≪選抜出場校の思い出 その4≫
東海代表 大垣日大(岐阜) 6度目(2年ぶり) 準優勝1回
夏5度出場 甲子園通算15勝11敗
大垣日大といえば、やはり引退した阪口監督が思い浮かびます。というか、阪口監督しか、思い浮かびません。それだけ阪口監督の存在が大きかったチームですね。その阪口監督が23年をもって引退するわけですが、最後の大会は何か、素晴らしかったですね。選手たちの思いも強く、そして阪口監督もご老体に鞭打ってベンチで采配を振るっていました。最後の数年間は、ライバルである県岐阜商にあの鍛治舎監督が就任し強烈な光を放っていましたから、負けず嫌いの阪口監督はより一層燃えていた感じでしたね。大垣日大の戦いを振り返ってみると、特筆されるのは最初の年、2007年の選抜準優勝、選手権8強や、2010年チームの明治神宮大会制覇などもありますが、ワタシは甲子園での堅実な戦いだと思います。
11回の出場で8回の初戦突破は、やはり特筆すべき実績だと思います。ものすごい選手をそろえていなくとも、しっかりしたオーソドックスな野球で力を伸ばし、甲子園でも勝利に導く。これ、やはり東邦時代からの阪口監督の教えそのものですね。よく鍛えられたチームです。岐阜県は阪口監督が引退し、鍛治舎監督も去りました。これから新しい時代に向かっていくと思います。新しい波をどこが起こすのか、そんなことにも注目が集まっています。
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大垣日大が選抜連続出場。昨年の記事の中で、大ベテランの阪口監督が「最後の舞台になるかも」なんて失礼なことを書きましたが、なんのなんの、今年もまた、連続で甲子園をつかみ取りました。脱帽です。さて、昨年はやはり出場の経緯が不透明(大垣日大が不透明なわけではなく、選んだ方に不透明さが残ったという意味)だったので、今一つ力を発揮できなかったような感じが残りましたが、今年はどうでしょうか。上の常葉大菊川のところでも書きましたが、初出場の時に決勝まで進出、決勝の相手は同じ東海地区の常葉大菊川でした。東海は4県だけの地区でもあるので、強豪そろいではあるものの、甲子園の決勝での「東海対決」は、ワタシの記憶の中ではこの時限り。そして
その年の夏の選手権でも、お互い勝ち進んだ準々決勝で、この対戦が実現しています。甲子園での2度の対決では、いずれも涙をのんだ大垣日大ですが、今年はそのリベンジのチャンスが訪れたかもしれません。いろいろと「対戦させたいなあ・・・・」と熱望する対決はあるのですが、この大垣日大と常葉大菊川の対戦は、実現させたいカードの一つですね。まだまだその姿はお若いとはいえ、年齢の行く阪口監督、今年が正真正銘の最後の甲子園になるかもしれません。20代から青年監督として甲子園を沸かせた、横浜の渡辺監督も、帝京の前田監督も、智辯和歌山の高嶋監督も、同世代の監督たちはすべて引退しました。阪口監督を甲子園で見られるという幸運を、ワタシは感じながら大垣日大の戦い、見守っていきたいと思っています。
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物議をかもした出場校の選考の末に11年ぶりの出場を飾った大垣日大。77歳の名将、阪口監督が率い、就任2年で甲子園初出場を果たしてから15年。出始めのころの衝撃は薄れましたが、まだまだ元気な阪口監督の下、オーソドックスなチーム作りで頂点を目指しているチームです。選抜に初出場した07年は、全国に衝撃を与える戦いぶりでした。もともと阪口監督が新任校での初采配という事で注目されていたチームでしたが、その戦いぶりは堂々としたもの。1,2回戦を完勝して準々決勝も快勝。準決勝は優勝候補の帝京に対して初回2点を先制されながら、すぐさま4点を返して逆転。エース森田の好投で、堂々と逃げ切っての勝利でした。