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「ユニクロ」というブランドについて考えてみる

ユニクロの快進撃が続いている。不況下のアパレル業界でただ1社業績好調を維持しているが、その理由について自分なりに考えてみた。

ユニクロの元は山口県で開業したお店だが、ユニクロとしては1984年の広島に1号店を構えて開始している。その後数年で近所に郊外型のユニクロ店舗を見かけるようになったが、当初はお世辞にも良いブランドとの印象は無く、そのロゴも何だかさえないものだった。



ずいぶんとチープなイメージもあって、田舎くさい感じもどこか感じられたものだ。西友やイトーヨーカドーなどの洋服売り場で売っていたようなノーブランドものの洋服と同列的な位置付けであったと言える。どうしても”安物ブランド”イメージがあったせいか、インナーやルームウェアなど普段着として使うのは良いが、ユニクロを着ていることを他の人に知られたくないような、そんなブランドであった。

しかし、Gapと同じ製造型小売業 (SPA)へと事業転換し、全国にその店舗数を増やし、カラーバリエーションの豊富さと1988年に、フリースを年間2600万枚売り上げるなど驚異的な「フリース旋風」を巻き起こし、次第にユニクロというブランドが広く知られるようになった。一時期やや低迷した時期もあったが、M&Aなども繰り返し、ここ数年は「ヒートテック」などに代表されるその高い技術力と、決して品質を犠牲にしていない日本ならではのその材質/裁縫の良さがすっかり定着し、単なるカッコ悪い安物ブランドから完全に脱皮したと言えるだろう。つまり、ユニクロを着ることがもはや恥ずかしいことでは無くなってきており、むしろ高級ブランドで身を固めることの方がカッコ悪い時代になってきたことを感じさせる。



良いブランドイメージを定着させる為の巧みなマーケティング戦略も見逃せない。店舗設計も統一されたブランディングで纏め、ロゴもシンプルにわかりやすいもので統一。2000年頃には松任谷由実をCMに起用し、アップルのiPhoneを思わせるような洗練されたCMが注目を集める。最近でも藤原紀香、大沢たかお、松山ケンイチ、そして最近では美人バイオリニストの宮本笑里など人気タレントも多く採用し、マーケティングの観点からもユニクロの新しいブランドイメージを完全に決定付けさせた。現在では日本全国に750店舗、海外に40店舗などを展開し、世界的に知られるジャパニーズブランドとして定着した。




またフリース等のカジュアルなアウターは別として、普段着ではない、おしゃれなアウターにユニクロを着ることの抵抗はこれまで残っていたように思うが、最近ではブランドイメージの転換も手伝って、状況が大きく変わりつつある。またこの動きを加速させられるかという意味で個人的に最も動向を注目しているのが、今年から新たにユニクロが投入したサブブランド、+J (プラスJ)である。これはユニクロが何とあの高級ブランドジル・サンダーと提携したコラボブランド。ユニクロ銀座店や一部大型店舗で+Jコーナーを設けて販売を開始しており、特にレディースラインアップが充実している。



このコラボをジル・サンダーが承諾したこと自体にも驚いたが、ユニクロ柳井社長の目の付け所にも驚いた。まさにユニクロが品質重視のブランドであることを世界が認めた象徴でもある。+Jはジル・サンダーのテイストをふんだんに取り入れ、シンプルで洗練されたカジュアルラインを展開。先日ジャケットやシャツなどを幾つか購入したが、価格はウールジャケット等で12,800円と、ユニクロの定番品よりはかなり高め。しかしジル・サンダーデザインでの価格としては破格であり、ユニクロユーザーにも手が届くレンジである。この辺りのブランドライン設定が実にうまい。余談だが、+Jのロゴもなかなかうまくデザインされている。これは+とJを組み合わせることで、ユニクロを意味する「U」にも見える仕鰍ッになっているのはさすがである。

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