父方の曾祖母は、トキさんと言った。
(写真のお皿に描いてある鳥は、たぶんトキではありません。鳥つながりという事で許してね!)
トキさんのことをみんな「ホンテンのおばあちゃん」と呼んでいた。
「ホンテン」というのは「本店」なのだろうか、店をやっていた訳では無いのだが、よくわからない。
駅からバスに乗り、川沿いのトキさんの家のすぐ横のバス停で降りる。
行くと、いつもとても喜んでくれた。大らかで優しい人だった。
挨拶が終わると、隣の店からアイスキャンディーを買ってきてご馳走してくれる。
庭のマクワウリを切ってくれた事もある。美味しいマクワウリだった。
家に冷蔵庫は無かった。お風呂は鉄製の五右衛門風呂だった。五右衛門風呂とは怖い名前を付けたものだ。
居間には仏壇があった。食事時にはまず仏壇にご飯を供していた。
鴨居には、日露戦争で若くして戦死したトキさんの旦那さまの写真があった。
写真の若い軍服姿が、目の前のひいおばあさんと結婚していたというのが、子ども心に不思議だった。
旦那さまと並んで、同じように大きな明治天皇のお写真が掛かっていた。
もう一葉の写真があったように思うがどなただったか。
旦那さまが早くに戦死してしまったので、トキさんに子供はいなかった。
父から聞いた話では、遠縁の者を、取り子、取り嫁として家を継がせるようにしたという事だった。
そうして父がトキさんの孫として産まれた。
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