決勝がまさかの東海決戦、常葉菊川との対決になったのには驚きました。ギリギリの勝負で敗れて「初出場初優勝」とはなりませんでしたが、夏もその力を維持して甲子園にやってきて、堂々と8強まで勝ち進んだのにはさらに驚きました。「さすがは阪口監督」という声が、たくさん飛んでいましたね。ちなみに夏も8強で敗れたのは常葉菊川。リベンジはならずでした。大垣日大はその後も力を維持して、10年のチームは前年秋の明治神宮大会で一足先に「全国制覇」を達成し、選抜でも強打と2枚看板の投手力で4強まで進みました。この頃になると、阪口監督の「複数校での全国制覇」の夢はすぐそこ・・・・・と思っていましたが、その後はなかなか勝ち運に恵まれずに、ベテラン監督は喜寿を迎えています。全国の高校野球監督の中でも最高齢ではないでしょうかね。(数年前には80代の監督もいましたが、今はどうなんでしょうか。)かつての東邦の監督時代から、いわゆる「マジック」と言われる作戦などを駆使して勝つ監督ではなく、しっかりと選手を育成して、グラウンドではオーソドックスな戦法で勝ちに結び付ける監督です。この阪口監督、昭和の時代にバンビ坂本、左腕山田を擁して準優勝2度、平成の時代にはその左腕山田で選抜優勝、そして前述の森田で準優勝に輝いています。特に選抜には強く「春の東邦(阪口)」とも呼ばれていたので、もしかすると現役最後の甲子園になるかもしれない今回の春、上位まで駆け上がる快進撃を見せてくれるかもしれません。
東海代表 常葉大菊川(静岡) 6度目(2年ぶり) 優勝1回
夏6回出場 準優勝1回 甲子園通算18勝10敗
選抜には2年ぶりの出場の常葉大菊川。この2年間の間に、悲しい出来事もありました。それは、元指導者で選抜初優勝の時の監督、森下氏が急逝したことです。まだまだ活躍が期待されていた監督の急逝は、常葉大菊川にとっても少なからずショックだったと思います。そんな常葉大菊川、やっぱり思い出すのは07年、08年の強烈な思い出ですね。静岡といえば言わずと知れたサッカー王国。野球はというと、鈴岡と浜松商が東西の2強として君臨していた時代が長かったものの、決して全国の大会で強烈な印象を残していたわけではありませんでした。オーソドックスとか粘りとか、そういったキーワードが「静岡野球」だったと思いますが、それをこの07年、08年の常葉菊川は、ことごとく覆すものすごいチームでしたね。特に打線のものすごさは、後世まで語り継がれるレベルのもの。振り切る打撃で、打球が早かった。どんどんつながっていくその打線で、次々と強豪をなぎ倒して、進撃していきました。特に印象深いのは08年夏のチームの打線。打ち出したら止まらないこのチーム、2回戦の倉敷商戦で5回一挙7点を挙げると、準々決勝の智辯和歌山戦は6回一挙10点、準決勝の浦添商戦でも2回一挙9点をあげました。ホント、まさに打ち出したら止まらない大会氏に残るような打線でした。その7年選抜優勝、8年選手権準優勝の後は、思ったような成績があげられず今日まで来ています。しかしあのヤンキースさながらのユニフォームで、ダイヤモンドを駆け巡る常葉菊川の躍動感、また見たいと思っているファンは多いと思います。あのブイブイ言わせていた時代の復活なるか?今年もまた、強打のチームのようですよ。
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常葉大菊川、ほぼ甲子園ファンには常葉菊川という旧名で知られるこのチーム。選抜、そして選手権ともに初出場の時は初戦敗退に終わりましたが、そこからの活躍は目覚ましく、甲子園ファンの脳裏に焼き付くプレーの数々で、記憶に残るチームです。なんといっても記憶に残っているのは、まさかの優勝を飾った07年のチーム。左腕エース田中(DeNA)を擁して、初戦で”甲子園最速”を誇った佐藤由を擁する仙台育英を接戦で破ると、2戦目では甲子園のヒーローだった熊代(元西武)擁する今治西に圧勝。