2020年1月訪問 イタリアからコロナがなくなるまで書き続けます。
★湧き上がってくる感動 目覚める囚人 アカデミア美術館 ミケランジェロ
大理石の塊の中から体をねじりながら現れた囚人、題名どおりに、石の中から目覚めたのかもしれません。体のうねりが見る者の視線をとらえて離すことがありません。
『目覚める囚人』1930年頃
この作品の正面からとった画像です。
囚人の体のうねりが、のけぞった顔がよくわかります。
まだ表情は定かではありませんが、何かを訴えているかのようにも感じます。
少し横に回ります、右足はすでに石の中から抜け出し、足先が抜けずにもがいているかのようです。横隔膜が上に引き上げられて、力の入り具合が伝わってきます。
この角度が一番顔がよく見えます、斜め上を見ていますが、表情はまだわかりません。
方から腕にかけての筋肉の感じもよく伝わってきます。
私はこの作品群を見て、『葛藤』という文字が頭に浮かびました。
この作品群が、1930年頃に制作されたとすると、その頃のフィレンツェは混乱に次ぐ混乱のさなかであり、『ミケランジェロ』は1530年代の中頃には、製作中の『メディチ家の礼拝堂』と弟子たちを残して、『ローマ』へ行ってしまいます、そんな彼自身の葛藤もこの中に刻まれているのかもしれません。