日々の出来事

当院の出来事を紹介します

動物フェスティバル

2011-09-18 15:49:24 | Weblog

今日は、新潟市の動物フェスティバルでした。

午前中に猫の乳腺腫瘍を切除して、昼から参加しました。
私は得意の(?)歯科(歯みがき)コーナー担当でした。
お天気もよく、参加者の数も例年より多くて盛況でした。

今年から、犬や猫の新しい飼い主(里親)への譲渡は廃止となりました。
例年、猫の譲渡の係を担当していましたが、疑問を感じる点も多々あったのです。
過去から代々行なわれてきた慣例行事でもありましたので、簡単には廃止できなかったのでしょう。
数年前からは、検便・駆虫・ノミ予防、猫白血病ウィルスと猫エイズの検査を
猫には義務づけて譲渡してきました。
それでももらわれていった後のトラブルは、ゼロではなかったわけです。
よいご縁で、人と猫の双方が幸せになってくれたら・・・、
そういう思いが背景にあることは事実です。

しかしその場での衝動的な飼育申し出や、譲渡後のパルボウィルス感染症の発病など、
獣医師が関わってお渡しするにはリスクが高すぎる、あるいはモラル上疑問がある、
と以前から考えていました。
今年から、譲渡活動はしないことになり、その代わり医療に関するコーナーを充実させました。
結果的に、よいアイディアであったと思います。

動物愛護協会や保護団体、獣医師会の関係者等の皆さんには、
「お疲れさまでした!」、と言ってあげたいところです。







自分を育てるのは自分

2011-09-18 15:49:24 | Weblog
先日、スタッフの一人から、
「自分にこの仕事は向いていないと感じるから退職したい」
と相談を受けました。
このスタッフの成長は多くの人が認めているにも関わらず、
自信を失ったためか、そう申し出てきました。

2~3日の経過でよく考えてもらい、結局は退職しないでがんばることになりました。

私は彼女の話を聞いて、自信を失った経緯がわかる気がしました。
幾度もつらい経験を積んだ大人である私は、どう乗り越えたらよいのか自分では知っている。
でも若い彼女は「自分は向いてない」と思い込んで負のスパイラルに入っていました。

「一つの仕事を3年間やっていない人間に、向き不向きを論じられたくないよ」
「自分を励まし、自分を育てるのは自分なんだよ」
「したくない言い訳は無限に作り出せるよ」

と私が学んだ人生修養の言葉を教え、考え直してもらえました。

つらいことがあったとき、仕事が嫌になったとき、一歩前に踏み出せないとき、
いろんな出来事が起きてきます。
人や動物の命を扱う我々の仕事ではなおさらです。

毎朝、携帯メールに送信されてくる人生の言葉によって、
私も日々の出来事を乗り越えています。

もうひとつ彼女に送りたい言葉は、
 「ほんものはつづく、つづけるとほんものになる」
   (東井義雄:教育者)

まさに、石の上にも三年・・・であります。



発熱

2011-09-10 20:51:32 | Weblog
昨晩、突然発熱してしまい、今日は午前中ダウンしていました。
前日の夕方からかったるくて、少し変だな・・・と思っていたら、
ガツンと発熱、朝までうなっておりました。
大人の発熱はけっこう切ないですね。

午前中は柳田先生と大塚先生に診療してもらいました。
午前中にいらした私指名の飼い主さんで、午後に出直ししていただいた方もいました。
急な体調不良でご迷惑をかけました。

発熱と言えば、犬や猫での発熱という症状はなかなか考えさせられます。
ウィルスやバクテリアの感染の他にも、炎症を生じる様々な疾患が考えられるからです。
また治療方法も変わってきます。
人のインフルエンザで発熱している場合は、ウィルスと戦っている発熱でしょう。
すぐに解熱剤ということになると、脳症をおこしてしまったりする場合もあるようです。