そして準々決勝ではあの中田を擁する大阪桐蔭を破るという大アップセット、準決勝は苦しい戦いになったものの最終回の大逆転で熊本工を葬り去り、決勝では秋の東海大会の決勝を再現した大垣日大との対戦で、これも接戦をものにして、見事に優勝を飾りました。静岡県勢の選抜制覇は、その時監督だった森下監督が選手だった時に浜松商が制覇して以来の快挙でした。夏も各校にマークされながら勝ち進んで4強入り。さらに次の年もエース戸狩に強力打線で勝ち進んで選手権準優勝。決勝では大阪桐蔭に、前年選抜の手痛いしっぺ返しを食らう大敗でしたが、この2年で常葉菊川は完全に「強豪の仲間入り」を果たしました。その後は甲子園で大躍進したことはありませんが、静岡県の強豪として確固たる地位を確立しているチームですね。甲子園での上位進出には、いろいろと課題はあるものの、あのストライプのユニフォームを見ると、センセーショナルだった07年、08年のチームの思い出がよみがえってきて、「また何かやってくれるのでは」と期待させられるチームです。
東海代表 至学館(愛知) 2回出場(8年ぶり)
夏1度出場 甲子園通算 0勝2敗
このところ愛知県内ではずっと上位に君臨している至学館が、8年ぶりに甲子園に帰ってきました。選抜は2度目、そして選手権と合わせると3回目の甲子園になります。何もできなかった2011年夏の初舞台を経て、選抜初出場を成し遂げた前回は、粘りに粘るチームカラーは出したものの延長で惜しくも敗退。という事で、今年の選抜は悲願の甲子園初勝利を狙っています。そしてポップ調の話題の校歌を、ホームベースの後ろに選手がずらっと並んで、甲子園にとどろかせたいですね。まだ至学館がどんなチームなのか、全国の高校野球ファンは知りません。愛知には中京大中京も、愛工大名電も、東邦もあります。そして多くの高校野球ファンは、その名門校がいったいどんなチームなのか、しっかりと語れると思います。それが名門校ってもんです。愛知県の中で新興名門校にならんと頑張る至学館、まずは甲子園でその足跡を残したいところですね。初勝利は譲れませんが、それ以上に、多くのファンの脳裏にインプットされる野球を、やってほしいと思います。
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2006年に創部された新しい学校である至学館。元祖野球どころの愛知県にあって、中京大中京・東邦・愛工大名電らの強豪の分厚い壁を破って甲子園に初めてたどり着いたのが2011年でした。このとき話題になったのが、まずはその校歌。Jポップ調のそのメロディー、甲子園に流れた時は『待ってました』とばかり観衆も聞きほれていましたっけ。そして麻王監督。確かこの時、娘さんも野球部にかかわっていて(マネージャーだったかな?) 一風変わった”父娘鷹”として有名になりましたね。しかしワタシ。それ以上にこの学校についてのイメージは持っていません。それはそうです。まだ1度しか、その試合っぷりを見たことないんですものね。今年のチームは、愛知県大会や東海大会で、何度も追い詰められながらその都度しのぎ、逆転し、何とか切り抜けてここまでたどり着いた粘りのチームのようです。このところ、強豪校の分厚い壁を破り、愛知県からも新興のチームが甲子園に出場してくることが、ちらほらとみられるようになってきました。弥冨、愛知啓成、成章、豊川、豊橋工などがあげられるのですが、そのどの学校も甲子園への登場は一度っきりに終わっています(今のところ)。しかし、至学館はこの春、2度目の大舞台にたどり着きました。これから名門校になっていく過程として、この選抜はとても大切な舞台になると思われます。何とか初勝利・・・・・関係者は願っていることでしょう。
(つづく)
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