最近チェット・ベイカーとクリフォード・ブラウンという全てにおいて対照的な二人のトランペッターの伝記を読んだ。意外な所に意外な人名が出てきたり、あまり関係ないと思っていたミュージシャン同士が実は接近遭遇していたり、初耳な話が多くてなかなか面白かった。考えてみれば、ジャズメンの伝記本というのは今までほとんど読んだことがない。ライナーノーツやジャズ専門誌で得られる情報で事足れリと思っていたのかもしれない。詳細な伝記を読んだからといってそれまで持っていたイメージが覆されるという程の事は無いが、分かったようで分かってなかった所も多々ある。例えばチェット・ベイカーの晩年の老け顔が巷間噂されるような麻薬のせいではなく、単なる父親からの遺伝であったことなど写真を見るだけでは想像もつかない。まさに事実は小説より奇なりだ。

終わりなき闇 チェット・ベイカーのすべて/ジェイムズ・ギャビン:著、鈴木玲子:翻訳(河出書房新社)

クリフォード・ブラウン 天才トランペッターの生涯/ニック カタラーノ:著、川嶋文丸:翻訳(音楽之友社)

終わりなき闇 チェット・ベイカーのすべて/ジェイムズ・ギャビン:著、鈴木玲子:翻訳(河出書房新社)

クリフォード・ブラウン 天才トランペッターの生涯/ニック カタラーノ:著、川嶋文丸:翻訳(音楽之友社)