私は原則、熱があるから解熱剤・・・という診療をしません。
原因を考えます。
ふざけた動物病院だと、いきなりステロイド剤(特に猫)というケースすら知っています。
何故発熱しているのか、全く検討しないという診療はマズいですよね。
たまにしか来ませんが、自己免疫疾患(免疫介在性疾患)なら、かなり強い治療が必要になりますし。
炎症の程度も判定が重要ですから、血液検査は必須です。
もちろん風邪ということもあるんでしょうが、発熱=風邪・・・というのは止めて欲しいですね。

先日も、ずっと微熱が続いている猫ちゃんが流れてきました。
39°台がずっと続いている。
一般的な血液検査では異常があまりない。
抗生物質には反応がないみたい。
結局、入院で管理することになりました。
症状から黄色脂肪症も疑いましたが、食事やレントゲンから否定的、
FIP の遺伝子検査は陰性、肺炎・膵炎なども除外・・・。
投薬に対する反応が得られたことから、トキソプラズマ症を疑っています。
まだ完全に診断したわけではありませんが、おそらくトキソプラズマ(原虫)の感染でしょう。

うまくいかない時は、原点に戻る必要があります。
症状から原因の「鑑別診断」リストを作る、そして検査と投薬で除外していく。
複数の原因が重なっている場合もあるのです。
そこにはそういう内科的な世界が、意外に好きな自分がいます。

不整脈のワンちゃんは血管肉腫かも・・・

2011-09-04 00:15:09 | Weblog
不整脈で入院中のワンちゃん、
エコー検査で脾臓にしこりが見つかりました。
柳田先生が得意のエコーで見つけてくれました。
脾臓に腫瘍ができると期外収縮などの不整脈が多々おこるのです。

数ヶ月前に柴犬で同じようなケースがありました。
その子は今は元気ですが、やはり脾臓に腫瘍があり、
激しい不整脈のなか、大塚先生に麻酔をみてもらって乗り越えました。
手術の結果、脾臓のできものは線維肉腫でした。

ただ一般的には、血管肉腫という疾患が多いとされています。
とくにレトリバーでは血管肉腫が多発するようです。
明日、ご家族と相談の上、手術になるかもしれません。
老犬なので、どうしてあげるのがベストなのか、よく話あわなくてはなりません。

破裂や出血、転移の可能性があるため、早々に切除してしまいたいのですが、
麻酔のリスクがあるため、大塚先生についてもらわないと麻酔が心配です。
手術のテクニカルな部分は自分ではあまり心配していませんが、
むしろ麻酔や出血傾向の有無などが、この場合は重要です。

外科担当の私は、やるべきことを淡々とやるのみであります。

不整脈ダブル・・・

2011-09-02 11:15:12 | Weblog
昨日は不整脈の犬と猫が入院し、診療も一人でしたので、ドキドキしてしまいました。

ワンちゃんは老犬で何だか元気なさそう、とのことでした。
聴診しようと思ったら、大型犬でハアハア言っているので、よく聞こえません。
循環状態が悪いことはわかったので、心電図を撮ったらあらららら・・・。
期外収縮がバシバシ出ていました。
甲状腺ホルモンの血中濃度も激低値で、なかなか取扱が難しいよ・・・、
と思いつつの午後の診療でした。

ネコちゃんは、発作の再発でやってきました。
脳の神経的な問題も重なっており、頻繁に脈拍が止まってしまうため、
モニタリングしながらこちらの心拍数が上がってしまいました。
ぐったりと横になっていましたが、治療に耐えてくれていました。
一晩かけて治療を継続したら、かなり落ち着きましたけど、
実はこちらが不整脈になりそうな状況がしばらく続きました。
ネコちゃんの方が、よりシビアな状態で、午後の診療中も目が離せず、
夜間も必死の入院管理が続きました。
朝には、普通の状態まで改善したので、まあ危険な状況は乗り越えたかな、
と一安心しています。

シビアな不整脈がダブルで二件重なり、しんどかったです。
でも、回復してくれたことで獣医さんとしての自己満足は達成されるのであります。