∂猛き咆哮5
@lynブログ20200506A
Lyn
∂老人は、奥のカウンターから私の隣の席に座った。そして私を見て、話しかけてきた。
・・・一体私に近づいて話しかけてきたのは、何なのだろう?近くで見る老人は、眼光の鈍く光る眼差しやその物腰で老人という風情ではない。それはWASPのエリートと言える感じだ。
⌘wasp
WASP(ワスプ)とは、「ホワイト・アングロ-サクソン・プロテスタント(英語: White Anglo-Saxon Protestant)」の頭文字をとった略語である。
アメリカ合衆国における白人エリート支配層の保守派を指す造語であり、当初は彼らと主に競争関係にあったアイリッシュカトリックにより使われていた。エドワード・ディグビー・ボルツェルが1964年に「プロテスタントの結成:アメリカの貴族とカースト制度」を著したことで一般にも用いられるようになった。WASP・・・それがこんな日本から来た若造に何の関心を持ったと言うのだ。こりゃ真剣に応対せねばなるまい・・・
老人が、口を開いた。
「何か一杯飲むかね」
・・・北京語なまりの英語だ、それにしても迫力がある、肚に重しがあるような地の底からの魔王の声の響き・・・
「ええ、いただきます」
「同じものを!」
それはとてつもなく美味い酒だった。
「この店で1番の酒だ、オールド・パーの年代物だ、どうだ?」
「こんな酒飲んだことありません、美味いです。それに身体の中に熱いものを感じます」
「そういうものだ、人の生み出した美味いものとは。」
「ええ」
「日本人だろ、若き人よ。お前の目は、そこらにいる若者とは違う何かを感じたよ」
そうか興味を、この老人は持ったのか。その時はまだそうとしか思ってなかった。
「もう一杯あげてくれ、この若き人に」
「・・・」
店の客は、いつのまにか私たち2人になっていた。あとでわかったことだが、老人が若者と話しをする時は皆外に出なさいという合図だったのだ。そしてそれは、老人の次なる行動の第一歩が踏み出した祝杯になっていたのだった。
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