切り売りのスピーカーケーブルには一般的な2芯構造のものと、4芯構造のものがあります。
4芯のスピーカーケーブルは、バイワイヤリングに使用されている方も多いと思います。
さて、この4芯のスピーカーケーブルは、バイワイヤリングで使用する際に2通りの接続方法があります。
接続方法により電気特性も変わり、音質も変わります。
今回は、このことについて詳しくお話いたします。
<4芯スピーカーケーブルを使ったバイワイヤリング接続方法>
バイワイヤリングで使用する場合には、4芯を高域プラス、高域マイナス、低域プラス、低域マイナスに割り振ります。
この時、どのような配置にするかで次の2通りの方法があります。
バイワイヤリング①は、高域プラスと低域プラスが対角線に、高域マイナスと低域マイナスが対角線になる配置です。
また、バイワイヤリング②は、高域プラスと低域プラスが隣同士、高域マイナスと低域マイナスが隣同士になる配置です。
どちらも大して変わらないのでは?と思われるかも知れませんが、聴き比べるとはっきり音質の違いがわかります。
音質は変わる理由は、バイワイヤリング①とバイワイヤリング②では、静電容量が変わるためです。
検証のために実際に静電容量を測定してみました。
使用したケーブルは、下記写真の4芯スピーカーケーブル「CANARE 4S8G」です。
このケーブルは大変コストパフォーマンスの良いスピーカーケーブルです。
インターネットで、切り売り1m当たり350円(税込)で販売されています。(2023年9月時点)
メーカーのページに詳しい規格が掲載されています。
<CANAREホームページ>
https://www.canare.co.jp/products/cables/index.php?tid=4_008
さて、このケーブルを1mの長さに切って、それぞれの芯線配置で静電容量を測定してみました。(LCRメーターの測定周波数は1kHzです)
バイワイヤリング①の芯線配置では静電容量が164.5pFです。
一方、バイワイヤリング②の芯線配置では静電容量が109.0pFとなり、比較すると66%(約2/3)に下がっています。
この違いが音に影響を与えます。
静電容量の低い方が、音の抜けがよくスピードの速い音になります。
以上のことから、4芯ケーブルを使ってバイワイヤリング接続を行う場合には、バイワイヤリング②の芯線配置をお勧めいたします。
尚、スピーカーケーブルの場合は接続する機器(アンプやスピーカー)のインピーダンスが低いので、静電容量の影響を受けにくいとの話もあります。
しかし、実際に試してみると静電容量が音質に与える影響は、結構大きいことが分かりました。
ケーブル工房TSUKASAでも複数のスピーカーケーブルを開発してきましたが、試作と試聴を繰り返す中でこのことを実感してきました。
静電容量を低く抑える構造とすることが、スピーカーケーブル開発の重要なポイントの一つなっています。
今回は、4芯のスピーカーケーブルをバイワイヤリングで使用する場合の、芯線配置についてご説明いたしました。
お役に立てましたら幸いです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます