
OWL CITYの楽曲は、ちょうど僕の好きな(先日紹介した)Scritti Polittiにも通じるものがある。打ち込み/シンセサウンドはかなり使っているのだが、これが変にテクノになり過ぎておらず、絶妙なエレクトロポップに仕上がっている点や、ボーカルの爽やかさ、そしてメロディーラインの美しさという点などでも共通している。
OWL CITYとは不思議なバンド名だと思ったが、どうやらバンドでは無く、Adam Youngという1人のアーティストが仕掛け人らしい。Adam Youngはミネソタ州にある人口は約22,000人の小さな町Owatonnaで生まれ育ったが、彼は地下室で自分の購入した電子楽器を駆使して、この美しい楽曲を作り出した。彼の音楽は、MySpaceを通じて人気に火が付き、多くのリスナーを獲得していったようだが、長い間実名は隠してOWL CITYとして活動を続けていたようだ。Adamの音楽は口コミによって広まっていった。すると世界の至る所からアルバム・リリースの要望が届くようになり、2008年3月Owl Cityのデビューアルバム、”Maybe I’m Dreaming”がデジタル・リリースされた。アーティストとしての進歩が明確になったこのアルバムは高い評価を得る。

その頃、Myspaceのプロファイルをチェックした数は700万を突破、楽曲再生回数は4,000万回と突破と短期間で成し遂げた数字としては驚異的なもので、“現象”とも言える状況だった。
アルバム『Ocean Eyes』に収録されている曲は下記全14曲。
1. Cave In
2. The Bird and the Worm
3. Hello Seattle
4. Umbrella Beach
5. The Saltwater Room
6. Dental Care
7. Meteor Shower
8. On the Wing
9. Fireflies
10.The Tip of the Iceberg
11.Vanilla Twilight
12.Tidal Wave
13.Hello Seattle (Remix)
14.If My Heart Was a House
どの曲もメロディーが美しく、さりげなくシンセが使われていて心地良いサウンドが繰り広げられているのだが、この中で、僕が特に好きなのは掴みがいい感じのオープニング曲『Cave In』、最もシンセが強調されている美しい4曲目の『Umbrella Beach』、そして極上のバラードである8曲目の『On The Wing』。シングル曲となっている『Fireflies』もレベルの高い出来栄えである。

美しいメロディーの曲もさることながら、その歌詞の美しさも見逃せない。言葉が見事に韻を踏んでいて、日常使う単語が散りばめられているに過ぎないのだが、どこか詩的/文学的な美しさを感じてしまう歌詞の組み立てが独特だ。

それにしても、久しぶりに爽やかなエレクトロポップに出会ったものだ。当分ははまってしまいそうである。