NHKの朝ドラ“らんまん”が好評だと聞く。私も牧野富太郎博士生誕地の隣町で生まれた土佐人として我が意を得たり、と思っている。主人公のように子供の時からの夢だけを追求することができず、夢とは違った道に進みそれなりにキャリアを積んだと自負する自分であるが、退職後の今、ドラマに表現される槙野万太郎の生きざまを体現してみたい、とまねごとをしている昨今である。
今朝は梅雨時には珍しく涼しく気持ちがよかった。道端には真偽のほどは確かではないが牧野博士が名付けたと言われるワルナスビが花をつけ、民家の庭先では柿や栗の実が大きくなり、イチジクが熟れ特有の香りを発していた。
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ワルナスビ
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今朝の柿の実
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今朝のクリのいが
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今朝のイチジク
土佐特産のヤマモモも色づいていて、久しぶりに故郷を感じた散歩であった。
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熟れて来たヤマモモ
6月27日には当市、灯台笹のハッチョウトンボの生息状況について心配を報告した。その後調べていたら、石川県のハッチョウトンボに関して一つだけ参考になる情報が見つかった。
「丘陵湿地に生息するハッチョウトンボの場所利用と生息場所の保全について
上田哲行、木下栄一郎、石原一彦、保全生態学研究、9, 25, 2004」
金沢市曲子原地区の休耕田でのハッチョウトンボの生息状況を2001年から足掛け2年間に渡って調査した報告書である。
要点は、調査地では1986年以降は稲の栽培は行われず、谷頭の幅6m程の帯状湿地を除き5月上旬に1回トラクターを使った中心部の耕起が行われており、1992年にはハッチョウトンボの生息が確認された。当時の植生は、群落1:耕起などの撹乱を受ける湿地:コアゼカヤツリグサ、イボクサ、ホタルイ、コナギ、ミゾソバなど、1年生草本に加え多年生草本も生えている。群落2:撹乱を受けない湿地:コアゼカヤツリ、コナギ、ミゾソバなどに加え、チゴザサなどの多年生草本が主であるなどが特徴であった。
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コアゼカヤツリグサ イボクサ
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ホタルイ コナギ
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ミゾソバ チゴザサ
2001年6月17日には、群落2を中心に成熟オス198個体、群落2の中央部よりから水がない場所(温度も高い)にかけて未成熟オス159個体、成熟メス250個体を確認した。ハッチョウトンボは打水産卵するので、低茎草本とその間の小さく浅い解放水面の点在が重要、保全のためには、このような湿地環境の維持が重要ということであった。
現地の現況を確認したいと思い、この情報をもとに何の準備もせずに出向いてみた。思ったより深い山合で流石に少し心細くなったが、セキレイの若がいたり、車の前を飛んで道案内してくれたり、サシバがピックーイと鳴いて出迎えてくれ、サンコウチョウの特徴のある鳴き声も聞こえ元気が出た。
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(ハク、セグロ?セキレイ)の若
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樹上のサシバ
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上空を舞うサシバ
目的地が見つからずうろうろしていると、偶然にも調査地の提供者に直接出会い、現在の様子を観察することを快諾していただいた。
現在、周辺の水路は保たれているが、耕作が行われておりハッチョウトンボはいないようであったが、水路周辺の地形や水の湧き出し具合、深さ、草の生え具合などを確認することができた。
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調査地の現況
谷合の湿地は一時水田に変えられていたが、減反政策により耕作放棄され再び湿地状態に戻り、ハッチョウトンボが住みついたが、耕作を始めるといなくなることが分かった。
生息地の保全のためには1)低茎草本からなる湿地を維持する2)地下水により涵養されている貧栄養の湿地を維持する3)高茎草本を人力で取り除く4)有機物の堆積を防ぎ草本の成長を抑える。5)春季の耕起により1年生草本を中心とした湿地を維持する。などの点に留意する必要があるとの指摘に納得した。
富山市“ねいの里”の環境も見てみた。木道が整備され湧き水もあるが、土砂や腐葉土が流入したりして環境が悪化し、今年は1匹の確認に留まっているそうである。
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ねいの里の現況
ハッチョウトンボの生息地では何所も環境維持に苦労しているようである。
我が灯台笹での保護の際重要なヒントを得ることができた。
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灯台笹でのペア(2020年)
ねいの里ではコオニヤンマやクロイトトンボを見ることができた。なお、コオニヤンマはオニヤンマの仲間ではなくサナエトンボの仲間である。
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コオニヤンマ
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クロイトトンボ
ヒメコウホネ、アサザ、カガブタなど水草の花を見ることもできた。
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ヒメコウホネ
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アサザ
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カガブタ
帰りに砺波の千光寺に寄ってみた。土佐ではなじみの真言宗の古刹だそうである。
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千光寺
山道では思いもかけずイノシシを見ることができた。
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イノシシ、成獣
ちょっと長くなったが、土佐人気分を満喫した散歩、探索紀行であった。今日は七夕である。ハッチョウトンボの環境が維持されるよう願っている。