日の出前のうすぼんやりとした明るさを、黎明というらしい。
ぼくはどちらかというと、昼間 明るい光のもとで仕事をするのが好きだ。今くらいの時間は、ふとんにくるまっていたい。なのに、なんでこんな時間に海岸へ向かっているかと言うと、クラウディオのせいだ。クラウディオ・マナウス、赤いイヤリングの男。
いきなり、工房に入り込んできて かってに腰掛けて、僕の作業を見物し始めたときは、なんだこいつ!と思ったけれど、案外心の優しい気風(きっぷ)のいい男だ。いささか単純で、考えるより先に文句が口から飛び出し、あとから、行動で修正するという 少しめんどくさい習性の持ち主ではあるが。
さて、何ゆえ、海岸まで僕が呼び出されたのか?話をもどそう。
クラウ曰く「海は男のロマン、リスボンで生まれた以上、七つの海に乗り出さずしてなんとする!どうせ船出するなら、船長、航海士。パウダーモンキーで命をはれるか」
「しかし、度素人(どしろうと)をだれが、航海士に雇う?」
「自分が船主になって、自分を雇うさ! なーに、船なんて、嵐のあとの海岸にごろごろしてるさ。今度、嵐が来たら、拾いに行こうぜ!」
というわけで、今、僕は船を拾いに向かっている途中。
なんでも、クラウによると、難破船の漂着ポイント・シーズンがあるらしい。
その、クラウの長年の(僕よりひとつ年下なのによく言うよ!)観察結果に基づき、・・・なんとまぁ、本当に難破船を見つけた。
ラティーナ型の小型船。操舵室以外の船室が4つ、倉庫が3つ。三角帆が最大4枚まで張れるやつ。
クラウが走り回って、ドックを確保し、二人で、ラティーナを運んで来た。気の早いクラウはもう、船の名前を「カルテイラ」に決めようと言う。
いったいどんないわれがあるのやら。でもまぁ、名前はあったほうが便利なので、カルテイラに決定。
そして、クラウが資材調達係り、ぼくが修理担当となった。
クラウのやつ、筋肉に物を言わせてせっせと稼ぎ、鍛冶屋をやっているおやじさん他もろもろのコネを活用して、あれやこれやを手に入れたらしい。
決して暴力的な男ではないが、立派な胸筋をぴくぴくいわせるだけで、ちょっとした つけの取立てなんかができてしまうクラウ。
初めて僕の働いている工房に来たときも 兄弟子に賭けの清算をさせるためだったらしい。
もっとも「このことは、ラファエルぼうやには黙っていて欲しい、子供には刺激が強すぎるからな」と口止めされているのだけど。
あとは地道に力仕事。母さんに言わせると、あいつは子供から好かれるタイプなので、子煩悩な船主の中には、特にクラウを重宝してくれる人もいるそうだ。
画像 :発見のモニュメント(リスボン) :群像の先頭はクラウの憧れの人 エンリケ王子
http://www.portugal.or.jp/ ポルトガル投資・貿易振興庁より
(このサイト、画像も説明も豊富だけれど 相互の関係付けがあいまいなのが惜しい!)
・それにしても、クラウのもう一人の憧れの人、「レオン公」についてどなたかご存知の方いらっしゃいませんか?
ぼくはどちらかというと、昼間 明るい光のもとで仕事をするのが好きだ。今くらいの時間は、ふとんにくるまっていたい。なのに、なんでこんな時間に海岸へ向かっているかと言うと、クラウディオのせいだ。クラウディオ・マナウス、赤いイヤリングの男。
いきなり、工房に入り込んできて かってに腰掛けて、僕の作業を見物し始めたときは、なんだこいつ!と思ったけれど、案外心の優しい気風(きっぷ)のいい男だ。いささか単純で、考えるより先に文句が口から飛び出し、あとから、行動で修正するという 少しめんどくさい習性の持ち主ではあるが。
さて、何ゆえ、海岸まで僕が呼び出されたのか?話をもどそう。
クラウ曰く「海は男のロマン、リスボンで生まれた以上、七つの海に乗り出さずしてなんとする!どうせ船出するなら、船長、航海士。パウダーモンキーで命をはれるか」
「しかし、度素人(どしろうと)をだれが、航海士に雇う?」
「自分が船主になって、自分を雇うさ! なーに、船なんて、嵐のあとの海岸にごろごろしてるさ。今度、嵐が来たら、拾いに行こうぜ!」
というわけで、今、僕は船を拾いに向かっている途中。
なんでも、クラウによると、難破船の漂着ポイント・シーズンがあるらしい。
その、クラウの長年の(僕よりひとつ年下なのによく言うよ!)観察結果に基づき、・・・なんとまぁ、本当に難破船を見つけた。
ラティーナ型の小型船。操舵室以外の船室が4つ、倉庫が3つ。三角帆が最大4枚まで張れるやつ。
クラウが走り回って、ドックを確保し、二人で、ラティーナを運んで来た。気の早いクラウはもう、船の名前を「カルテイラ」に決めようと言う。
いったいどんないわれがあるのやら。でもまぁ、名前はあったほうが便利なので、カルテイラに決定。
そして、クラウが資材調達係り、ぼくが修理担当となった。
クラウのやつ、筋肉に物を言わせてせっせと稼ぎ、鍛冶屋をやっているおやじさん他もろもろのコネを活用して、あれやこれやを手に入れたらしい。
決して暴力的な男ではないが、立派な胸筋をぴくぴくいわせるだけで、ちょっとした つけの取立てなんかができてしまうクラウ。
初めて僕の働いている工房に来たときも 兄弟子に賭けの清算をさせるためだったらしい。
もっとも「このことは、ラファエルぼうやには黙っていて欲しい、子供には刺激が強すぎるからな」と口止めされているのだけど。
あとは地道に力仕事。母さんに言わせると、あいつは子供から好かれるタイプなので、子煩悩な船主の中には、特にクラウを重宝してくれる人もいるそうだ。
画像 :発見のモニュメント(リスボン) :群像の先頭はクラウの憧れの人 エンリケ王子
http://www.portugal.or.jp/ ポルトガル投資・貿易振興庁より
(このサイト、画像も説明も豊富だけれど 相互の関係付けがあいまいなのが惜しい!)
・それにしても、クラウのもう一人の憧れの人、「レオン公」についてどなたかご存知の方いらっしゃいませんか?