Les plus beaux endroits sont tout près de chez vous.
最も美しい処はあなたのすぐそばにある。
12月に入っても穏やかな気候が続いています。そのせいでしょうか、紅葉も今尚美しく、私の家の近くの公園も色取り取りの樹木に彩られて綺麗です。買い物帰りにふと立ち寄り、池を渡る鴨を見つめながら、しばしベンチで休んで寛ぐと心が和みます。
美しいものは実は自分のすぐ身近にあるのに、遥か彼方の世界に憧れを抱いたり、遠い世界が美しいと錯覚してしまったりする私ですが、無心に泳いでいる可愛いカモや樹木の輝きを観ていると、「美」は至る処、すぐ間近に宿っていると感じます。
哲学者のカントは、家の近くの散歩を日課として、その散歩中に思索を深めていたと言われています。あれほど深遠な思想を生み出したカントですが、長い生涯に渡って、殆ど旅をすることはありませんでした。アイザック・ニュートンも生涯をほぼ同じ場所で暮らし、国外に出ることはありませんでしたが、万有引力の法則を始め、数々の偉業を後世に残しました。私達は何故か、「偉くなる為には、世界に飛び出して、いろんな新しいものを見聞する方が良い」と考えがちですが、必ずしもそうではありません。同じ場所にずっと留まっていても、人生の喜びが減るわけではなく、優れた人はどこにいても自ずと優れたことをします。広い世界を知っているからと言って偉いわけでもありません。そして、また、偉業を残すことだけが偉大とも思えません。立派なことを成し遂げ、心情に於いても優れている人こそ真に偉大だと私は思います。どんな環境にあってもそういう人は必ずいます。私はそういう人達に尊敬の念を抱きながら、真摯に生きていきたい。身近な生活の中に、汲めども尽きぬ魅力を感じながら、暮らしたいと思っています。
中央の地味なカモがぼやいています。
「なんやしらんけど、今日はえらいしおらしことゆうてるやんか。アメリカのリスは超可愛いゆうてたん、誰なん気ぃ悪いわぁ、も~う。ゆうとくけど、うちら、文句も言わんと、あんたの賞味期間切れのパン食べてんねんで。アメリカのリスにヤッホ~ってどういうこっちゃろ。ここには、昔から、うちらと、大きい鯉、フナ、すっぽん、鳩、雀がいてんねんで。そんなけおったら充分やんか。ほんで、うちのお父ちゃんは、めちゃくちゃ派手なかっこで決めてんねんから、もっと感心して~や。そら、ピンクはないから、ジョニー・ウィヤーには負けるけど、こんなけカラフルなお父ちゃん、そうはおらんで。ま、とにかく、今度から、パンは賞味期間切れちゃう美味しいの、頼むで、いや、ほんま。がぁ、がぁ」