動物糞便学研究室

独立系研究者の研究室の様子、研究内容や日々思う事をお伝えします!!

チーズの研究

2023-07-24 12:48:00 | 日記

これまでに私は腸内環境を整える成分を食品から見出してきました。次のターゲットは。チーズです!








私は学生時代からチーズの研究を行い、食べるのも大好き。


そんなこんなでまずサンプルの採集から行いました。国内のチーズを集めに集め、百数十種類。


集めただけ実験が大変になるのですが……


頑張ってサンプルを調製。


サンプルを腸の細胞に与えて腸内環境を整える成分を分泌するのか?一つずつ解析していきます。


そして見出したとある物質。見つけるのに三年を費やしました。いつか社会に役立てられるよう美味しい形で届けられればと思っています。


チーズの前は高山豆腐に含まれるレジスタントプロテイン(消化管で消化されにくく、食物繊維と似たはたらきをするタンパク質)が腸内環境を整える成分の分泌を促進することを明らかにしました。


以下論文の詳細です。

[A soybean resistant protein-containing diet increased the production of Reg3γ through the regulation of the gut microbiota and enhanced the intestinal barrier function in mice

FRONTIERS IN NUTRITION,8(701466) 2021


Abstract:信州の代表的な伝統食品の一つである「凍り豆腐」の生体調節機能について、産学連携の共同研究を展開している。とくに、凍り豆腐の原材料となる大豆に由来するタンパク質として、大豆難消化性タンパク質(Soy resistant protein, SRP)の機能性に注目した。凍り豆腐には、食物繊維と似た働きをするSRPが豊富に含まれており、これまで培ってきた腸内細菌学分野での研究経験を活かして、SRP投与マウスにおける腸菌叢解析を行った。その結果、腸内で感染性病原細菌の増殖を抑制できる抗菌ペプチドの一つReg3γの産生が誘導されることを発見した。さらに、腸内環境悪化に関与する腸細菌を著しく減少することを発見した。]


ギンザメの腸内細菌

2023-07-22 21:08:08 | 日記
私の研究室ではさまざまな生物の腸内細菌を調べている。 

 深海魚の腸内細菌も気になるところで、今回は深海魚の中でも人気のあるギンザメ(*1)の腸内細菌を調べてみた。 
 【*1:HP参照:https://www.zukan-bouz.com/syu/ギンザメ】 




 詳細については下記の論文でご覧いただけます。

 題目等;16S rRNA gene amplicon sequencing of the gut microbiota of Chimaera phantasma (silver chimaera) captured off Koshimoda in Suruga Bay, Japan. Microbiology Resource Announcements,e01149-22 2023 

 HP:https://journals.asm.org/doi/10.1128/mra.01149-22 



2022年4月から5月にかけて駿河湾小下田沖で採取されたギンザメの腸内細菌叢を次世代シークエンサー(*2)で網羅的に解析しました。

 【*2:HP参照:https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/73/column4.html#:~:text=DNAを構成する塩基,世代シークエンサーと呼びます%E3%80%82】 


 全体として123種の腸内細菌が存在することがわかりました。 また、Pseudomonadota(論文には旧名称Proteobacteriaとして記載)に属する細菌が主要な種として存在しました。 

 その中でも特に、Photobacteriumが多く存在していました。 

Photobacteriumは発光性があり好塩性(ある程度の塩濃度でも生存可能)の細菌であり、深海魚の腸内細菌としても知られていました。 

 ギンザメの腸内に存在したPhotobacteriumが、 

 捕食由来のものなのか?  

 腸内常在細菌なのか(腸内で育てて自身の発光に役立てているのか?)?

 は確かではありません。 

 今後の研究に乞うご期待。

喉の痛みと無意識

2023-07-22 07:43:00 | 日記
以下、一個人の意見である。

喉元過ぎれば熱さを忘れる、とはよく言ったもので、私もうつで最高潮に体調が悪かったころの苦しさを身体の痛みとして覚えていない。

今、夏風邪にかかって喉が痛いが、前回風邪をひいてどれだけ喉が痛かったかは記憶にない。

良い意味で無意識に忘れていく(全ての人に当てはまるかはわかりません)。

全ては無意識に進んでいく。呼吸でさえ無意識にしている。

意識化する事でひとの傷みのわかる心が養われるのでは?

ヒモミノガとキノコヒモミノガ

2023-07-19 02:27:43 | 紹介
ヒモミノガとキノコヒモミノガ、学名未同定種である。
国際的な名前がまだない種である。

キノコヒモミノガ(下の写真)に最初に出会ったのは2021年の初春であったろうか。
シハイタケ属のキノコにぶら下がっている蓑を見た。



蓑はキノコでできていて細長い。
どうもキノコと木の表面に生えている苔を食べているようであった。

キノコと苔を食べることで体を維持し、羽化して成虫になる。
このエネルギーをものすごく必要とする過程をキノコと苔で過ごすのである。

エネルギーを作り出せる体を維持するには。
腸内細菌が重要なのかと。うんちを調べる私は考えてしまったのであった。

で、いざ腸内細菌を調べようと思ったところ学名未同定。
名前が無いのだから国際的な学術雑誌に名前が載せられないし、投稿もできない(と思っていた。)。

まず、ミトコンドリはDNAを調べて既存のミノムシとの差異を評価した(論文執筆中)。

と、ここまでで4年間を費やした。
研究費は獲得できず自分のお金で全ての研究を進めた。

そして今、やっとウンチの研究を始めた。

下はウンチの写真、No. 27, 28がキノコヒモミノガ幼虫のうんち。食べたキノコがそのまま出ている。タワシのように。菌糸も見える。
No. 29はヒモミノガのウンチ。キノコは食べていないようであった。

この差異を調べた研究論文を蛾類学会発行する雑誌に投稿し、掲載されている(Morphological characteristics of larval case and larval mandible of Gen. et sp. (Psychidae) in Japan. THE JAPAN HETEROCERISTSʼ JOURNAL,303:114-120 2022)。

興味のある方は是非ご連絡を!



必ずキノコと苔をエネルギーにできる仕組みを解き明かしたいと夢見ながら。






猫はわたしの師匠。

2023-07-18 20:47:00 | 日記
猫は自由自適である。
小僧三など私のことなどお構なしだ。

良い意味でこの生き方、できてたら鬱にはならなかったであろう。

であるから師匠とお呼びしている。
とにかく自由。

今日の小僧三とのやりとりは以下です。

私:おっ!待ってたのか?

小僧三:・・・・・(餌くれ目線)




私:お腹空いたのか?

小僧三:シャー

私:これだろう。これこれ。

小僧三:・・・・・・(猛烈な勢いで間合いを詰めてくる!)

私:これは美味いんだぞ。チュルとしてて。





小僧三:シャー

私:わかったわかった。カリカリもか。

小僧三:ペロペロばりばり





見習うべき自由さ。
羨ましい。
なかなかできない。