1980年代のイタリアを舞台に、17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の情熱的な恋の行方。
わりと生々しく丹念に性的なことを描いていて、とりわけ17歳という年齢を考えれば必要性はわからなくもないけど、個人的に好みではなかった。惹かれ合う過程もあまり納得感がなかった。特にオリヴァーがエリオを好きだというのがイマイチしっくりこない。ずっと疑わしく思ってたけど、最後の最後でさらに疑わしい気持ちになった。
タイトルにもなっている「君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼んで」というのにどういう意味があるのかわからなかった。一心同体だからとかそんな感じなんですかね。わたしなら自分の名前で相手を呼ぶなんて恥ずかしくてしたくない…まわりに聞かれたら不審に思われるし…。
お父さんはよかったです。年長者としての寄り添うような包み込むような優しいアドバイス。「心は衰える」という言葉が何よりも胸に刺さった。オリヴァーとのことをお母さんは知らないと思うと言っていたけど、あれは優しさかな。おそらくお母さんもお父さんと認識を共有していたのではないか思う。
ただオリヴァーが善良というのは肯定しがたい。2年くらいつきあっている彼女がいたのに、17歳の少年に手を出したって…何も言わずに帰って「結婚する」って…。エリオのことを大切に思うならもうすこしやりようがあったんじゃ。これだと一夏の遊びで手を出しただけという感じにしか見えない。彼女にもエリオとのことは言ってないだろうし、双方に不誠実。