あぽまに@らんだむ

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苺とショコラ(FF4セシカイ)

2020年03月31日 | スクエニ関連

 

 

これはFF4の終盤、魔導船での前回のWDの前のVDのお話です。

「セシル×カイン」的な腐的要素があります。閲覧には充分注意して下さい。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<苺とショコラ>


魔導船の中、突如女性陣に言われた言葉にカインは目を瞬かせた。
二人は大きな紙袋を抱え、頬をほんのり染めて嬉しそうだ。
リディアもローザも大きな箱詰めを袋から取り出し、カインに差し出した。

「今日はバレンタインよ?カイン、いつも助けてくれて有難う」

リディアが緑にピンクのリボンが付いた箱をカインに差し出した。
鮮明なピンクのカードがリボンに挟まっている。
きっとリディアが一生懸命書いたカードなのだろう。
ローザが進み出る。

「カイン。今回はトリュフを作ってみたの。甘さは控え目にしたから、大丈夫だと思うわ」

水色に黄色いリボンの付いた箱をローザが差し出す。
ベージュのカードも挟まっている。
毎年ローザには貰っているものの、一度として同じチョコは無かった。
ローザはお菓子作りではバロンで敵う者は居ないだろう。

「俺なんかが貰っていいのか…?」

差し出された箱を交互に見てから、カインは不安そうに二人を見遣る。
既に二回も皆を裏切った身である。
そのせいもあって、傷付いても真っ先に皆を回復させようとするカインに、皆は気付いていたのだ。
リディアがにっこりと微笑む。
細く華奢な手が背伸びしてカインの頭を兜の上から撫でる。

「何言っちゃってるの。カインが一番優しい事、ちゃんと知ってるんだから」

ローザも女神のように微笑んで首を傾げ見上げて来る。

「カイン。あなたに受け取って欲しいの」

カインは兜を被っていて良かったと思った。
涙が溢れて来て視界がぶれる。
そっと目を閉じ何回も瞬きをして必死に涙が零れるのを堪えた。

「二人とも、有難う。喜んで受け取らせて貰おう」

片手では持てない大きな箱を二つも受け取り、カインは嬉しそうに微笑んだ。
リディアもローザも受け取って貰えて嬉しそうだ。
「やったね!」「えぇ!」とはにかみながら、カインに手を振り去って行った。
「次はエッジよ!」「大騒ぎになりそうね」と楽しそうに廊下を歩いて行く。
カインは確かにエッジなら、リディアに貰って大はしゃぎしそうだと漏らした。

「カイン、君もチョコ、貰ったんだ」

背後から声がして、カインは振り返った。
セシルが立っていた。
リディアとローザをカインを通り越して見て居る。
その様子から既にセシルも二人からチョコを貰っているようだった。

「リディアのも結構美味しかったよ?ローザのは勿論美味しかった」
「早いな。もう食べたのか」

カインは自分に割り振られている医療ポッドの横のテーブルに箱を置いた。
二人からのカードを外して読む。
心のこもったカードだった。
カインは嬉しそうに目を細める。
プレゼントの箱を開け、それぞれ味見をしてみる。
確かに二人のチョコは個性的で美味しかった。
その横でセシルはじっとカインを見詰めている。

「…何だ?」

カインが自分をじっと見詰めているセシルに気付き首を傾げる。
セシルは自嘲した。

「カインはくれないの?」

リディアのフルーツ入りチョコケーキを後少しで噴出しそうになったのを、カインは辛うじて堪えた。
慌てて飲み込み性急に呼吸を繰り返す。
そして恨めしげにセシルを睨んだ。
まだ呼吸が荒い。

「なっ…何で俺がお前にやらねばならん!?」

今度はセシルが呆ける番だった。

「え?だってカインは僕の事、好きでしょう?」
「…しっかりしろ。熱があるなら、早めに寝ておけ」

カインはきっぱりと言い切ると箱を丁寧に包み直した。
また改めて食べるつもりなのだろう。
また、このままセシルと会話を続けていると不味い状況になるような気がしたのだ。
セシルは自分の額に手を当て、検温しているようだ。
逃げるなら今の内だ。
リディアとローザはあちらの部屋でエッジにチョコを渡している筈だ。
何なら月の表面に一人で逃げ出した方が安全な気がする。

「僕、カインからのチョコ。欲しいんだけど」
「残念だが、持ち合わせていない。二人からのチョコで我慢しろ」
「じゃあ、カインでいいからさ。きっと甘いだろうし」
「俺は食用じゃない。……!!…だから、俺に近寄るな!」

セシルはカインの言葉など最初から聞く耳など持たない。
みるみる距離を縮められ、カインはいつものように壁際に追い遣られていた。
いつものように学習出来ない処がカインの可愛い処なのだ。
気が付けば一番筋力が高くなっていたセシルは、
撫でるようにカインの被っているドラゴンヘルムを脱がしてしまう。
白金のような金髪がセシルの手の中に零れる。

「魔導船の中でくらい、兜を脱いでいればいいのに…」
「お前やエッジが煩いから嫌だ」

壁に両手を付きセシルはカインの耳許で囁く。
背筋をぞくぞくと震わせながら、カインはついと顔を背ける。
カインなりの最後の反抗なのだろう。
頬を染め次第に耳まで染めていく。

「そりゃぁ…カイン美人なんだから仕方無いでしょ」
「ローザやリディアの方が綺麗だ」
「じゃあ、男の人の中で一番美人」
「…お前な…」

呆れた顔でカインはセシルを睨む。
強い視線の中で困ったような戸惑いも見える。
セシルは微笑んだ。

「本当に君は甘かったり酸っぱかったり…一筋縄ではいかないね」

カインが眉間にシワを寄せ、セシルの胸に手を置く。
必死に突っ撥ねるがセシルはびくともしない。
いつの間にこんなに筋力に差が付いてしまったのか。
悔しい反面、優しげな風貌のセシルが頼もしくもあった。

「何だよ、それ。お前、本当に訳が分からないぞ」
「僕もだよ」

ちゅと音を立てて、セシルがカインの頬にキスをする。
カインは小さく悲鳴を上げると本当に嫌そうに必死にセシルの腕の中から逃げ出そうと抗う。
セシルは楽しげにカインを抱き締め直した。
暴れる手がリディアの箱を医療ポッドに落とし、中からチョコが零れる。
苺をチョコレートクリームで閉じ込め、堅焼きのスポンジケーキに挟んだケーキ。
甘い中に混じる酸っぱさ。
それはまるでカインのようで、セシルは「あぁ」と頷き、カインの唇にキスを落とした。


<了>

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その後、魔導船から野太い悲鳴が響き渡ったに違い無い!

 

 

 


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