっと観光都市の普通の街だった 小高いところに公園があり池があった 貸しボート屋があり ふたりでボートに乗った どんよりした池で 私たちだけだったので ちょっと淋しかったが Tちゃんは楽しそうに笑っていたので 一生懸命 ボートをこいだ
あくる日 村の盆踊りにさそわれてTちゃんと行ったが明かりもなく暗闇で踊る盆踊りだった 途中で帰った 次の日 o市からK半島まわり帰省の旅だし お金もなくってきた 宿代を払ったら帰省先へも辿りつけない 無賃乗車で家に帰った その頃はそういう 帰って 家から Tちゃんに手紙を書いた
Tちゃんは 浴衣姿だ海育ちだけど色白で かわいいね 列車は満員だった トンネルを出るととなり町だ 花火見物の人でいっぱいだ Tちゃんはよく見えるところに 連れていってくれた 花火は次々打ち上げられる あっ私の好きなの! Tちゃんがいった 帰りに ごったがえす町で かき氷を食べた
いつまでも ふたりは 疲れることを知らず 泳いでいた 水からあがって 陽の落ちる頃 砂浜で会おう ということになった 夕食を終え 砂浜に行くと Tちゃんは 東京から帰ってきたという友だちを連れてきているのだ 3人で 薄暗くなるまで海を眺めて話をした 帰り道 Tちゃんが 明日 となり町で花火大会があるから行こうといった ふたりで行くことになった
加藤眞琴プログ、ドローイングの日々。gallery,amk8
いきものは、生きている限り、視覚.聴覚.嗅覚.触覚…が躯を刺戟する…それをことば.形で表したい。