二月は気候が不安定で、そのせいか気持ちも沈んでしまいそうで、体調管理が難しい月ですね。真冬のパリの空は鉛のように重たく、グレーのとばりが垂れこめて、街をつつんでいるかのようです。
そんな灰色の空の日には、美術館巡りで心を潤してみては如何でしょうか。皆さんもご存じのように、フランスの美術館は入場料が日本よりも遥かに安く、(美術館によっては)無料の日もあります。また、館内での写真撮影が許されているのも有難いですね。自由に模写をしている人達に出会うと、芸術の都、パリの懐の深さを感じます。
ルーヴルやオルセーのような広大な美術館も素晴らしいですが、ギュスタヴ・モロー美術館のように、かつて画家が暮らしていたアパルトマンが美術館になっているその館内の雰囲気もまた格別で、何故か、何度でも足を運んでみたくなります。まるで、そこで創作活動をしていた画家の魂に魅入られて、惹き寄せられるかのように。
光の陰影を巧みに描き出した画家、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの絵画は長い間、日の目を見ることがなく、暗闇に埋もれていましたが、ようやく光を浴びて、ルーヴルの中で、誇らしげに堂々と輝いています。
日本ではなかなか間近で観ることのできない名画を、寒空のこの時期にゆっくりと鑑賞する旅は素敵です。さて、もうすぐパリに旅立つ生徒さんの心の画布にはどんなパリの印象が刻まれることでしょうか。