本のタイトルは『黄金都市』となっているが、『黄金都市』以外にも『ターザンの洞窟』、『海流発電』、『蜘蛛島の冒険』、『仮面の冒険児』の4作品が収録されており、表紙も実は『海流発電』から取られたものだ。この5作品の内、『蜘蛛島の冒険』は当時作成されたものの、お蔵入りになって未発表作品となっていたもので、2010年の復刻に当たって初めて日の目を見たという大変貴重な作品でもある。
そして、この復刻版の元になっている、オリジナルの『黄金都市』を今回入手することに成功した! オリジナルは、当時手塚治虫が『鉄腕アトム』を連載していた光文社の月刊少年誌『少年』の1955年5月号の別冊付録として付いていたもの。復刻版はこのオリジナルを忠実に復刻しており、当時の別冊付録も、上記5作品の内『蜘蛛島の冒険』を除く4作品が収録されていた。
この別冊付録はかなり貴重なもので、発売から66年経った今では現存している部数は極端に少なく、もしあっても10,000~20,000円もしてしまうかなり希少価値の高い作品だ。そんな中、比較的良い状態のものを、比較的安い価格で購入することが出来たのだ。
横山光輝は、当時多くの漫画少年がそうであったように、手塚治虫の『メトロャ潟X』を読んで衝撃を受け、漫画家を志したという。憧れていた手塚治虫の作品をリメイクするという話が舞い込んだ時、手塚治虫は既に売れっ子漫画家、一方横山光輝はまだ無名に近い駆け出しの漫画家という立場であった。その後、横山光輝もメキメキと頭角を現し、ついに2人は『鉄腕アトム』と『鉄人28号』という永遠のライバルロボット漫画で対決することになるとは、当時まだ知る由もなかったのだ。
そして、手塚治虫のオリジナルと、横山光輝のリメイク版を比較してみると、描き方の違いなどが見て取れて面白い。同じストーリーながら、それぞれが自分らしいタッチとコマ使いで描いており、それぞれの特徴が既に当時から鮮明に表れている。当時、躍動感のある見事なリメイクを描く横山光輝の作品を見て、手塚治虫もその才能に驚いたという。
当時2人が1956年頃同じ写真に収まっているものがあるが、これもかなり貴重である(左端が手塚治虫、右端が横山光輝)。
このオリジナル版の『黄金都市』だが、さすがに66年も前の作品なのでかなりの年季の入っており、多少の破れなどはあるものの、比較的良い状態を保っているので、プレミアム価値は高い。この二人の巨匠がコラボしたのは、後にも先にもこの1955年だけであり、その意味でもこのコラボは、まさに“日本の漫画史上における、歴史的な瞬間”であった。66年を経て、この漫画遺産のオリジナル版を奇蹟的に入手出来たことは、手塚治虫・横山光輝ファンとして最高の宝物となった。
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