詩音の皆さんや、教室の方とも楽しもうと思っています。
『 朝顔は馬鹿な花だよ 根もない竹に 命までもと絡みつく』
<朝顔の俳句>
朝顔や つるべ取られて もらひ水 (加賀千代女)
༓ 井戸から水を汲む、つるべに。朝顔が蔓を伸ばして、ふわりと咲いていた。それを引き剥がすのが忍びなくて、水をもらいに行ったというお話。そればかりではなく、涼しげな朝の情景が浮かぶ、よく知られたうた。
朝皃 (あさがお) に 空美しき日頃かな~(高浜虚子)
༓ 朝顔咲く、早朝の青空。ああ、空がきれいです〜という清々しい、日常の句。皆さんは、どう感じられますか? 今は朝6時でも暑いですよね。わたしは、朝ベランダの草花にお水をあげますが、その時間は、夏の朝でも涼しげに感じます。ワンちゃんを飼われている人は、4〜5時にお散歩するようですね。虚子は、水打ちしながら、ふと広がる空をみながら呟いたのかな。それともお部屋から庭を眺めたのかしら? … どうあれ、ふと呟いたような、なにげない一言から、澄んだ夏の青空が広がってゆきます。
朝貎や 咲いた 許 (ばか) りの 命哉 (夏目漱石)
༓ 朝顔は、朝咲いて夕方にはしぼむ。開いた花を眺める、漱石の眼差しを感じます。
朝顔に われ恙 (つつが) なき あした哉(正岡子規)
༓ 正岡子規は、34歳まで生きました。尊い命、ごくありふれた今日、願いや祈り、感謝を感じます。花ひとつ、一日の命。つつがなき今日があって、明日がある。
<朝顔の都々逸>
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朝顔が 頼りし竹にも振り放されて うつむきゃ涙の露が散る
༓ 悲恋唄、「朝顔は馬鹿な花だよ〜」に続くみたいな。朝顔さん、儚げな唄が、どちらかというと多いですね。
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あさがおの 花は水色水性(みづしょう)の おそれいりや(入谷)の浮気もの 隣の露に濡れかけて 垣根の向うで咲きたがる
༓ 今度は…不実な花、とうたわれて。しかしこの花は、江戸を彩る夏の花。人の面影に恋を重ねて、たくさんの唄がうたわれるのでしょうね。ラヴ・ソングを呼ぶ花
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朝顔の つぼみによく似たあの筆先で 書いた色文 今朝開く
༓ 今度は、ラヴ・レター。筆先、というのが良いですね。今なら、指先ですか?朝顔から、指先は生まれませんね。… さて、どんなことが書いてあるのでしょうね。
<朝顔の詩>
垣がひくうて
朝顔は、
どこへすがろと
さがしてる。
西もひがしも
みんなみて、
さがしあぐねて
かんがえる。
それでも
お日さまこいしゅうて、
きょうも一寸
また伸びる。
伸びろ、朝顔、
まっすぐに、
納屋のひさしが
もう近い。
<関連ブログ>「江戸朝顔」の種を蒔きました〜 夕立のあとの小庭にて