ご存じのように現在、日本は韓国から徴用工問題を蒸し返されているが、「外国人労働者の『輸入』が日本社会に100年の禍根を残す理由」で述べたように、この朝鮮人労働者問題も元を辿っていけば、当時の日本企業が炭鉱採掘現場の雇用ミスマッチを解消できず、安易に「労働力の輸入」に頼ったからだ。

 いまだに、何かにつけて政治的かけ引きにも利用される、「従軍慰安婦」の問題も同じだ。「朝日新聞」が担いだ吉田清治氏の嘘をいち早く指摘していた歴史学者の秦郁彦氏の「慰安婦と戦場の性」(新潮社)によると、朝鮮半島には1910年代から日本人の芸妓、酌婦、娼妓という「接客婦」も多く進出していた。しかし、戦況が悪化するにつれて「日本人接客婦の減少を朝鮮人女性で埋めようとして」(同書P42)、貧しい山村から身売りされた朝鮮人女性を扱う朝鮮人女衒への依存度が増していったのだ。

 この構図は、日本人労働者が減少するブラック業界に、ベトナムや中国のブローカーが、貧しい村の人間をそそのかし、日本人の穴埋めをするかのように送り込んでいるのと、まったく変わらない。

 嘘だデタラメだ、といくら叫んでも、この2つの労働者トラブルが長い時を経て、いまなお日本を悩ます「人権問題」となっているのは、紛れもない事実だ。

 この歴史の教訓に学べば、外国人の働き手に対して、雇用主がセクハラやパワハラを行なっているこの現状が、これからどのような「人権問題」に発展する可能性があるのかもわかるはずだ。

 なぜ我々の親世代は、こんなバカな法案を通したのだ――。なんて調子で、70年後の日本人たちに呆れられないように、政治家のセンセイたちには、目先の参院選とかではなく、未来を見据えた議論をしていただきたい。