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芦川いづみ祭り2024 第5弾! 『殺るかやられるか』

先日の第4弾に続き、またまた芦川いづみ作品を観賞してしまった。今回は1966年公開の日活映画、『殺るかやられるか』である。

この作品は1966年公開作品にも関わらずモノクロ映画。今でも変わらずお元気で、TVでも良く見かける高橋英樹が若い頃主演したアクション映画である。観た感想として一言、かなり面白い映画であった!裕次郎作品含め、この手の任侠・マフィアアクション系の日活映画の中では、かなり面白い部類に入る1本であると感じた。

横浜港を舞台にした物語で、やくざの組に所属していた主人公が、他の組員を殺してしまった組長の身代わりとなって5年間収監されるが、出所後に、収監中に亡くなった弟の死の真相を知り、復讐を果たすアクション映画である。このパターンの任侠・やくざアクションものは石原裕次郎を始め、当時の日活スターは誰もが演じていたテーマであり、正直ストーリーも比較的ワンパターンな感じは否めないが、この作品はフレッシュで相当イケメンな若き高橋英樹という点でとても活きのいい映画であったと思う。尚、芦川いづみと高橋英樹が共演したのは、1963年の『青い山脈』、1966年の『日本任侠伝 血祭り喧嘩状』とこの『殺るかやられるか』、そしてお互いにゲスト出演のちょい役だった1967年の『君は恋人』の4作品である。

そして何よりも、お目当ての芦川いづみがこの作品では決して脇役ではなく、準主役とも言えるポジションで、登場シーンも映画全体を通してかなり多かった為、見どころも満載であった。これは芦川いづみ主演作と言ってもおかしくないレベルの秀作であったが、今でもまだ見ぬ作品の中に、こんなにたっぷり芦川いづみを観賞出来るものが残っていたことに大きな感動があった!

まずは物語を少し詳しく紹介しておこう。

三上伸一(高橋英樹)は、自分が一番大事にしていた弟英次(藤竜也)が事故死したという報を、暗い独房の中で聞いた。彼は少年の頃、横浜の港で宇佐見組組長雄作に拾われ、成長した。そしてその恩義から組長の実弟市郎が犯した村井組組長村井良平殺しの代人役をやってのけたのだった。しかし市郎は冷たく、五年ぶりで出所した三上を突っぱねた。翌日から三上は怪死した弟英次の真相を追って奔走した。ある夜三上は宇佐見組のチンピラと喧嘩し重傷を負って倒れた。その彼を助けたのは、市郎に殺された村井良平の妻雅江(芦川いづみ)であった。それを知った三上は呆然としたが、何も知らず親切に介抱する雅江や、なついてくる少女のかおるにほのかな慕情を感じ始めていた。数日後、元気を取り戻した三上は、字佐見組へ顔を出したが、昔と少しもかわらない仕事をいいつかって、失望しついに堅気になる決心をした。そして彼は雅江の経営するバー「まろうど」へバーテンとして住み込んだ。そんなある日、三上は金銭面でいろいろ雅江の面倒をみている千葉(杉浦直樹)に頭を下げ、弟と一緒に働いていたという三浦達夫の情報を教えてくれと頼んだ。そして三上は麻薬中毒の三浦を追求して、弟の英次が自分の船が麻薬の取引きの舞台になっていることを知り、警察へ駈けこもうとしたため、宇佐見一味に殺されたことを聞き出した。一方、三上の行動に手を焼いていた宇佐見組は、三上が「まろうど」へ立寄った時、捕えて監禁してしまった。スキを見て見張りを倒した三上は宇佐見組へ乗り込み、最後は市郎を思う存分殴りつけるのだった。翌日彼は、恩義のある宇佐見雄作に挨拶すると、雅江やかおるへの慕情をふりきるように横浜港をあとにした。

芦川いづみは、村上組組長の未亡人、雅江を演じているが、身代わりとはいえ、三上(高橋英樹)は自分が村上組長を殺した罪を着せられていたわけで、雅江の娘の姿などを見て合わせる顔が無いという気持ちとは裏腹に、次第に雅江に惹かれていく。芦川いづみは、バーまろうどのママを演じているが、洋装と和装を織り交ぜながら頻繁に登場するので、かなり楽しめるし、やっぱり1966年頃の芦川いづみは大人の色気があってとても美しい~。雅江も三上に思いを寄せるようになるが、芦川いづみの幸せそうな表情・笑顔が結構楽しめる。

千葉を演じるのは杉浦直樹。向田邦子の『あ・うん』や、山田太一の『岸辺のアルバム』など、1970年代に多くのTVドラマに出演していた印象が強い俳優だが、この映画では若い頃の姿を見ることが出来る。また、三上の弟を演じているのは藤竜也。1960年後半は、藤竜也と芦川いづみが共演する機会が多かったので、この過程で結婚に向けて愛を育んでいったのだと思うが、やっぱりこの映画でも藤竜也はかなりの脇役である。

そして、もう1点芦川いづみ以外に注目したいのが、梶芽衣子が出演していることだ。この当時はまだ“太田雅子”という本名で日活映画に主演していた頃だ。正直1960年代の日活映画時代は彼女にとって不遇の時代だったらしい。その後梶芽衣子という芸名に変えて1970年代に東映に移籍し、のちにタランティーノ監督も夢中になった『修羅雪姫』シリーズで大人気女優となるが、この1966年に出演した『殺るかやられるか』ではまだ少し初々しくもクールな梶芽衣子を楽しむことが出来るのも、この映画の大きな魅力の一つだ。

そしてシーンとしては短いが、梶芽衣子と芦川いづみの美女共演も珍しいので、お宝ショットである(笑)。

今回初めて『殺るかやられるか』を観賞したが、モノクロ映画であることを忘れさせてくれるくらい、カラフルな芦川いづみの魅力が堪能出来る“お宝映画”であった。そして映画としてのテンポ良く、高橋英樹の魅力や、物語・アクションも純粋に楽しめる映画であった点も見逃せない。この映画もぜひ早くDVD化して欲しいものである。

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