goo blog サービス終了のお知らせ 

「しつこく」新×3もろもろ日記

今になって夫が「進撃の巨人」に興味を持ち始めました^^

連合赤軍関連の本を読んでいます(3)

2008年06月24日 | 映画・舞台
一応、ここでひと段落しようと思ってます、連合赤軍関連の本を読むの。
なんだかんだで10冊ぐらい読んじゃいました。没頭しました。


「永田洋子さんへの手紙」 坂東国男著

「十六の墓標」(永田洋子著)を読んでの、感想というか坂東氏の「総括」
というべきか。氏は、超法規的出国で、おそらく今もアラブにいるのだと思うが
中東に渡り、真の意味での革命を体験した作者は、ずっと獄中にいる連合赤軍
のメンバーより深く具体的に自分たちの過ちを省みることができていると
私には思えました。

リーダーの森に関しては、彼は側近だったので、ほかのメンバーと視点が違い
気が弱く、どちらかといえば人の意見に左右されやすい彼に指導者としての
「重荷」をしょわせてしまった責任を強く感じているようだった。
ということは、やはり森の「自己批判書」も読んでみないといけないか。

集団の問題として考えねばならぬことを「個」の問題と捉えて、
それならば「個人を排除すべき」としたのが、連合赤軍の間違いであったと。
自分のことしか見えず、自分の行動を美化し、本来なら共に戦うべきであった
庶民を軽視し、低く見ていた。「革命とは、普通のおじさんおばさんが
武器を携えて戦うこと」という一文にその通りなんだろうと感じました。



「りんごの木の下であなたを産もうと決めた」 重信房子著

タイトルがまずすごく好きで。「詩的」じゃないですか?その期待を裏切らず
素晴らしい内容でした。日本赤軍の「国際義勇軍」としてアラブに行き
パレスチナ人民と共に戦った作者。仲間に妊娠を告げたときに祝福を受けて
「出産」を決心した。それがりんごの木の下だったのだそうです。
無知な私にもわかりやすく、パレスチナ問題について書かれており
「あさま山荘事件」を知ったときは「同志が日本でも頑張っている」と
嬉しかったものの、その後、明るみになった「山岳ベースリンチ事件」
には相当な衝撃を受け、落胆したそうです。

敵にいつ襲撃されるかわからない危機的状況で生活していた作者にすれば
なぜ仲間内で殺し合いをするのか、不毛な結果に愕然としたのでは?
親友(遠山美枝子)がリンチで亡くなったことで彼女は帰国の意思を
失ったと書いている。「この地でパレスチナの人々と一緒に戦っていこう」
という決意を新たにしたのではなかろうか。

娘・メイに対しては、危険な状況に幼い頃から彼女をさらしたこと
に対する謝罪の念を覚えながら、たくましくしっかりした女性に
育っていく様を頼もしく感じ、優しく見守っているのがわかりました。

この本は2000年に東京拘置所で書かれたのだそうだが、
今は作者はどんな日々を送っているのだろうか?

弁護人があとがきを担当しているが、弁護人の言うとおり
「正義感に燃えた心豊かで優しい女性」が私の中に浮かび上がってきました。

連合赤軍のメンバーの著書を読んでいると、家庭環境があまり良くない
という人が今までは多かったのだが・・彼女の家庭は違っていて
学生運動に身を挺した彼女に比較的理解を示してくれていたようだ。
父親は学者肌で、「革命」について親子で論議していたというのだから
リベラルな家庭だと思う。その点では恵まれていたのだろう。

重信メイさんのインタビューがありました。こちらクリック


「優しさをください」 大槻節子著

あまり日記というのは読みたくないのだが(何分内容が私的で、
個人名や走り書きが出てくるので、ちんぷんかんぷんなことが多い)読んでみた。
知的な彼女が恋人を真に愛しているのか、思想的にも理解しているのか?
など自問自答し、若さゆえの一途さ・真摯な姿勢が文面から伝わってくる。

それにしても当時の若者は恋をするにも理屈っぽかったのかなぁと。
(頭のいい人たちだからなんだろうが)そう思わずにいられない。

その割には吉野と金子の場合をとっても二回子供を中絶しているし
永田洋子も一度坂口の子供を中絶したということなので
性知識では立ち遅れていたのか?避妊が言い出しづらかったのだろうか。

ページが何箇所か破られていて、その部分に何が書かれていたか気になる。
(図書館の本は大事にしましょう!)



「愛と命の淵に~瀬戸内寂聴・永田洋子往復書簡~」 瀬戸内寂聴・永田洋子著

「十六の墓標」を永田洋子が書いたときに、序文を頼まれたのが瀬戸内で
しかしあまりにもリアリティのある暴力シーンに吐き気を覚えて
瀬戸内が「序文は書けません」と率直に手紙にしたためたのが
二人の文通のきっかけだそうだ。

私も永田個人の著書では、あまりいい印象を持たない部分もあったものの
この往復書簡では、彼女のまっすぐな人柄がよく表れていて
余命いくばくもない瀬戸内の姉を見舞う気持ちなどは実に繊細に思えた。
そんな女性が山岳ベースでは「人の死」というものに無神経になっていたとは
瀬戸内も文中で書いているが、理解しがたいものがある。

嘔吐するほどの頭痛に悩まされ続けた永田はやっと重病(脳腫瘍)
と許可が下りて手術を受けるわけだが、失神・失禁してしまうほどの
頭痛というのはいったいどんなつらいものなのだろうか?
瀬戸内も手紙でたびたび彼女を気遣っているが、永田は明るく前向きに捉えて
生きようとしている。「連合赤軍の女性リーダー」として後ろ指を指されるだけでも
十字架を背負っている彼女を応援したくなった瀬戸内の気持ちが読んでいくうちによくわかった。

本作でも植垣が登場するが、永田のよき理解者として彼女を支えていたようだ。
(この本が出版されたのは1986年)瀬戸内も植垣の手紙からは
永田への愛が伝わってくると書いている。

それにしても、植垣という人は、永田とかつて愛した大槻との共通点の
ひとつに「おしり」を挙げるとは!ムッとする人もいるかもしれないが
何か憎めない愛すべき男性なのだろうと感じた。

瀬戸内の言葉で「人の悲しみや痛みを真に理解できるのは神か仏だけだろうが
私たちは少しでも他人の痛みをわかるように自分を鍛えようとすることが
必要なのだ」というようなものがあったが、日ごろ私もそう思っているので
(これがなかなか難しいんだけど)改めて、この人のファンになりました。
とは言え著作はまだ3.4冊しか読んでいませんが。。
源氏物語といい樋口一葉といい、私の興味のあるものを
取り上げているので勝手にシンパシーを感じています(笑)



 


最新の画像もっと見る