人にレンズを向けるとき

たまに人にレンズを向けることがあります。
友達だったり、家族だったり、たまたま公園で出合った人だったり。。。

撮る僕のほうはその人ありのままが出るように撮りたいなとか、構図だとか、深度だとか、光だとか、タイミングだとかいろいろ考えます。
でも、最近特に気をつけていることは、撮ってる側の僕の姿です。

いろいろ考えながら、手ぶれ、ピント等に気をとられ過ぎて。
気づかないうちにものすごい怖い顔で人にレンズを向けてないだろうか。。。
脇をしめて肩肘張って硬直した姿勢で、ファインダーを覗いてないほうの眼は必死でつむって口は真一文字。
こんな顔した人にレンズを向けられては相手がいい顔をしてくれるはずはありません。
いい表情なんて撮れません。
それどころか相手に不快感さえ与えかねません。
不快な表情を撮りたいというなら話は別ですが。

先日も友達が７ヶ月の赤ちゃんを連れて遊びにきてくれたとき、その赤ちゃんにレンズを向けたのですが、カメラを構えたとたんにご機嫌だった赤ちゃんの瞳の表情が一瞬曇りました。
赤ちゃんだからと気にせずカメラを構えてしまったので、僕はたぶん上に書いたような怖い顔だったのでしょう。すぐファインダーから眼を離し、話かけながら今度は口元とつむってるほうの眼で笑ってカメラを構えると表情がスーっと和らぎました。
優しい言葉や、楽しい会話をしながら撮っているつもりでも、実は構えや顔が怖かったということはありえます。自分で自分の顔は見えないですから。

人にレンズを向ける時、自分がどんな顔をして、どのようにカメラを構えているのか、時々は鏡の前でチェックすることは必要だなと最近つくづく感じています。




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（写真）
ライカＭ２
ズミクロン35mm/f2

写真はやすさんにレンズを向けるShigeさん。
ライカ使いという言葉があるとすれば初めて、僕はShigeさんにそれを感じました。
ライカは気持ち、筋肉、視神経、体の一部となってました。
だから、ライカで撮ってるー！ではなくてShigeさんが撮ってるー！という感じでした。
本物のライカ使いとは、ライカ＝カメラの存在を抹殺して写真を撮る人だなと感じました。（T師匠もそんなニュアンスのこと仰っていた）
間違ってもライカで撮ってます～！と思われるようではダメだなと。。。それがライカのライカたる所以、ライカ使いたる所以だから。。。？
写真を撮ってるというより、カメラの存在が消えてただ楽しく話をしているだけという感じ。
そしてファインダーを覗くShigeさんのその眼はやさしく、そして微笑んでました。
レンズを向けられるとなかなかいい顔しないあのやすさんが、メチャ人懐っこいい顔していてビックリ(笑)

人を撮るということについて二つのことを盗んだ夜でした。
カメラを自分の身体の一部として、カメラの存在を消してしまう取り回しが出来るように。
撮る側はもちろん被写体である相手を見ているけど、逆に被写体である相手も撮るこちら側を見ているということを忘れてはいけないということ。

Shigeさんが構えているのはやすさんのRFニコン、ニコンＳ４です。レンズは何故かカールツアイスゾナーです(笑)
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