
いろんな事があった。最近あれこれと思い出す。

庭が好きだった。両親は庭を綺麗にしていた。
芝生に花壇を煉瓦で作った。春になると松葉菊や芝桜を植えた。ザクロの木に実が成って、冬にはその枝にハヤニエが刺さっていた。ミノムシの服を剥いで遊び、バラの蕾を剥いて遊んだ。自然はこんなにも美しいのに、人が作るものは何故美しくないのだろうと思っていた。自分が母に感謝出来ないのは何故だろうかと思っていた。父を好きだった。
椎の若木が風を受けて裏葉を金色に光らせた。

父は山口県の瀬戸内海に近い町の出身だった。今また故郷の墓に入っている。
この家で亡くなり、棺を孫たちで担いで 火葬場に行く車まで運んだ。
終戦後、父は母と結婚し東京に来た。その頃の写真の母は若くて綺麗だ。
しばらくして父は自分の会社を作った。頭の良い人だったし、人望もあったと思う。
だが、暮らしは大変だったと母はこぼしていた。たしかに大変だったと思う。
家はあった。食事も服も貧しかった。でもそんなものだと思っていた。母の目つきが怖かったのがこたえた。
時々母の姉が荷物を送ってくれた。お下がりの服も入っていて有り難かった。
たまに父の従兄弟がハワイからチョコレートを送ってくれた。ミントチョコだけは喜べなかった。
父はタバコも競馬もパチンコも囲碁も好きだった。
自分で将棋は指さなかったが、テレビで観戦していた。谷川さんや羽生さんの活躍を喜んでいた。
今の私は将棋を見るのが楽しいのは、父の影響があると思っている。
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