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台湾有情 静かな総統選

2008-04-05 | Weblog
April 03, 2008 SANKEI News
台湾の選挙といえば、幹線道路に幟がびっしり立ち並び、行き交う車は支持政党の旗を掲げ、まるでお祭りのようなにぎやかさをイメージする。
 しかし、今回の選挙では水を打ったような静けさが続き、街を見渡しても選挙のにおいがしない。政党が主催する選挙集会にでも出向かない限り、とても投票率が8割に迫る天下分け目の選挙戦という実感がわかなかった。
 現政権への失望感? あるいは激しい政治対立への嫌気? 分析は諸説あるが、ここは台湾人の冷静な選択と解したい。中間層といわれる黙して語らぬ人々が、歴史に根ざした感情のねじれを乗り越え、将来を見据えて選んだリアリズムなのだと。
 李登輝前総統がかつて「新台湾人論」という理念を提唱した。外省系(中国大陸籍)か本省系(台湾出身者)で割れる内部分裂に終止符を打って、台湾に生まれ育った人々は団結せよ、という呼びかけだった。
 感情を排し、現実を直視する-。現政権が「8年の空転」を招いたとするなら、その時間を取り戻すには李氏の言葉が、今こそ生きてくる。新しい時代の幕開けとともに、社会のさらなる熟成に期待したい。なぜなら、民主化の深化と経済力の維持こそが、台湾にとっての最大の安全保障なのだから。(長谷川周人)


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