2020年12月訪問
★明治時代の日本とフランス ポーラ美術館 箱根 神奈川県
現在箱根の『ポーラ美術館』では、『CONNECTION コネクションズ
海を超える憧れ、日本とフランスの150年』という特別展が開催されています。
19世紀から20世紀のフランスと日本の芸術がどのように影響しあったのかを知るのに
とても大きなインスピレーションを与えてくれるいい特別展でした。
『ラファエル・コラン』と『黒田清輝』
ここに2枚の絵が展示されています。
右は『ラファエル・コラン』『眠り』1892年
左は『黒田清輝』『野辺』 1907年
『黒田清輝』は明治維新後、法律を学ぶために1884年に渡仏します。
しかし、在仏の画家たちに勧められて、画家になることを決心して、
『コラン』の門をたたきます。
この始まりが、日本に洋画をもたらす大きな要因になるのです。
この時『清輝』は『コラン』が何者なのかも知りませんでした。
ただ知人の勧めに従って、師事したのです。
一方『コラン』は当時サロンで何回か入選し、くしくも、
『清輝』が入門した1886年にはその出品作「花月(Floreal)」が
政府買い上げとなった年でした。
この二枚を見ると、両方とも上半身裸の女性が、横たわっている構図です。
『コラン』の作品は、見るからに伸びやかな姿勢の女性が、深い眠りに落ちています。
まったく無防備な姿勢で、後朝の後かもしれません。
一方、『清輝』の方の女性は少し体の線が固く感じられます。
目は開いていて、少し脅えたような眼差しです。
明治維新から20年まだ日本では、裸婦を描くことさへ公序良俗に反すると、
考えられていた時代です。
その社会的なバックグラウンドの違いが、二人の絵にも明確に表れていたのではないでしょうか。