日々を綴る

短歌と写真を楽しむ

からたちの花は泣いた

2012-09-12 18:44:10 | 

からたちの花が泣いた

 

波間に果てた人、人、人に呼びかけよう

 

からたちの花の歌で呼んでみよう 

きっと聞こえるから

 

ヴァイオリンの音で呼びかけてみよう

 

一緒に歌う声が聞こえるだろう

瓦礫の中に埋もれて居る思い出の命を

奏でてみれば~

 

ひと筋の望みを賭けて~

 

そんな叫びにヴァイオリンを造った

熱い視線がテレビに流れた

 

噎び泣く朝の茶の間に

 

からたちの花の歌が流れる

 

帰って来て欲しいと

 

聞こえることを信じて

 

花もない。草もない 道もない 家もない

 

故郷もない 山もない

 

廃墟の悲しみは 山となり

野に晒された瓦礫が泣いた

 

 

きっと居る。きっと居るよと瓦礫の中を

彷徨い続けて1年半を

 

杖に届けと手探る足元に渚が騒ぐ

 

戸惑う人の視線は白波に迷う

 

何処かで呼んで居るのに探れないもどかしさ

 

何処なの? 何処なのと

見まわす視線に青さが沁みて

 

水平線をじっと見詰めて探す

 

愛する人を

 

無残な海辺に横たわる

 

柱と壁と窓の間から顔を覘かせる

人形の顔が叫んだ

 

瓦礫の山を捨てないでと

 

瓦礫じゃないの宝なの

 

そんな叫びが聞こえて来たと

 

 

からたちの花の歌が流れるヴァイオリンに

泣けて~泣けて止まらない

 

拾った瓦礫にヴァイオリンの命を生もうと

 

賭けた職人魂が永久に消えない楽器を生んだ

 

この世にデビューさせた想いは熱い

 

からたちの花は透き通った音色で

 

悲しく~悲しくメロデイーを奏でた。

 

海の呻きの悲しみが深い朝~

 

泣けた~止まらなく泣いた。