ケーブルの自作を楽しまれる方向けの情報です。
今回は応用範囲の広い「2芯シールドケーブル」を使って、RCAケーブルを作る際の結線方法を詳しくご説明いたします。
2芯シールドケーブルを使用すると、RCAケーブルの場合は4つのパターンが作れます。
それぞれのメリットとデメリット、最終的にどれがお勧めかを詳しくご説明いたします。
<今回ご説明するRCAケーブル結線方法>
① 1芯(HOT)+1芯(GND) ※シールド未使用
② 2芯(HOT)+シールド(GND)
③ 1芯(HOT)+1芯(GND)+シールド片側接地(入力機器側)
④ 1芯(HOT)+1芯(GND)+シールド片側接地(出力機器側)
<ケーブル結線方法>
①は、シールドは使わずに、1芯をHOTに接続、もう1芯をGNDに接続しする方法です。
メリットは、次の2つです。
・シールドを使用しないため、ケーブルの静電容量を低く抑えることができる。(ラインケーブルでは静電容量が低い方が音質的には有利)
・シールドの材質は芯線より音質的に劣ることが多くあり、シールドに音楽信号を流すことで音が悪くなる場合があるが、これを避けることができる。
デメリットはノイズの混入です。
混入するノイズは高周波のため耳には直接聞こえませんが、アンプなどに流れ込み音を濁らせる原因になります。
ノンシールドでも、芯線がツイストペア構造のものを使用すれば、ある程度はノイズの影響を抑えるとができます。
ただし、シールドを使った場合と比較すると、やはりノイズの混入は大きいと言えます。
②は、2芯をHOTに接続し、シールドをGNDに接続する方法です。
メリットは、芯線の多芯化による情報量の増加やダイナミックレンジの拡大等が挙げられます。
デメリットは、シールドに音楽信号が流れるため、シールドの材質が悪いと音質が低下する可能性があります。
③は1芯をHOTに接続、もう1芯をGNDに接続し、シールドは入力機器側で片側接地する方法です。
④は1芯をHOTに接続、もう1芯をGNDに接続し、シールドは出力機器側で片側接地する方法です。
③と④は、RCAケーブル自体は同じもので、接続方向を逆にした形です。
③、④ともにメリットは、シールドに音楽信号が流れることはなく、シールドの材質による悪影響がありません。
また、シールドとして機能させることができ、ノイズを抑えることができます。
デメリットは特にありません。
③と④の違いは、シールドが拾ったノイズを入力機器側に逃すのか、出力機器側に逃すのかということになりますが、音質的に違いが出ます。
私が両方を試した結果、④の方が音の透明度が高く良い結果が得られました。
また、複数の方に③と④を試していただいた結果、全員が④の方が音が良いというご感想でした。
これは、出力機器は内部インピーダンスが低く、ノイズが流れ込んでも影響が少ないためと考えております。
ラインケーブルとして使用する場合は④が、4つの中では一番のお勧めとなります。
余談ですが、フォノケーブルとして使用する場合には③の方が音が良くなります。
これは、フォノイコライザー側でシールドを落とした方が、ノイズが直接フォノイコライザーに逃げるためです。
レコードプレーヤー側でシールドを落としてもノイズの逃げ場がなく、GND側の芯線を通ってフォノイコライザー側に戻ってくることになり、音質的には不利となります。
尚、ケーブル工房TSUKASAのRCAケーブル構造は、
・5000シリーズ 2芯(HOT)+2芯(GND)+シールド片側接地
・MINERVAシリーズ 4芯(HOT)+4芯(GND)+シールド片側接地
となっています。
シールドの接地方向は、ラインケーブルとして使用する場合は「出力機器側」を基本としています。
また、両シリーズともシールドによる静電容量の増加を抑える構造となっています。
「2芯シールドケーブル」を使って、RCAケーブルを作る際の結線方法をご説明いたしました。
今回の結線方法の図が、ケーブルを自作される際の参考になれば幸いです。
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