2024年3月訪問
パリに行くと必ず訪れるのがこのオルセー美術館です。
今回は印象派の特別展をやっていましたが、それは後日ゆっくり見るとして今日は常設展を見ることにした。PARIS 1874
まずは私の大好きな絵から見ていきます。今回は1枚です。
Vincent Van Gogh(1853-1890) フィンセント・ファン・ゴッホ(ウイキペディア表記)
Le Docteur Paul Gachet(1890)
ゴッホは晩年、オーヴェル=シュル=オワーズの精神病院に通院のためにここに転地しました。
この絵の邦題は「医師ガシェの肖像」で1890年6月に書かれたものです。
ゴッホが自殺する2か月前のことです。
ガシェ医師は白いハンチングをかぶりジットこちらを見ています、少し神経質そうな表情です。
眼差しはまるで相手の心の中をのぞいているかのようです。
ゴッホはガシェの印象を「体格の面でも、精神的な面でも、僕にとても似ているので、まるで新しい兄弟みたいな感じがして、まさに友人を見出した思いだ」(ウイキペディア)と妹に手紙を書いています。
彼はこの医師の中に自分との類似性を感じ、彼の厄介な病の治癒に向けたほのかな望みを感じたのかもしれません。
この絵を見ると医師の力強い眼光、そして自然に机に置かれた手からは力ずよさを感じます。
ゴッホはこの頃、ゴーギャンと一緒に行ったファーブル美術館で見たドラクロワの絵を思い出しています、それは精神病院に幽閉されたトルクアート・タッソーを描いた絵のことです。
かれは、ドラクロワの絵と比較して自分の肖像画に思想の無さを嘆いています。
確かにこの絵には、ドラクロワのようなドラマ性はありません、しかし、ゴッホがずっと描き続けてきた筆使い、色彩、そして絵から発せられる強烈な個性、斬新さどれをとっても見る人を引き付けて離さない力がそこにはあると私は思います。
この絵を描いたわずか2か月後、彼は自ら命を断ってしまいます、私にはこの力強く魅力に満ちた絵を描いた人間が自ら命を断ってしまったということをどうしても信じることができません。